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コレクション展で開催中の「特集:日本画 平福百穂」をていねいに「見て」みるワークショップ。昨今、美術館でのワークショップというと「何か、ものを作る活動」などと捉えられがちだが、さまざまな参加者が集まり、それぞれ影響を受けながら取り組む形式そのものが「ワークショップ」。今回は午前・午後あわせて4時間をかけて、展示を見て、話をすることで作家のまなざしに迫ろうという試み。
まずは、「見る、話す」の練習をしてみる。
はじめて会った参加者同士でペアをつくり、お互いの持ち物を見て、話をする。
初対面の参加者同士、はじめは口が開きづらかったが、この練習が終わる頃には、和やかに語り合う雰囲気ができた。
練習を終えて、さっそく展示室へ向かう。
「特集:日本画 平福百穂」は、作品10点と資料5点程度の特集展示。
まずは、普段自分が美術館に来たときのように「普通に」見てみる。
その後、第一印象や感想を話し合った。
平福百穂のさまざまな描き方をしていて器用な人だと感じた参加者もいれば、装丁や空間の取り方、西洋画との違いなど参各々の興味に基づいた印象が語られた。
ここで、特集を担当した学芸員が加わり、日本画の画材や平福百穂についていくつかお話をした。
たとえば、第一印象で気になった参加者が多かった《獅子》に使われた「たらしこみ」の技法ついて、資料を用いた解説など。
休憩をはさみ、もう一度展示と向き合ってみる。
休憩中、館内に掲示されていたワークショップのポスターを囲みながら雑談。
館内スタッフや来館者から出た平福百穂《猟》への疑問が書きこまれていた。
今度は、特集の作品から「自分にとって一番謎な作品」を選んでみる。
改めて疑問点を探しながら見ると、初見では気にしていなかった部分をよく見ることになる。
それぞれの参加者が、自分にとって謎だと感じた点を話し、この疑問の解決は午後の課題として午前中を終えた。
改めて、平福百穂の画業や交流関係について基本的な部分を確認。
午前中の課題を解決すべく、ふたたび展示室へ。
参加者の謎(疑問)は、日本画の描き方や装丁について、画題や表現の仕方について、描かれた場面についてなど多岐にわたった。
特集を担当した学芸員の見解が手がかりになることもあれば、参加者自身の生活や経験が感じ方に影響を与えていることもある。
本ワークショップを通して、百穂がどのようなまなざしを持っていたか、まとめとして考えてみた。
参加者とスタッフが話すうち挙がったのは、出会った他者の影響を柔軟に取り入れつつ、自身の描きたいものをこだわって描いていく作家、というイメージだった。
最後に北庭へと出た。
ワークショップを通して自分の思う「作家のまなざし」で景色を見てみる。
それぞれの参加者は、どのようなまなざしを得たのだろうか。
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