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※記録中のタイムスケジュールはB日程のもの。写真はB日程のものを中心に、A日程のものも含む。
テーマ「色面/版 を 重ねる」についてお話。
版を重ねることにより生まれる色面には、独特の味わいがある。今回は、その色面の重なりと版画の刷り重ねについて、同時に考えてみる。理論を学ぶことではなく、主に体感してもらうことが目的。
今回は、それぞれ下絵を用意してもらった。この持参資料に基づいて制作するのではなく、持参資料を版画にすると仮定して、必要な色、種類、版の形を考えてみる。
版画の制作に慣れ親しんでいないと、この作業はなかなか難しい。ワークショップを通して、版を刷り重ねるときの考え方や色の効果を想像できるようになると良い。
参加者にとっての版画のイメージはさまざま。まず、版種の違いや、多色刷りの版の分け方・重ね方などについて、実物の版を見たり触ったりしながら基本をおさえた。
このワークショップではカラー印刷の基本となる3色(シアン、マゼンダ、イエロー)それぞれ3段階(無し、薄い、濃い)の色見本を作ってみる。色見本作りを進める中で、版と色面の重なりについて気づきを得たい。
刷りごとの色ムラが少なく、色の重なりが見えやすい方法として、今回は孔版で色見本を作る。
インクは紙・布兼用の水溶性シルクスクリーンインクのメディウム(透明)に透明水彩絵具を混ぜて作る。
版はスタッフが事前に製版したものを使う。
色見本の制作手順。
イエローを全面に刷り、そこにマゼンタとシアンを帯状に重ね、3色3段階の総当たり色見本を制作する。
作業前に下準備として、紙に刷る時の目印などをつけておく。
紙は2種類(水彩画用紙、ポスター用紙)と、試し刷り用の画用紙を用意した。
スタッフによる実演ののち、実際に刷ってみる。
全面に刷らなければいけないイエローを最初に刷る。
はじめて孔版を体験する参加者もおり、面積の広いベタ刷りはやや難しい。
ここできれいに刷れたものを選び、以後刷り重ねていく。
イエローはパーマネントイエローディープ(濃いイエロー)、パーマネントイエローレモン(薄いイエロー)の2種類。
昼休みを挟んで2種類を刷り上げた。
2色目に赤(キナクリドンマゼンタ)を刷り重ねる。※A日程は2色目が青。
刷らない部分(無色)、1回刷り(薄い)、2回刷り(濃い)と3段階に調整する。
黄色・白(黄色を刷らない)~赤の3段階の色調が見えてきたところで、1日目は終了。
常設展示室で、カンディンスキーやクレーの作品を参考に、絵具を塗り重ねた色面と版画による刷り重ねの色面を比べてみる。
今回のインクは、メディウムが少なく透明水彩絵具が多いと水っぽくなりやすい。加えて、色によっても粘度に差が出る。青(ピーコックブルー)のインクは透明感のある色が刷れるが、水っぽくなりがちで扱いづらい部分もある。
※A日程では2色目が青だったが、青インクが扱いづらい為B日程では3色目とした。
3色目は青(メディウム+ピーコックブルー)を刷り重ねる。
青と同様に刷らない部分(無色)、1回刷り(薄い)、2回刷り(濃い)の3段階。これが終われば色見本は完成。
3色3段階ずつ、計27色の色見本が完成した。並べて鑑賞してみる。
同じように作業したが、インク作成時のメディウムの量や紙質で少しずつ色が異なる。
A日程
B日程
色見本と同様の技法で、今度は参加者オリジナルで色を作成し、それを重ね合わせながら刷ってみる。
色の調整は透明水彩絵の具(色相)・メディウム(濃さ淡さ)で行う。
版は色見本作成時のものを流用するが、刷りの配置は自由とした。
参加者が作成した色同士の重なり合いは、思わぬ色面を生み出した。
また、配置・構成によっても色の見え方が変わってくると感じられた。
左:A日程 右:B日程
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