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パウル・クレーの作品を手がかりに、作品の生成のプロセスがどう絵の色の見え方に結びつくか、主に絵具層の重なりを意識して制作し、考えるワークショップを行った。
1日目の午前は、まず、技法や素材、物質的な層の重なりに注目して、クレーの多彩な作品を紹介した。次に、多くの技法の中から、クレーが自作した糊絵具を取り上げ、可塑性のある絵具によって立体的な物質の表情から予想外のイメージが生まれるプロセスを体験した。実際は複雑な調合だったようだが、今回は絵具に可塑性を与えるため、単純にでんぷんのりと、少量の透明水彩を混合した。クレー作品のうろこ状、格子状の表情を参考にして、地塗りを施したボール紙の上に絵具を載せ、ヘラや手袋をした指を使い、すべらせたり、掻き取ったりすると、下の層がのぞき、独特の絵肌が生まれた。最初に何を描くか決めず、予想外のイメージが生まれるプロセスを体験した。
午後は、コレクションの《緑の中庭》(1927年)を鑑賞し、異質な造形的要素を分解してスケッチをした。参加者は升目のような模様、一度塗った絵具を剥がしたような跡などに注目した。
2日目はまず、スケッチを並べ、各自の分析を他の参加者に話した上で、ボール紙に様々な色材や道具を使って、各自が《緑の中庭》の制作の積み重ねを再現することを試みた。参加者は升目のような模様、一度塗った絵具を剥がしたような跡、絵具の厚みに注目した。絵具にざらつきを持たせたり、紙やすりで削ったり、スタンプするなど、行為を積み重ねる中で生まれる画面の表情に集中した。最後は絵を並べ、各自制作中の実感について話し、終了した。
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