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ワークショップのテーマを説明する。
今回の、「台や床から離れる立体をつくる」は、物がちょっと不思議な立ち位置にあるような、あるいは、宙に向かうような、そんなふうに見えることを目指してみる。物を空中に浮かすマジックの技術講習ではない。また、普通、作品はフレームや台で囲って際立つようにするが、不思議な存在感のために台を必要としない立体にしてみる。
この考え方は、美術家の岡崎乾二郎氏の方法を参考にしている。
また今回は、木材や石、粘土などの素材からつくるのではなく、日常品など複数の物を組み合わせ、つなぐ事で試みる。
各人が使う物を探すための混乱を少なくするため、作業用机2台半分ぐらい、工具や生活雑貨などを集めてある。
宙にあるとおもしろそうな物、それを支える物など役割を少しずつ意識しながら気になる物をいくつか選んでいく。
箱椅子など、物を中空に配置するための補助の台(最終的にははずす)の上に、物の空間的な角度を決めておいてみる。
中空での位置が決まった物と、テーブルの面や床面をつなぐ物を決め、仮止めしながら全体を構築していく。この過程で使われる物は最初に選んだ物だけではなく取り替えられていく。
この作品の場合は、宙にあることのゆるいストーリーができたのかもしれない。
ベルニー二、ロダン、メダルト・ロッソ、ブランクーシ、アンソニー・カロ、荒川修作、ライプなどの作品画像を見ながら、台のない彫刻の流れをたどった。
石を各人選び、一つの石の置き方、方向、台の有無などによって、その石の在り方を変化させることができるかやってみる。
次に複数の石を配置してみる。配置できたものを鑑賞し、各自の配置が呼応・交感するかのようなものを目指して、配置しなおしてみる。
今回、1日目と2日目の間に3日ほどの間が開く。その間、宿題として、2日目の課題のエスキースをしてくることにする。
創作室の外とびらのところに次の課題に関連する簡単なインスタレーションがスタッフによってつくられる。
本日の課題:10センチ角の角材(長さは40から60センチ程度、様々)を台や床に接地しない、という条件で立体造形・インスタレーションをおこなう。場所は、創作室とその周辺で、安全であればどこでもよい。
立体の制作は、素材や工作方法にもよるが、時間も体力も技術も使う事が多い。そのためもあって、2日目は各人のペースで、個別の相談の繰り返しによって進んでいく。
ストーリーができていくもの。物の組み合わせ、素材の変化に着目したもの。コンパクトに物体性が際立つもの。場所を生かしていくものなど、それぞれの方針が見えてくる。
他者からもらうアイディア、アイディアの交換を大事にする。
各人の作品、スタッフの試作など、形になったものもならなかったものも、見て歩く。
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