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(古川農業試験場 土壌肥料部)
東日本大震災により,本県の太平洋沿岸地帯の農業は津波によって甚大な被害を受け,早急な農業復興対策の提示・実施が必要となっていますが,灌漑用水を利用した除塩に必要な用水量・灌漑回数・施肥法等の実測データがほとんど無く,有る場合でも高潮等に起因したもので,津波に関連する知見が少ないため,今年度の作付けに向けた除塩作業は,試行錯誤的に実施され,今後の除塩作業に向け,適切な手法と効果検証が求められています。
ここでは,津波堆積物の無機化窒素量を評価し,堆積物がすき込まれた水田における水稲の施肥法について検討しています。
以上のことから,堆積泥を鋤き込んだ場合は,窒素の発現量が多くなるので,水稲の基肥は無窒素とし,堆積砂を多く鋤き込んだ場合は,窒素の発現量が少なくなるので,水稲の基肥は慣行とする必要があり,また水稲生育期間中は葉色等を確認しながら追肥を検討する必要があります。
(平成24年3月29日更新)
水田における津波堆積土砂(松島)
堆積物混和土壌の無機化窒素量 泥の場合
砂の場合
注)堆積物の混和量は堆積層の厚さ2cm分(仮比重から計算)。
堆積物混和後30℃で4週間培養。
農地復旧除塩事業前後の土壌可給態窒素(生土)の発現(30℃4週培養)
注1)農地復旧除塩事業実施地区:石巻市
注2)試料採取日:除塩前:10月21日,除塩後:12月19日
注3)除塩実施前に耕起作業1回(7月15日)実施し,泥土2cm程度を鋤き込みしている。
注4)除塩は,縦浸透法で10cmの水深で5回実施。
注5)図中の横線は,復元田における水稲の肥培管理法(追補)(第84号参考資料)で,灰色低地・グライ土壌の4週培養窒素無機化量(3mg/100g乾土)のひとめぼれ減肥率100%ラインを示す。
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