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絵具は、発色成分である顔料に、固着成分である展色剤、補助成分を混ぜて作られる。展色剤の性質に注目し、絵具づくりを通して、使い心地や発色の違いを探るワークショップを行った。
1日目はまず、参加者に普段使っている色材について話していただいたところ、透明水彩絵具やソフトパステル、アクリル絵具、草木染めなどに親しんでいた。次に、担当者から絵具づくりの歴史や、無機と有機、天然品と合成品など顔料の分類などについて話したあと、顔料と染料の違いを、水に混ぜて起こる現象を見て確認した。
そして、3組に分かれて、組ごとに使う顔料の色を黄色か青色か決め、7種類の絵具づくりをした。1種類は比較的粒子が粗い水干絵具の黄土と群青、あとの6種類は油絵具の材料になるような微粉末の顔料のウルトラマリンとイエローオーカーを用いた。午前は、水干絵具と顔料をそれぞれ絵皿で膠水と合わせた。
午後と2日目は、油絵具、透明水彩絵具、不透明水彩絵具、アクリル絵具、不透明アクリル絵具を、展色剤を調整してから顔料と練り合わせるという手順で作った。ガラスや大理石でできた練り棒と練り板、ペインティングナイフ、ペーパーパレットなどを使った。できた絵具でキャンバスと画用紙に試し描きをし、描き心地や発色の違いを比較した。
途中、顔料の機能性の分類である有色顔料と体質顔料の違いを、胡粉、膠水、乾性油を用いて体験した。胡粉を2つの絵皿に出し、それぞれ膠水、乾性油と合わせて黒い紙に塗ると、膠水の方は白く発色するが、油の方はほとんど透明になった。同じ白い顔料でも、展色剤との組み合わせで発色が変わり、透明になると体質顔料として絵具の色や粘り気の調整に使われる。
2日間、絵具をつくるときの物質感の違いを味わいながら、同じ顔料でも展色剤によって絵具の性質や発色が変わることを体験した。
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