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掲載日:2012年9月10日

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農業早期復興プロジェクト/津波被災水田の実態調査と除塩法・栽培管理技術の確立/被災水田における病害虫・雑草の発生状況調査(雑草)

(古川農業試験場 水田利用部)

津波被災農地の復旧において問題化する可能性のある雑草種を特定し,適切な農地管理や防除法提案のための基礎的知見を得るため,本年度は被災農地の実態解明として除塩対策圃場における残草状況や泥土堆積圃場における雑草植生について調査しています。また,各雑草種の耐塩性の比較や塩分存在下での除草剤の効果・薬害変動の有無について塩害モデル試験により検討します。

試験・調査概要

1.被災農地実態調査

  1. 調査地点:除塩対策後水稲作付け圃場:9地点,泥土流入による休耕圃場:45地点
  2. 調査項目:発生草種・生育量(草丈・発生密度)・圃場内分布
  3. 調査時期:現地調査1巡目:7月27日~8月8日,2巡目:10月24日~31日

2.塩害モデル試験

1)草種別耐塩性比較

雨よけハウス内に設置した30cm×40cm×12cmのバット内に場内水田土壌を充填し,NaCl含有量(乾土比):0,0.1,1.0%相当の海水を加え代掻きを行った床土に,イネ(稚苗・カルパーコーティング籾)と各種雑草(塊茎:ウリカワ・ミズガヤツリ・オモダカ・クログワイ・シズイ・コウキヤガラ,茎葉:セリ・イボクサ)を移植・埋め込み後,経時的な生育量(草丈・茎数等)の変化を調査。
移植日:5月20日

2)除草剤効果・薬害への塩分影響

1)と同様に準備したNaCl含有量0,0.1%のイネ・各雑草種置床バットに対し,ノビエ2.5葉期(6月7日)にイマゾスルフロン・ピラクロニル・ブロモブチド水和剤(商品名:バッチリ・フロアブル)を規定量散布し,経時的に殺草効果とイネの薬害の発症状況を調査。

試験・調査結果(状況・情報)

1.被災農地実態調査

  1. 除塩対策後水稲を作付けした圃場では目立った残草はありませんでした。
  2. 泥土流入により休耕した圃場では,キク科・イネ科・タデ科・アカザ科の雑草が優占しました。
  3. 休耕圃場では,本田内のイヌビエが繁茂が最も目立ち,耐塩性が高いことで知られるコウキヤガラ,シロザが優先する圃場も多く,アメリカセンダングサは本田内・畦畔ともに確認されました。
  4. 畦畔を中心に特定外来生物・要注意外来生物の発生が複数地点で確認されました。

2.塩害モデル試験

  1. 0.1%NaCl相当の海水添加では,ホタルイ・コナギ・ミズガヤツリの初期生育が優れ,シズイ・クサネム・タウコギ・イボクサ等は抑制されました。
  2. 同条件下では,除草剤の雑草効果と移植イネへの薬害程度に影響はありませんでしたが,直播イネの出芽は抑制されました。

(平成24年1月13日掲載)

被災水田における雑草発生

イヌビエ・シロザの繁茂の写真
イヌビエ・シロザの繁茂(7月21日)

コウキヤガラの繁茂の写真
コウキヤガラの繁茂(8月1日)

アレチウリの発生の写真
アレチウリの発生(8月8日)

  1. 除塩作付圃場では問題無し
  2. 泥土流入休耕田では・・・
    • イヌビエ・コウキヤガラの繁茂
    • 特定・要注意外来雑草の発生
      → 被災農地用無人ヘリ散布除草剤10月11日新規登録済

雑草の生育,除草剤の効果・薬害への海水の影響

海水添加による各草種生育量の変化のグラフ
海水添加による各草種生育量の変化 ※耐塩性はホタルイ・コナギ・ミズガヤツリ等で高く,シズイ・イボクサ等で低い。除草剤処理による各草種生育量の変化のグラフ
除草剤処理による各草種生育量の変化 ※除草剤の効果・薬害に影響ないが直播イネの出芽は抑制

お問い合わせ先

農業・園芸総合研究所企画調整部

名取市高舘川上字東金剛寺1(代表)

電話番号:022-383-8118

ファックス番号:022-383-9907

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