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掲載日:2018年8月5日

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ワークショップ活動の記録「人物はやく描く/ゆっくり描く」

ワークショップ「はじめての木工『箸・匙』編」

  • 日時:A日程 2018年5月13日(日曜日)、6月17日(日曜日) 午前10時~午後3時
    B日程 2018年5月15日(火曜日)、6月19日(火曜日) 午前10時~午後3時

    ※上記の期間内において、各自の都合で創作室を利用して制作を進めた。
  • 場所:創作室1、創作室ギャラリーほか
  • 担当:羽賀正晃(当館教育普及部職員)
    ※展示は大嶋貴明(当館教育普及部学芸員)
  • 参加者数:5月13日(日曜日)10名、6月17日(日曜日)10名
    5月15日(火曜日)10名、6月19日(火曜日)8名

※「はじめての木工」ですので、木材や加工に関する基礎事項を多少詳しく記載しています。

5月13日(日曜日)、15日(火曜日)

午前10時~ イントロダクション(創作室)

まずは、木を見て季節の変化を感じることや、木材を使った生活の道具について話した。

午前10時10分~ 木材の持つ性質などについて

参加者に山桜の丸太を見せる。7年前に伐採したものであり、今では乾燥してひび割れが入っている。また、木材について、実物や写真を見せながら下記のことを話した。

ワークショップの様子1 ワークショップの様子2

  • 丸太の中心の部分は心材といい、その周りの辺材という部分より色が濃い。心材は幹や枝をささえ、辺材は根から葉へ水を送る部分である。
  • 木の中にある水には自由水と結合水がある。自由水は細胞内腔やすきまにある水で、結合水は木材そのものである。自由水がなくなり、結合水が細胞壁から離脱すると収縮してひび割れが起こる。
  • 年輪の白い部分は暖かい時期、色が濃い部分は寒い時期に育ったところで、季節の違いがある地域で年輪はできる。だから、例えばラワンは熱帯で育つ木なので年輪ができない。
  • 板材には、板目板、柾目板がある。板目板は変形が大きく、柾目板は変形が少ないが高価。製材のときに無駄なくとれるのは板目板。
  • 木材には無垢材や合板などがある。合板は薄く剥いたラワン材などを、繊維方向を90°ずらして互い違いに重ねて接着しているため変形しづらい。
  • 木の種類により色や加工のしやすさが違う。値段も違うので、どの材を使うかは目的と予算による。
  • 今回の箸・匙づくりでは、山桜を使うことを説明。浮世絵の版木にも使われていて堅いので、細い造形も可能だと話した。

午前10時25分~ 木を見に行く(北庭)

皆で北庭に木を見に行く。欅、桜、メタセコイアなどを見て、樹形や幹、枝振りを観察する。参加者に、テーブルの天板を作るなら、家の柱をとるなら、どの木が良いだろうと聞いてみる。目的に合った特徴を持つ木を選ぶのが良いことを話す。

ワークショップの様子3 ワークショップの様子4

午前10時40分~ 基本的な道具の使い方を覚える(創作室)

北庭から創作室に戻り、基本的な道具(のこぎり、鉋、金槌、差し金)の使い方を説明し、実演したあと、皆で実際に使う練習をした。

ワークショップの様子5 ワークショップの様子6

午前11時45分~ 箸と匙の制作過程について

箸と箸置き、匙の作例を見せる。参加者はそれを興味深そうに触ってみながら、「自分に作れるかな」と言っていた。写真を見せながら簡単に箸と匙の制作過程を説明し、お昼休憩中に箸と匙のどちらを作るか考えてもらう。

午後1時~ 箸・匙を作り始める

  • 用意した材から、使うものを選んでもらう。作りたい箸・匙のイメージを適宜スケッチしながら、材にも鉛筆で書き込んでいく。
  • 箸は鉋をかけて好みの太さの四角柱や五角柱をつくり、箸先はベルトサンダーなどで削って形を作っていく。
  • 匙はバンドソーで大まかな形を切り出したあと、のみと彫刻刀でつぼの部分を彫り、つぼ以外の部分をベルトサンダーなどで削って形を作っていく。

ワークショップの様子7 ワークショップの様子8

午後2時55分~ 紙やすりの番手と今日のまとめ

紙やすりの目の粗さを表す「番手」を説明し、木目に沿ってやすりをかけることを話す。また、ベルトサンダーはどんどん削れるので、削りすぎないように注意した。最後に、次回は鑑賞と展示をするので、それまでの1ヶ月のうちに各自の都合により創作室を利用して完成させ、自宅でオイルを塗って(1日1回、5日間以上)仕上げるよう話す。

6月17日(日曜日)、19日(火曜日)

午前10時~ 自己紹介(創作室)

各自完成した作品を持って集合し、2台の机に分かれて座る。まずはグループ内で1人ずつ、自己紹介とワークショップに参加した理由を話してもらう。

午前10時10分~ グループ内で鑑賞

  • グループごとに進行役と記録役を決めて鑑賞を始める。最初は1人の作品を1分ずつ、グループ内でまわしながら鑑賞した。
  • 次に一人の作品を皆(グループ内)で見ていく。赤いフェルトの上に作品を置き、作者が作品にこめた思いを話す。自分なりに考えた「美」と、工芸品としての機能・役割について語ってもらう。他の人からコメントをもらい、話を広げていった。
  • 最後に今回のワークショップに参加しての感想を1人ずつ話してもらった。木工に取り組んだことで、生活感が変わったかなど。

ワークショップの様子9 ワークショップの様子10

午前11時30分~ 塗装について

塗料の種類について説明した。

  • コーティング系塗料は塗膜を作り、紫外線や汚れから木を守る。保護の面では浸透性系塗料より強いが、塗膜を作るために木の柔らかな触り心地が損なわれる。
  • 浸透性系塗料は、染みこませて木自体を丈夫にするので、木本来のしっとりした触り心地になる。保護の面では比較的弱く、こまめなメンテナンスが必要である。
  • その他の塗料として、ワックスとステイン(着色)について説明。

午前11時50分~ 塗装実技

レクチャーのあと、油性ウレタン塗料による塗装を行った。

ワークショップの様子11 ワークショップの様子12

午後1時~ 展示(創作室と創作室ギャラリー)

  • 各自考えたタイトルをキャプションに書く。次に今回は作品展示であり、商品展示ではないこと。同じ匙でも見せ場が違うので、それを生かすために展示では、同じ風に並べなくてもいいし、同じように並べれば違いが際立つかもしれないと話す。
  • 2つの展示台(天板は白と黒の2種類)をどう配置するか考えてみる。壁との距離はどうするかなど実際にみんなで展示台を移動させて、いくつかのパターンを試した。
  • 次に箸と匙の置き方をどうするかを決めていく。箸や匙の方向、高さを再度検討し、スレート石、ガラス板などの展示補助台を試しながら探っていく。
  • 展示の位置を決めたあと、展示台やアクリルカバーについた汚れや埃をとるため、皆でニトリル手袋をはめて不織布にアルコールをつけ丁寧に拭く。
  • スポットライトを付けて展示が完了した。参加者からは、展示したことで作品がより良く見えるという声が出た。

ワークショップの様子13 ワークショップの様子14

午後3時10時~ まとめ(創作室)

展示の会期の確認と、作った箸と匙を使うときのメンテナンスについて説明した。最後に今回のワークショップの意義と、創作室の利用について改めて話した。

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