普及に移す技術第91号/第91号参考資料6
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参考資料(平成27年度)
分類名〔畑・特用作物〕
六条大麦の幼穂長による開花期予測
六条大麦の幼穂長による開花期予測(PDF:265KB)
宮城県古川農業試験場
1 取り上げた理由
六条大麦の赤かび病防除にあたっては,開花期の薬剤散布が重要であるが,六条大麦は生育ステージの年次間差が大きいため防除適期を逸する事例が多く,開花期の正確な予測技術が必要となっている。普及に移す技術第83号では,「麦類の出穂期を基準とした開花期予測」を,同84号では幼穂長を用いた「六条大麦の出穂期予測」をそれぞれ報告した。小麦については,出穂期から開花期に至る期間の発育下限温度と必要な有効積算温度を算出することにより,同じく88号で「小麦の幼穂長による開花期予測」を報告し,幼穂長を用いて直接開花期を予測することが可能となった。そこで,六条大麦についても同様の検討を行い,「幼穂長による開花期予測」が可能となったので参考資料とする。
2 参考資料
- 1)大麦「シュンライ」及び「ミノリムギ」では,日平均気温の積算値により,出穂期を基準として開花期を推定することができる。その場合,出穂期から開花期までに必要な有効積算温度は41.2℃,その際の発育限界温度は6.4℃である(図2)。
- 2)幼穂長(の常用対数)を用いて出穂期を推定することができる(普及に移す技術第84号)。
- 3)上記2品種では,幼穂長による出穂期予測と出穂期を基準とした開花期予測を組み合わせることにより,幼穂長による開花期予測が可能である(図1,図3)。
- 4)「麦類の幼穂長による生育ステージ予測シート」により,Excel(Microsoft®Officeのワークシートに幼穂長を入力することで,アメダス地点毎の予測月日が簡易に得られる(図4)。
図1 幼穂長による開花期予測のイメージ(シュンライ)
3 利活用の留意点
- 1)予測に用いる幼穂長の値は,生育中庸な個体の主茎5本前後の平均値を用いる。
- 2)幼穂長が短いほど測定誤差が予測精度に与える影響が大きいため,幼穂長5mm未満の場合は実体顕微鏡を用いて測定することが望ましい。
- 3)出穂期に達するまでの日数及び出穂期から開花期までの日数を予測するには,その地域における調査翌日からの日平均気温平年値データを用いて行う。
(問い合わせ先:宮城県古川農業試験場水田利用部電話0229-26-5106)
4 背景となった主要な試験研究
- 1)研究課題名及び研究期間
食料生産地域再生のための先端技術展開事業
食料生産地域再生のための土地利用型営農技術の実証(平成24~27年度)
主要農作物高位安定生産要因解析事業,麦類作況試験(平成19~26年度)
- 2)参考データ
図2 出穂期から開花期の期間の平均気温と所要日数および発育速度(左:原図,右:温度を示した改図)(平成20~25年産シュンライ[n=13]・ミノリムギ[n=12])
図3 開花期に達するまでの予測日数と実測日数(平成25~26年産シュンライ[n=7]・ミノリムギ[n=5])
図4 エクセルのワークシートによる開花期予測の例
- 3)発表論文等
- a 関連する普及に移す技術
- a)麦類の出穂期を基準とした開花期予測(第83号参考資料)
- b)六条大麦の出穂期予測(第84号普及技術)
- c)小麦の幼穂長による開花期予測(第88号普及技術)
- d麦類の生育ステージ予測シート(第91号参考資料)
- 4)共同研究機関
農研機構東北農業研究センター,中央農業総合研究センター
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