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掲載日:2021年11月16日

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普及に移す技術第91号/第91号参考資料17

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参考資料(平成27年度)

分類名〔病害虫〕

水稲乳苗疎植栽培における病害虫発生リスクと育苗箱処理剤の防除効果

水稲乳苗疎植栽培における病害虫発生リスクと育苗箱処理剤の防除効果(PDF:995KB)

宮城県古川農業試験場

1 取り上げた理由

水稲の乳苗疎植栽培は,機械移植の際の株間を広くして移植する疎植栽培に移植苗として乳苗を用いることで,育苗作業の省力化と使用する育苗箱数の削減ならびに育苗施設等の効率的利用ができる省力低コスト技術である。この乳苗疎植栽培における病害虫の発生リスクと育苗箱処理剤による主要病害虫の防除を検討したところ,無防除で発生しやすい病害虫が明らかになり,育苗箱処理剤の使用により慣行栽植密度の稚苗移植栽培と同等の防除効果が確認できたので,参考資料とする。

2 参考資料

  • 1)水稲の乳苗疎植栽培を行うことで,無防除の場合に発生盛期の葉いもちならびに出穂時期のイネツトムシの発生は多くなる(図1)。これは乳苗疎植栽培を行うことで生育後半まで稲体窒素が多く葉色が濃いことが要因と考えられる(図2)が,育苗箱処理剤を使うことで,これらの病害虫に対し,慣行栽植密度の稚苗移植栽培と同等の防除効果が得られる(図1)。
  • 2)水稲の乳苗疎植栽培に育苗箱処理剤を使うことで,初期害虫のイネミズゾウムシ,イネドロオイムシ,本田生育期に発生するフタオビコヤガに対し,慣行栽植密度の稚苗移植栽培と同等の防除効果が得られる(図3)。

3 利活用の留意点

  • 1)品種は「ひとめぼれ」,稚苗を条間30cm,株間15cmの慣行栽植密度(22.2株/平方メートル)で移植する栽培に対し,乳苗を条間30cm,株間30cmの疎植栽植密度(11.1株/平方メートル)で移植する栽培で行った試験結果である。
  • 2)乳苗は,無肥料培土を床土として乾籾で1箱あたり220gを播種し,肥料入り培土を覆土して育苗床に並べて無加温で常時被覆して育苗する(普及に移す技術第84号参考資料)。
  • 3)クロラントラニリプロール・プロベナゾール粒剤(商品名Dr.オリゼフェルテラ箱粒剤)の50g/箱,移植当日処理を行った試験結果である。また当剤はは種時覆土前専用剤として別の商品名(ファーストオリゼフェルテラ箱粒剤)で販売されているので,間違えないよう注意する。
  • 4)育苗箱処理剤は含まれている農薬成分によって防除できる病害虫が異なる。使用する育苗箱処理剤が防除できる病害虫をラベル等で必ず確認する。
  • 5)乳苗疎植栽培では育苗箱処理剤を使用していても発生盛期に葉いもちが多くなる場合がある(図4)。いもち病が確認された場合は茎葉散布剤により発生の拡大を阻止する必要がある。

(問い合わせ先:宮城県古川農業試験場作物保護部 電話0229-26-5108)

4 背景となった主要な試験研究

  • 1)研究課題名及び研究期間
    食料生産地域再生のための先端技術展開事業
    食料生産地域再生のための土地利用型営農技術の確立(平成24年-27年度)
  • 2)参考データ
    水稲乳苗疎植栽培における育苗箱処理剤の葉いもち及びイネツトムシに対する防除効果のグラフ
    図1 水稲乳苗疎植栽培における育苗箱処理剤の葉いもち及びイネツトムシに対する防除効果
    出穂前の葉色の推移のグラフ
    図2 出穂前の葉色の推移
    水稲疎植栽培における育苗箱処理剤の初期及び生育期害虫に対する防除効果のグラフ
    図3 水稲疎植栽培における育苗箱処理剤の初期及び生育期害虫に対する防除効果
  • 3)発表論文など
    • a 関連する普及に移す技術a)常時被覆による簡易な無加温出芽乳苗育苗(第84号参考資料)
    • b その他
      • a)鈴木智貴・相花絵里・大江高穂・佐藤直紀・宮野法近(2014),水稲の乳苗疎植栽培におけるイネいもち病の発生リスクと育苗箱施用剤の防除効果,北日本病虫研報65(講要),p191
      • b)相花絵里・鈴木智貴・大江高穂・加進丈二(2014),水稲の乳苗疎植栽培における育苗箱施用剤の水稲害虫に対する防除効果と乳苗の簡易育苗法における育苗箱施用剤播種時処理の使用適性,北日本病虫研報65(講要),p209
  • 4)共同研究機関 農研機構東北農業研究センター
    育苗箱処理剤施用区の発病株当たり病斑数のばらつきのグラフ
    図4 育苗箱処理剤施用区の発病株当たり病斑数のばらつき

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お問い合わせ先

農業・園芸総合研究所企画調整部

名取市高舘川上字東金剛寺1(代表)

電話番号:022-383-8118

ファックス番号:022-383-9907

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