普及に移す技術第91号/第91号参考資料23
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参考資料(平成27年度)
分類名〔経営〕
農産物直売経営における震災からの早期回復要因と消費者の意識の変化
農産物直売経営における震災からの早期回復要因と消費者の意識の変化(PDF:204KB)
宮城県農業・園芸総合研究所
1 取り上げた理由
東日本大震災後,放射性物質による出荷制限や風評被害等が影響して,農産物直売所等の年間販売額の減少や販売力が低下している事例がある。これらの状況を改善するための一助として,早期回復取組事例及び消費者へのアンケート調査結果から,農産物直売経営における震災による風評等の影響から早期回復を図った要因及び消費者の食の安全安心に対する意識の変化を明らかにしたので参考資料とする。
2 参考資料
- 1)震災による風評等の影響から早期回復を図った要因
事例調査の結果,県内及び近隣県において震災による風評等の影響から販売力の早期回復を図った経営体では,「1」震災以前からの利用客との信頼構築,「2」震災直後の商品の放射性物質検査へのいち早い対応,「3」直接対話による放射性物質測定結果等の正確な情報伝達の継続,「4」商品構成の分散によるリスク軽減,を実施している。
- 2)仙台圏及び首都圏消費者の食の安全安心に対する意識の変化
平成27年度実施のアンケート(以下,「平成27年調査」と記載)結果について,震災後1年目である平成24年度実施のアンケート(以下,「平成24年調査」と記載)結果と比較し得られた結果は以下のとおりである。
- a 仙台圏消費者の「食品や水に含まれる放射性物質」に対し「かなり不安」に感じる人の割合は,平成24年調査結果より低下している(図1)。
- b 仙台圏消費者の「原発事故直後との食品や水に対する不安の程度」は,平成24年調査結果と有意な差はみられない。また,首都圏消費者の「あまりかわらない(当時と同様不安である)」人の割合は低下している(図2)。
- c 「福島第一原発事故現場近隣県で生産された食品で購入を避けているもの」について,仙台圏及び首都圏いずれも「特にない」人の割合が高い。平成24年調査結果と比較すると,仙台圏では,「米」,「野菜」,「果物」,「きのこ・山菜類」,「肉類」,「卵」,「牛乳」,「お茶」の購入を避ける人の割合が低下している。首都圏では,「米」,「野菜」,「果物」,「きのこ・山菜類」,「肉類」,「魚介類」,「卵」,「牛乳」の購入を避ける人の割合が低下している(図3)。
- d 仙台圏消費者における食品の安全安心全般への意見・提言に関する自由記入内容から,食の安全安心には,「検査」及び「表示」がより求められている(表1)。
3 利活用の留意点
- 1)事例調査対象は,農産物直売所(県内:2か所,福島県:2か所),県内市町村(1町),食料品スーパー(1社),民間非営利団体(1団体)である。
- 2)平成27年調査は,当所所管「農産物に関する消費者モニター」仙台圏在住362名(以下,「仙台圏モニター」と記載),首都圏在住199名(以下,「首都圏モニター」と記載)を対象に平成27年6月に郵送により実施している(回収率:仙台圏56.6%,首都圏56.3%)。
- 3)平成24年調査は,平成24年9月~10月に当所所管「農産物に関する消費者モニター」(仙台圏モニター326名,首都圏モニター234名)を対象に郵送により実施している(回収率:仙台圏57.4%,首都圏61.1%)。
(問い合わせ先:宮城県農業・園芸総合研究所情報経営部電話022-383-8120)
4 背景となった主要な試験研究
- 1)研究課題名及び研究期間
農産物マーケティングに係る商品企画・開発支援手法の確立(平成22年~25年度)
震災復興に向けた農産物直売経営の経営効率評価および消費行動に依拠した今後の展開方向(平成25年~27年度)
- 2)参考データ
図1 「食品や水に含まれる放射性物質」に関するアンケート結果(単一回答)
図2 「原発事故直後との食品や水に対する不安の程度」に関するアンケート結果(単一回答)
図3 「福島第一原発事故現場近隣県で生産された食品で購入を避けているもの」に関するアンケート結果(複数回答)
表1 仙台圏モニターにおける食品の安全安心全般への意見・提言に関する自由記入内容における名詞出現回数
- 3)発表論文等
- 4)共同研究機関なし
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