普及に移す技術第91号/第91号参考資料18
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参考資料(平成27年度)
分類名〔病害虫〕
水稲乳苗育苗時の育苗箱処理剤の播種時覆土前施用が苗質に与える影響
水稲乳苗育苗時の育苗箱処理剤の播種時覆土前施用が苗質に与える影響(PDF:607KB)
宮城県古川農業試験場
1 取り上げた理由
病害虫防除に用いる水稲の育苗箱処理剤には播種時覆土前に施用できる薬剤があるが,育苗時に根の伸長抑制や葉の黄化等がみられることがある。育苗の省力化を狙った乳苗育苗では,播種量が慣行の播種量よりも多く,苗の生育に影響が及ぶ可能性がある。この乳苗育苗での播種時覆土前処理を複数の薬剤を供試して検討したところ,根の伸長抑制や葉の黄化等の症状がみられず実用上問題のない苗質が得られることを確認したので,参考資料とする。
2 参考資料
- 1)乳苗育苗の播種時に育苗箱処理剤を施用すると,苗丈,葉齢(ようれい),第1葉しょう高は無処理の場合と比較して同等か上回る(図1A,B,C)。
- 2)マット強度と乾物重(100本)は無処理区の場合と比較して同等である(図1D,E)。観察では根の伸長抑制や葉の黄化等がみられず,実用上問題のない苗質が得られる。
3 利活用の留意点
- 1)用いた育苗箱処理剤は,は種時覆土前処理が可能な殺虫剤3種,殺菌剤2種,殺虫殺菌剤1種,は種前床土混和が可能な殺虫剤1種の計7剤(表1)で,各薬剤育苗箱5枚で試験したものである。
- 2)品種は「ひとめぼれ」,平成25年5月8日に播種し,5月20日(育苗期間12日)に調査したものである。乳苗は無肥料培土を床土として乾籾で1箱あたり220gを播種し,肥料入り培土を覆土して育苗床に並べて無加温で常時被覆して育苗する(普及に移す技術第84号参考資料)。
- 3)本試験は育苗期間中(5月8~20日)の平均気温は13.6℃,日最低気温は8.5℃で平年並みか平年を下回る日が多く(図2),無処理区の苗丈が育苗目標の8cmまで生育しない状況での試験である。
(問い合わせ先:宮城県古川農業試験場作物保護部 電話0229-26-5108)
4 背景となった主要な試験研究
- 1)研究課題名及び研究期間
食料生産地域再生のための先端技術展開事業
食料生産地域再生のための土地利用型営農技術の確立(平成24年-27年度)
- 2)参考データ
表1 試験に用いた育苗箱処理剤の概要
図1 乳苗育苗における育苗箱処理剤の播種時覆土前処理が苗質に与える影響
図2 育苗期間の気温の推移(古川アメダス)
- 3)発表論文など
- a 関連する普及に移す技術
- a)常時被覆による簡易な無加温出芽乳苗育苗(第84号参考資料)
- b その他
- a)相花絵里・鈴木智貴・大江高穂・加進丈二(2014),水稲の乳苗疎植栽培における育苗箱施用剤の水稲害虫に対する防除効果と乳苗の簡易育苗法における育苗箱施用剤播種時処理の使用適性,北日本病虫研報65(講要),p209
- 4)共同研究機関
農研機構東北農業研究センター
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