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石、木、粘土などさまざまな素材を扱う彫刻家・杉崎さんの自己紹介からワークショップがはじまる。
石に触れるなかで、石に対しての「硬い・手ごわい」という印象を払拭できるといい。
彫刻といっても、木、粘土と、いろいろな素材がある。
杉崎さんが制作で使う道具や工具を見せていただく。石彫用だけでなく粘土のもの、木彫のものもある。
粘土・木彫の道具(左)、石彫の道具・工具類(中央、右)
石のための道具は、ノミとハンマーが基本的な道具ではあるが、手作業で作れるものには限界がある。
大きな石から彫りだすなら、機械工具類やクレーンなども使う。
また、石にもさまざまな種類がある。
繊細な彫刻に耐えられる大理石や、墓石によく使われる御影石を例に、石の種類や性質についてお話をうかがう。
杉崎さんが河原の石から作った作品を見たり、手に持ってみたりもした。
表面を磨くだけでも石の表情はずいぶん変わる。
石に親しむために、まず河原へ行き、さまざまな石を見てみる。
ノミとハンマーをもって河原へいって、石に触れてみる。
杉崎さんがノミの使い方を実演。石によって叩いたときのはじけ方が違う。
どの石がやわらかく、どの石が硬いのか、参加者もやってみる。
さまざまな石に触れて慣れてきたところで、彫ってみたいと思う石を一人2~3個探した。
最後は自分の気に入った石を一つ探す。きれいな石でも、手触りのいい石でもよい。
「彫りたい石」と「気に入った石」はやはり違うものだ。
現代の石彫では、機械を使いおおまかな形を整えてから、手作業で最後の仕上げをする。
石のかたまり(岩盤)から石を切りだす方法や、古代のオベリスクの立て方、石の運び方などを例に、重く大きな素材がこれまでどのように扱われてきたのかを図解した。
創作室テラスにある石(おそらく500kgくらい)を手作業で動かしてみる。
今回使用するのは、5tを持ち上げられるジャッキと、てこ。
参加者が順番に挑戦しながら、角材の上に石をのせた。
転がらないよう角材の上に石を固定し、角材ごとパイプ3本の上にのせ、パイプを転がしながら動かす。
ごく基本的な力のかけ方・かかり方をおさえることで、石という重い素材を、身体と道具を用いて動かすことができると実感できた。
粘土、木彫、石彫と、それぞれ素材として向き・不向きがある。
たとえば素材の性質として、石は粒々の集まり、木は繊維(線)の集まりと考えることができる。
その性質によってアプローチの仕方(力のかけ方)が変わってくる。
木は繊維の順目に合わせて彫るときれいに仕上がり、逆目に彫るとバサバサになってしまう。
ノミを当てる時は木の繊維の逆目と順目を考慮しながら彫る必要がある。
一方石は粒の集まりなので、どの向きからでも彫ることができる。
(ただし「石の目」もあるので、割れやすい方向はある。)
粘土は、力を加えて形を変えても屑が出ない。
量的に変わらないまま全体がゆがんで形が変わる性質のものだ。
木や石の彫刻では、もとからある形から削って形を作っていくが、
粘土は逆に何もないところに粘土をくっつけていくため、両者には大きな違いがある。
2日目は、昨日彫ってみたいと思った石を1日かけて彫ってみる。
コンクリートはつり用のノミでは刃が立たない硬さの石を選んだ人が多く、杉崎さんのノミをお借りしての作業となった。
小さい石、丸い石は動いてしまい作業しづらいため、布袋に粘土を入れたもので押さえる。
「はじめての経験という人がほとんどなので、細く彫り残そうとすれば割れることもあるだろう。それも経験と考えてほしい。」
「叩く強さや向きは、石とコミュニケーションをとる感じで、素材との対話だと思って、時間をかけて耳を傾けてほしい。」
と杉崎さんからお話があった。
参加者それぞれがじっくり作業をする。
石の硬さ、性質、割れ方などがさまざまなので、彫りすすみ具合も参加者によって違った。
柔らかめの石で(左) 中央に穴を開けて貫通させるのを目標に(右)
磨いてみたいと杉崎さんに相談し、一部だけをツルツルに磨き上げる
彫っていくと違う色・違う硬さの部分が出てくる石もあった
時間が進むにつれて、参加者それぞれが石に対して自分らしい関り方を見つけていった。
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