普及に移す技術第91号/第91号参考資料25
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参考資料(平成27年度)
分類名〔家畜〕
豚の精液性状に及ぼす環境要因の影響
豚の精液性状に及ぼす環境要因の影響(PDF:136KB)
宮城県畜産試験場
1 取り上げた理由
近年,牛のみならず豚においても,人工授精(AI)技術は広く普及しており,AI用精液の需要は年々高まっている。一方,精液性状は,環境要因に大きく影響され,特に夏期の暑熱による精液性状への悪影響が懸念されている。このため,高まる需要に応えるには,精液性状の改善は重要な課題である。そこで,畜産試験場のデュロック種の採精記録を用い,精液性状の遺伝的パラメーターの推定及び環境要因の影響を検討した結果,種雄豚の飼養管理に活用できる基礎的なデータが得られたので参考資料とする。
2 参考資料
- 1)精子活力,精子濃度,精液量及び総精子数の遺伝率は0.15,0.24,0.40及び0.10と推定される(表1)。
- 2)精子活力は,8月に最も低くなり,2月に最も高くなる(図1)。一方,総精子数は,9月が最も少なく,1月に最も多くなる(図1)。
- 3)また,精子活力は,若い月齢の方が高く,歳を経るにつれて減少傾向となる(図2)。総精子数は,17ヶ月齢までは増加傾向であり,その後はやや減少傾向となる(図2)。
3 利活用の留意点
- 1)夏期には精子活力が低下するため,本交だけではなく,検査済みのAI用精液を有効に利用することも産子数の確保につながる(図1)。
- 2)総精子数については,9月が底となるため,継続的な暑熱対策を行う必要がある(図1)。
- 3)本交(採精)の間隔が短すぎると総精子数のさらなる減少となる。
- 4)精子活力及び総精子数共に月齢を経るにつれて減少傾向であることから,定期的な種豚の更新が必要である(図2)。一方,12ヶ月齢を超えた比較的若い雄は,精子活力と総精子数共に良好である(図2)。
(問い合わせ先:宮城県畜産試験場種豚家きん部電話0229-72-3101)
4 背景となった主要な試験研究
- 1)研究課題名及び研究期間
優良種豚供給体制の確立(平成19年度~)
- 2)参考データ
表1 精液性状の遺伝的パラメーター
図1 精子活力及び総精子数に及ぼす月の影響
図2 精子活力及び総精子数に及ぼす月齢の影響
- 3)発表論文等
- b その他
- a)斉藤隼人・髙橋伸和・氏家哲・佐藤正寛(2015),デュロック種における精液性状に及ぼす環境要因の影響,第103回日本養豚学会大会講演要旨,p3
- 4)共同研究機関
なし
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