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ワークショップ
デモンストレーションに続き、摺りによる豊かな表現について考えるワークショップ。
正方形の版1枚を使った木版画を90度ずつ回転させて複数回刷る「回転版画」を体験する。
浮世絵や江戸木版画は板目を版木とする板目木版。
このワークショップでは、中もシナ材の共芯のシナベニヤ版木(6mm厚)を使用する。
講師持参の浮世絵(復刻版木を摺ったもの)を見ながら、浮世絵の摺りでの表現についてのお話。
同じ色を二回摺ったり、別の色を摺り重ねたりすることで微妙な色の差を表現している。
町人が細かな表現を感じ取って楽しんでいたという文化も想像できる。
重なったときの色や形のバランスが良くなるように、シンプルなデザインとする。
今回は自分の名前をモチーフとしたデザインを課題とした。
今回は丸刀2種類(太・細)のみを使用。
深く彫ろうとしすぎると版面が荒れてしまうので、彫刻刀と板との角度をつけすぎないように注意する。
参加者も下絵を版木に写し、彫る作業を進めた。
下絵はトレーシングペーパーを用いて、やわらかい鉛筆でなぞって写す。
前日のデモンストレーションでは版木に見当が彫ってあったが(内見当)、
このワークショップでは見当板を使う(外見当)。
割り箸を机にテープで貼り付け見当板の押さえとして使ったり、濡らした新聞紙を版木の下に入れたりしてずれを防ぐ。
紙の持ち方、置き方、バレンの持ち方や動かし方も含めて実演していただいた。
今回はころころバレン、創作バレン(紙芯)を使った。また、当て紙としてクッキングシートを使用。
このワークショップではカラープリントのインクでも使う3色(赤=マゼンタ、黄=イエロー、青=シアン)で摺る。
水溶性版画絵の具を用いるが、赤・青は透明感を出すため透明メディウム(水性)を3分の1程度混ぜ合わせる。
摺り色順は赤→黄→青。
3色の摺りで組み合わせると、紙の地色も含めれば8色作ることができる・・・が、それはベタ摺りをした場合である。
このワークショップでは必ずしもきれいにベタ摺りする必要はない。
回転版画では摺りムラが重なり合い、さまざまな色となって出てくる。
紙は裏面の1つの角に印をつけておき、見当の際に同じ位置に合わせる。
色を変えるごとに版を90度ずつ回転させ、摺り重ねていく。
摺り―1色目(赤)
摺り―2色目(黄)
版木をよく水洗いし、新聞紙に空摺りして1色目が抜けたのを確認してから2色目を摺る。
青が入り3色摺られると一気に色数が増え、参加者から驚きの声が漏れる。
摺りごとの差も大きく出てきて、自身の摺りを見比べる姿がよく見られた。
各自5枚摺ったうち2枚を選んで持ち寄り、並べて鑑賞した。
摺りの強さ、ムラなどや色の重なり具合を視点に選んだ参加者が多いようだった。
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