普及に移す技術第91号/第91号参考資料1
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参考資料(平成27年度)
分類名〔水稲〕
「環境保全米」基準に準じた水稲湛水直播栽培(鉄コーティング)
「環境保全米」基準に準じた水稲湛水直播栽培(鉄コーティング)(PDF:166KB)
宮城県古川農業試験場
1 取り上げた理由
本県における平成27年度の水稲直播栽培取組面積は2,025haであり,うち1,639haが湛水直播栽培である。近年,湛水直播栽培の鉄コーティング点播栽培(一般米)が急激に普及しており,特別栽培農産物の農薬・化学肥料節減栽培(JA全農みやぎはみやぎの環境保全米,以下「環境保全米」)のCタイプ基準に準じた栽培技術の早期確立が望まれている。
湛水直播栽培の鉄コーティング点播栽培で作付けが多い「ひとめぼれ」と「まなむすめ」を用いて,「環境保全米」基準に準じた栽培について検討した結果,基肥窒素量・農薬防除体系・品種比較を明らかにしたので,参考資料とする。
2 参考資料
- 1)「ひとめぼれ」の10a当たり目標収量を540kgとした場合,有機態窒素を含めた基肥窒素量は10a当たり6kg(移植栽培(基肥+追肥)1kg/10a減)とする。「まなむすめ」の10a当たり目標収量を630kgとした場合,有機態窒素を含めた基肥窒素量は10a当たり7kg(移植栽培(基肥+追肥)並み)とする(図2,図3)。
- 2)「ひとめぼれ」,「まなむすめ」の農薬による基本防除体系は,図1とする。
図1 「ひとめぼれ」「まなむすめ」の農薬による基本防除体系
- 3)「まなむすめ」は,「ひとめぼれ」より苗立率が高いため苗立数は確保されやすく,倒伏程度は低く抑えられ,精玄米重及び玄米品質は「ひとめぼれ」より優っている(図4,図5,表1)。
3 利活用の留意点
- 1)本試験結果は,古川農業試験場(北部平坦)において,「ひとめぼれ」の10a当たり目標収量を540kgとした場合,「まなむすめ」の10a当たり目標収量を630kgとした場合の基準である。
- 2)「環境保全米」基準における化学肥料窒素成分量は追肥量も含めて10a当たり3.5kg以下である。基肥は有機態窒素50%・化成窒素50%でLPS80(1.2%)・LPS100(1.2%)及びLPS80(1.8%)・LPS100(1.8%)が配合された肥料とLP苦土安2号を側条施肥で試験したものである。
- 3)種子消毒は温湯消毒とし,使用する農薬については安全使用基準を確認する。
- 4)「環境保全米」基準における化学合成農薬使用成分回数は,8回である。病害虫や雑草の発生状況等に応じて,剤(除草剤・殺菌剤・殺虫剤)の変更等も検討する。
(問い合わせ先:宮城県古川試験場水田利用部電話0229-26-5106)
4 背景となった主要な試験研究
- 1)研究課題名及び研究期間
水稲直播(乾直・湛直)における環境保全米栽培技術の確立(平成25~27年度)
- 2)参考データ
図2 ひとめぼれにおけるm^2当たり籾数と精玄米重(平成26・27年)
図3 まなむすめにおけるm^2当たり籾数と精玄米重(平成26・27年)
図4 ひとめぼれ・まなむすめの苗立数及び苗立率(平成26・27年平均,n=4)
図5 ひとめぼれとまなむすめの精玄米重及び整粒粒比(平成26・27年平均,n=4)
表1 収量構成要素及び品質(5月15日播種,平成26・27年の平均,n=4)
- 3)発表論文等
a 関連する普及に移す技術
a)水稲直播栽培における鉄コーティング種子の保存可能期間(第91号普及技術)
- 4)共同研究機関なし
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