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掲載日:2012年9月10日

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宮城のプルサーマル情報|講演会・討論会の記録

会場で寄せられた全ての質問と回答(平成21年11月19日現在・最終版)

V.原子力一般(1)

原子力

原子力技術
プルサーマルを含め、人間は原子力を制御できるのか。[女川]
[出光講師]
現時点での十分に制御して利用していると理解しております。
[小林講師]
人間はミスをするもの、機械は故障するものです。安全対策はいろいろされているでしょうが、人間の考えることには限界があり対策が常に万全だとは言い切れません。予期しなかった事態も起こることは、過去の大事故が示しています。人間が原子炉を制御できると言い切ることはできないと考えます。
過去のマイナス部分をとりあげて「危険性」などを説明いただいたが、近年の技術の進歩をふまえると、どのように考えているか?[牡鹿]
[出光講師]
現在の設備は十分に安全に設計されていると思っています。ただし、慢心による人的ミスを起こさないよう注意して使う必要はあります。
[小林講師]
技術の進歩には両刃の剣的な性質があります。技術で未解明な問題があれば安全余裕を大きくとることによって不明瞭域をカバーしようとします。それが結果として異常時の安全確保に役立つことがあります。技術進歩の結果問題の解明が進むと、設計は経済性を求めてより現実的になり、過去の安全余裕は過剰と見なされ削られることが多くなります。あるいはより過酷な条件で使われることにつながります。その結果、あらかじめ想定された異常時には耐えられても、予期せぬ事態に遭うと耐えられないことも出てくるでしょう。
講師の考え
プルサーマルは不要とのお話ですが、先生のお話を伺うと、そもそも原子力発電は不要というお考えのように聞こえますが、いかがですか。原子力が不要だとすれば、日本において具体的な代替電源は何になるのでしょうか。太陽光発電等は夜は使えないし、化石燃料は環境問題が心配だと聞きますが、原子力なしにエネルギー問題を考えることが可能ならばお考えをお伺いしたいです。[女川]
[小林講師]
「プルサーマルが不要」の意味は、たとえ原子力推進の立場に立ってもプルサーマルには意味がないということです。一方、私はウラン燃料の原発もやめるべきだと考えています。
日本の全エネルギーにおける原子力エネルギーの役割はそれほど多くはありません。エネルギー消費で見ますと、全エネルギー消費のうち電力の形で消費される分は約4分の1に過ぎません。その電力のうち、原子力でになっている分は、現在、30%ぐらい。すると、全エネルギーで見ますと原子力は4分の1の30%ですから10%にもなりません。国は将来40%まで高めるといってますが、それでも10%ほどにしかなりません。皆さんが原子力を過剰に買いかぶっておられると思います。なぜ原子力は少ないかと言いますと、原子力はフルパワーでしか運転できず、需要の変化に合わせて出力を調整できないからです。電力需要は、昼と夜とで2倍から3倍変動し、夏と春秋とでも40%ぐらい変わります。原子力は昼夜や季節で変動しない部分しかになえないからです。もしどこかの原発でトラブルが発生すると、その内容によっては全国の同型の原発すべてを停めなくてはならない事態があります。数年前東京電力で起こりましたが、そのとき真夏に東京電力の全原発が停止しても、東京は電力不足になりませんでした。電力を沢山使うのは、1年でも真夏の数日の昼間数時間だけです。この短い時間だけの問題ですから対応は容易です。しかも、このときは太陽光発電が最も有効な時間帯です。夜は電力需要が半分以下に減りますから問題ありません。夜間も原子力を使わないなら、比較的環境によく発電効率に優れて安価な天然ガスタービン・コンバインド発電を使えば、1基で同出力の原発2基分近い電力を供給することができます。すでに多数基が稼働しています。
科学技術というのは最終的にはその進歩を通じて人間の幸福の実現を図ることだと考えますが、小林先生は一人の科学者としてそのことについてどう考えられておられるのですか。原子力は地球温暖化対策、エネルギーセキュリティの観点から考えれば切り札と考えますが、先生の原子力を否定する主張からすると温暖化対策として何を考えておられるのですか。[女川]
[小林講師]
科学技術の進歩が人間の幸福を実現するという考え方は、ずいぶん前に事実によって否定されています。核兵器の開発が代表例ですが、それ以外でも水俣病、スモンなど数々の薬害、四日市ぜんそくなど科学技術がもたらした悲惨な公害は枚挙にいとまがありません。これから科学技術にとって大事なことは、進歩と同等以上の努力をはらい、その意味や負の問題を逃さず検証することだと考えています。その作業は、推進している当事者だけでは不可能です。当事者は不利な情報でもできるだけ公開し、利害関係を持たない公正な第三者が常に批判的な目でそれを検証することが重要だと考えます。
地球温暖化に関しては、炭酸ガス原因で温暖化しているのか、温暖化したため大気中の炭酸ガス濃度が増えたのかわからないと思っています。しかし、仮に炭酸ガスが原因だとしても、その対策が炭酸ガスを減らすことではないと思います。温暖化の真の原因は人類、特にいわゆる「先進国」によるエネルギーの使いすぎだと考えています。炭酸ガスを減らせばいいという問題ではなく、エネルギー選択によって解決できる問題ではないでしょう。エネルギーを使うこと自体が地球を直接加熱しています。たとえば、原発は効率の悪い発電ですから、発生した熱の大部分(3分の2)は海に捨てられます。それが海を温暖化しています。天然ガスタービン・コンバインド発電なら海水の温暖化は半分に減ります。いまはまだ影響が小さくても、このままエネルギー消費が増えると遠からず炭酸ガスに関係なく地球は温暖化するでしょう。地球温暖化対策は、今のエネルギー消費を減らす以外にないと考えています。それは同時に、エネルギーセキュリティにもつながります。

お問い合わせ先

原子力安全対策課事故被害対策班

宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号5階北側

電話番号:022-211-2340

ファックス番号:022-211-2695

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