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(古川農業試験場 土壌肥料部)
東日本大震災により,本県の太平洋沿岸地帯の農業は津波によって甚大な被害を受け,早急な農業復興対策の提示・実施が必要となっていますが,灌漑用水を利用した除塩に必要な用水量・灌漑回数・施肥法等の実測データがほとんど無く,有る場合でも高潮等に起因したもので,津波に関連する知見が少ないため,今年度の作付けに向けた除塩作業は,試行錯誤的に実施され,今後の除塩作業に向け,適切な手法と効果検証が求められています。
ここでは,土壌塩分濃度の違いが大豆の生育に及ぼす影響を明らかにします。
(平成24年3月29日更新)
大豆の耐塩性
大豆における土壌EC・NaCl濃度と出芽率・開花期頃生育の関係
※大豆作付け安全水準は,塩分濃度0.05%(EC0.35mS/cm)レベル
(古川農業試験場 水田利用部・土壌肥料部)
津波に伴う高塩分濃度水田に対し,塩害に弱いとされる大豆作付について除塩後の塩分動態や生育状況から除塩方法及び作付の可否条件などについて検討しています。
過去に鹿島台淵花地区塩害田調査結果報告書(1988年宮城県農業センター土壌肥料部)では,地下の蓄積塩分の毛管上昇による水稲被害が報告されています。
今年度は,除塩対策ほ場での塩害発生地区の特徴を把握し,土性層序から塩害発生の難易を検討しました。
以上のことから,大豆の枯死したほ場では,地下水位が高かったり透水性の悪い粘土質の層があり塩分が停滞しやすい条件にあること,又は作土の下に砂混じりの層があり乾燥時に作土層に塩分濃度が上がり易い条件となっていると考えらます。
除塩後の水田ほ場では,湛水管理が可能な水稲の作付を優先し,大豆作付けにおいては,排水性の悪いほ場は避け,生育中の塩分上昇に注意し,常に排水条件を保ち降雨による除塩効果を高める必要があります。
(平成24年3月29日更新)
除塩作業時期と農作業
※代掻きによる除塩により排水が悪く大豆の播種遅れや砕土率低下
除塩としての溶出法と地下浸透法
大豆の塩害(仙台市六郷)
※初期生育は順調であったが,根の伸びに影響し,後半では葉枯れが
大豆の塩害(石巻市):除塩後の発芽と生育状況(8月中旬) 石巻市蛇田地区
(7月19日頃播種) 石巻市大瓜地区
(6/下旬播種)
除塩後の層位別ECの動態(水稲)
(石巻蛇田区)
下層土に塩分が残るが,湛水管理により作土の塩分濃度は低く維持されている。(大豆)
(石巻蛇田区 大豆枯死ほ場 7月19日大豆播種)
下層塩分は停滞し,乾燥が続くと作土の濃度が上昇。
大豆枯死ほ場の層位別土壌 ~土性層序の比較~
大豆の生育悪化・枯死したほ場(石巻市大瓜地区)
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