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掲載日:2021年11月22日

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普及に移す技術第91号/参考資料(震災関連)4

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参考資料(平成27年度)

分類名〔作業技術〕

改良型逆浸透膜装置を利用した地下水の脱塩システム - 震災復興関連技術 -

改良型逆浸透膜装置を利用した地下水の脱塩システム - 震災復興関連技術 -(PDF:310KB)

宮城県農業・園芸総合研究所

1 取り上げた理由

東日本大震災の影響により,地下水の塩水化が広範囲で発生しており,施設園芸の栽培用水に使用することが困難になっている。
その対策として,「逆浸透膜浄水器を利用した地下水の除塩方法-震災復興関連技術-」を普及に移す技術第88号参考資料(平成25年4月)で公表しているが,今回,システムを改良し,コストを低減した技術を確立したので参考資料とする。

2 参考資料

  • 1)システムの改良
    • a 逆浸透膜装置の変更
      • a)装置の台数を,2台から1台に減らしている。
      • b)装置内の逆浸透膜を1本増設し,造水能力を3,024L/日(カタログ値)に高めている。
        (アクア・カルテック(株)製,LC900HP/SE)
    • b システム構成の変更
      • a)くみ上げた原水の一時貯留タンク,原水タンクから装置に送水する補助ポンプ,浄水の一時貯留タンク及びフラッシング用ポンプを撤去し,システムを簡略化している
  • 2)改良システムの概要
    • a 井戸から砂ろ過器を通して地下水をくみ上げ,さらにポリプロピレン繊維フィルター(10μm)を通して装置に送水する。浄水は貯水槽に貯める(図1)。
    • b 1時間45分造水・15分休止の条件で稼働すると,電気伝導度(EC)が1.34dS/mの地下水では,本装置によりEC0.11dS/m,ナトリウムイオン濃度19ppm,塩化物イオン濃度18ppmの水質の浄水を1,904L/日造水可能である(表1,図1,図2)。
    • c 設置及び稼働にかかるコスト(試算)は,装置本体を含むシステムの設置経費が631千円,フィルター類の年間消耗品が112千円である。また,造水にかかる電気代は94.4円/m と水道料金の1/2以下である(表2)。

3 利活用の留意点

  • 1)造水量は、地下水の塩分濃度や水温の影響を受ける。また,日数の経過とともにフィルターの目詰まり等により徐々に造水量が減少する。本装置の実証試験地では,造水能力3,024L/日に対し,試験期間中の造水量は平均1,904L/日である。
  • 2)冬期間の凍結防止のため,装置及び配管の設置場所に留意し,保温対策を行う。
  • 3)排水のECは地下水の1.5倍程度になるので,塩類による生育障害を起こさないよう,作物の近くでは地下浸透等による排水処理をしない。
  • 4)システム内部の藻類等の発生を防止するため,フィルターハウジング,配管等を遮光する。
  • 5)定期的に造水量や水質の点検を行い,必要に応じてフィルター類を交換する。

(問い合わせ先:宮城県農業・園芸総合研究所情報経営部電話022-383-8114)

4 背景となった主要な試験研究

  • 1)研究課題名及び研究期間
    食料生産地域再生のための先端技術展開事業
    宮城県南部沿岸地域の水資源・未利用エネルギーを活用した中規模園芸生産システムの技術開発(平成24~26年度)
  • 2)参考データ
    改良型逆浸透膜装置を利用した地下水脱塩システム図
    図1 改良型逆浸透膜装置を利用した地下水脱塩システム
    改良型逆浸透膜装置の脱塩硬化の表
    表1 改良型逆浸透膜装置の脱塩効果(平成26年)
    増水量の推移のグラフ
    図2 造水量の推移(平成26年)
    逆浸透膜装置を利用した地下水脱塩システムにかかるコスト試算表
    表2 逆浸透膜装置を利用した地下水脱塩システムにかかるコスト試算(平成26年)
  • 3)発表論文等
    • a 関連する普及に移す技術
      • a)逆浸透膜浄水器を利用した地下水の除塩方法-震災復興関連技術-(第88号参考資料)
  • 4)共同研究機関
    農研機構農村工学研究所,農研機構食品総合研究所

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お問い合わせ先

農業・園芸総合研究所企画調整部

名取市高舘川上字東金剛寺1(代表)

電話番号:022-383-8118

ファックス番号:022-383-9907

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