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コレクション第2期「システムと感覚」を鑑賞するワークショップ。
今回は手も動かしながら鑑賞をすすめようとするが、手よりも頭の中を動かす予定。
まずアイスブレーキングとして、朝起きてから美術館に来るまでを思い出しながら、「朝の自分ルール」を見つけて自己紹介する。
展示室に移動。10分ほど各自で特集を自由に見たあと、集まって、初見の印象を話す。
無機質な感じ、作品として認められているのか、一見自分にも描けそうだが実際は大きなエネルギーや深い思考が込められているのではないか、といったことが話題になる。
壁や展示ワイヤー用レールの影響など、展示環境についても話が及んだ。
休憩をはさみ、特集担当学芸員から展示解説。今回展示している作品は、絵の中に具体的な人物や風景は表現されていない、与えられた画面全体をすべて見てもらいたいという意識がある。後者のやり方のひとつとして「繰り返し」がある。
青野文昭の≪なおす・延長 宮古1997年5月8日≫(1997年)※写真右 は、画面の下の方に捨てられていたカーテンを貼り、上まで修復するというコンセプトで制作された。制作の全てに作家が関与するよりも、たまたま採取したものを基にすることで、なるべく作家自身とは関係のないところから始めたい意識があるという。
ワークショップとして最初の課題。
特集の十数点から、自分が「一番わからない」と思う作品を探す。作品を一つ選んだら、できるだけたくさん、その作品をあらわす「規則」を書き出す。規則は主観的なもの(感想)ではなく、作品に沿ったものが良い。(10分程度)
その後、「この規則がないとこの作品は成り立たないのではないか」と思う重要な規則を選び、各自1~3つに絞る。
選出した規則を各自整理して、新しい紙に清書する。
このワークショップでは、これらの規則に基づいて作品をつくってみる。
いきなり規則をもとに作品をつくるというのは難しいので、少し「練習」をして頭をやわらかくする。
「普段通り歩く。」これは絵の中に自分の好きな世界(見た景色や想像の世界など)を描くことに相当する。
「(床のタイルを)1マスとばしで歩く。」思いつく場合はいくつでも試して良い。
ときどき周りを見ながら、他の人がどんな歩き方をしているか確認してみる。
「床のヒビに近づき、床のヒビとつながっているように歩く。」「床のヒビがないところも、床のヒビとつながっているように歩く。」
今自分の意思で歩いていない、規則に歩かされている、ということを自覚する。このワークショップではそういう風に制作してみようということだ。
「自分が書いた規則をイメージして歩く。」
「一定の間隔で並べる。」3通り並べ、その中で1番良いと思った並べ方で並べる。
「並べたものに一つずれをつくる。」
「穴が空いているように並べる。」
「隣の人が書いた規則に沿って並べる。」
練習は以上。
自分が選出した規則に基づいた作品の制作に入る。
元にした作品は一度忘れて、自分が書いた言葉から考える。
アイデアスケッチをいくつか用意していく。
描いてみるという人もいれば、ものを並べる、数列として捉えるなど、参加者ごとにさまざまな方法を試していた。
展示室へ行き、規則の見直しをしてから昨日の続きを行うことになった。
小野皓一≪カンバス上の崩壊する方形-火≫(1995年)を見る。作品を見て気づいた規則を言い合う。コンセプトについて話し合ったあと、エスキースと、作家の文章が紹介された。
その後、「一番わからない作品」として選び規則を書き出した作品について、参加者それぞれに資料(作家の他の作品の図版や文章など)が渡された。
資料を見ると何が大切な規則で、何が変えてもいい規則か分かるかもしれない。
規則が適していないと思ったら、変えたり、他の規則を選び直したりしてもよい。
少人数のグループに分かれる。どんな規則を抽出して、どんな制作をしようと思っているか、アイデアスケッチを見せながら自分の考えを紹介し合う。アドバイスし合って、他者のアイデアをうまく取り入れることを目指す。作家資料、各自が書いた規則、アイデアスケッチなどを材料に活発な意見交換の時間になった。
引き続き規則に基づいた作品を制作。
作家資料や意見交換を経てアプローチを変える人も現れる。
14時25分~15時00分 作品を見る(創作室2)
制作した作品を皆で見る。書きだした規則と作品について短く話し、スタッフや参加者からコメント。2日間の中で考えの変化があった人も多く、プロセスが語られた。
15時00分~15時05分 特集展示「システムと感覚」再訪、自分の作品写真を持って(展示室)
最後に展示室にもう一度行く。規則の元になった作品をあらためて見なおすが、参加者もスタッフも自然に作品について語り合う姿が見られた。話の内容は作品の解釈に及ぶ。制作を通じて鑑賞が深まったのではないだろうか。
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