普及に移す技術第91号/第91号参考資料3
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参考資料(平成27年度)
分類名〔水稲〕
平成27年産米の品質低下要因の特徴
平成27年産米の品質低下要因の特徴(PDF:592KB)
宮城県古川農業試験場
1 取り上げた理由
平成27年は,6月~8月上旬の高温多照により生育が促進し旺盛となり,作況指数103のやや良となった。しかし,玄米品質は1等米比率が83.0%で,2等以下の主な格付け理由は「心白・腹白(白未熟粒)」が大半であった(平成27年12月末現在)。今後の宮城県の高品質米生産を図るため,当年産の玄米品質の特徴を検討したところ,品質低下は気象が主要因で,肥培管理と水管理が助長要因となったことが明らかとなったので,参考資料とする。
2 参考資料
- 1)平成27年水稲の特徴は,6月~8月上旬の高温多照少雨により,生育が促進し旺盛となり,県平均の出穂期が7月29日と平年より8日と著しく早く,稲体窒素吸収量が多く,m^2当たり穂数が多く,m^2当たり籾数がやや多い(図1)。
- 2)平成27年産の品質低下の特徴は2つに分けられる。
a 7月中に出穂したほ場:高温多照により登熟が促進し(図2),基部未熟粒や乳白粒(高温障害タイプ)が多発(図3)。
b 8月5日以降に出穂したほ場:低温寡照により登熟不良となり(図2),乳白粒(低温寡照タイプ)が多発(図3),
- 3)白未熟粒の発生を助長した要因として,m^2当たり籾数が適正籾数(282~300百粒/m^2)以外で,登熟期前半の葉色低下が大きいところで多発(図4)。
- 4)水管理では,水稲の生育ステージに合わせた管理不十分な地域や水不足のほ場等で白未熟粒が多発(図5)。
図1 平成27 年産の品質低下要因図
3 利活用の留意点
- 1)高品質米生産を図るため,平成28年度稲作指導指針の技術的課題と対策を実施する。
(問い合わせ先:宮城県古川農業試験場水田利用部 電話0229-26-5106)
4 背景となった主要な試験研究
- 1)研究課題名及び研究期間
主要農作物高位安定生産要因解析事業(平成27年度)
生育調査ほ(平成27年度)
- 2)参考データ
図2 「ひとめぼれ」の出穂時期別登熟状況
図3 「ひとめぼれ」出穂日別の白未熟粒率と出穂後20日間の平均気温
図4 「ひとめぼれ」における穂揃期から出穂25日の葉色値減少幅と籾数別の白未熟粒比の関係 (生育調査ほ,作況ほ)
図5 地帯区分別の中干し期間と幼穂形成始期との差(生育調査ほ)
- 3)発表論文等
- a 関連する普及に移す技術
- a)平成22年産米の高温登熟等による品質低下要因の特徴(第86号参考資料)
- b その他
- a)平成28年度稲作指導指針
- b)宮城県における平成27年度水稲及び麦類・大豆の作柄解析,宮城県古川農業試験場臨時報告,第12号(平成27年)
- 4)共同研究機関 なし
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