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(農園研 園芸環境部)
津波被害地域全体の農地には海水によって過剰量の塩類が農地に侵入しました。除塩に関する既存資料,および国の除塩事業については水田の情報が主であり,園芸農地土壌の除塩に関する情報は少ない状況にあります。
農地復旧あるいは作付け誘導の前提として,被害地域の園芸農地土壌の実態を経時的に整理する必要があるため,調査を実施しています。
【試験・調査概要】
亘理,仙台,石巻,本吉各普及センターとの共同調査により,普及センターで土壌サンプリング,pHとECの分析を,農業・園芸総合研究所で塩素とナトリウムを主に分析しました。
調査時期は海水流入から期間の短い5月(41地点),6月(34地点)と,梅雨,秋雨後の9~12月(38地点)の結果についてまとめています。
土壌は表層から0~10cm,10~20cm,20~30cmで採取し,土壌試料は風乾させた後,pH,EC,の他,塩素(Cl)濃度と水溶性ナトリウム(Na)濃度は,風乾土 対 水=1 対 5で振とうした後に,ろ液をイオンクロマトグラフにて測定し,交換性ナトリウム(Na)濃度は,風乾土1gを酢酸アンモニウム-塩化ストロンチウム溶液200mlで抽出し,ろ液を原子吸光光度計にて測定しました。
以上のことから,ECと塩素は除塩作業やかん水,梅雨・秋雨で低下しましたが,一方でナトリウムはまだ残っています。
pHの上昇は,塩素の低下後,主に交換性のナトリウムが土壌に吸着しているためと考えられます。
9月以降でECや塩素が高い地点がありますが,これは,一部で地下水に塩素やナトリウムが侵入し,かん水に利用されてしまった可能性もあります。また,作付け後の肥料分のためECが上がっている地点もあります。
(平成24年3月29日更新)
園芸土壌調査 pH
EC
塩素(Cl-)
ナトリウム(Na:交換性+水溶性)
生育不良なイチゴ圃場(埴土)
生育良好なイチゴ圃場(砂土)
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