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掲載日:2012年9月10日

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宮城のプルサーマル情報|講演会・討論会の記録

会場で寄せられた全ての質問と回答(平成21年11月19日現在・最終版)

IV.サイクル関係(3)

FBR

高速増殖炉
高速増殖炉の実用はいつから[石巻]
[出光講師]
日本では2025年に実証炉、2050年に商業炉運転開始を目指しています。
フランスは2020年に次のFBRの運転開始を目指しております。このFBRは現在のものと同じくナトリウム冷却方式にすることが決まっています。ロシアでも新しいナトリウム冷却方式の高速炉を建設する計画があります。この他、中国、インドも建設中または計画を持っています。
[小林講師]
日本の計画(原子力政策大綱)では2050年頃からの商業利用をめざすとしています。現在、事故後14年間停まっている原型炉(実用化2段階前の試験炉)「もんじゅ」の運転再開が計画されていますが、この型では建設費が高すぎて実用化できないことがはっきりしています。もんじゅはすでに原型炉としての役割を失い、今描かれている実用化像はもんじゅと大きく異なる構造で、数々の未知な技術を含んでいます。それらの技術開発はこれからで、その成否はまだわかりません。今の原発(軽水炉)より危険で費用がかかり、核兵器製造に結びつきやすく、過去65年かけても実用化できなかった高速増殖炉が、これからも実用になるとは思えません。
各国が高速増殖炉から撤退した理由は何ですか?中長期的にも不要と言い切れるのでしょうか?[女川]
[出光講師]
撤退しているとは認識しておりません。ヨーロッパではフランスの技術が突出しているので、近隣国はフランスに任せていると考えています。ロシアは継続して運転と建設計画等の研究を継続しています。アジアでは、インドと中国が建設に意欲的です。アメリカは研究は続けていますが、炉の建設計画はありません。
[小林講師]
まず、米国が撤退した理由は、実験炉で暴走事故や大規模な炉心溶融事故を経験して高速増殖炉固有の危険性を認識して開発が減速したあと、核兵器拡散につながる危険に気がついてさらに減速し(1970年代後半)、最終的には議会が経済的に成り立たないとして予算を拒否しました(1983年)。以後、高速増殖炉開発から撤退しました。英国は、サッチャー政権時代の80年代後半に見直し作業が行われ、「ウラン枯渇に備えた保険としては高価すぎる」と結論して開発が中止されました。今は研究活動さえ一切行われていません。ドイツは、高速増殖炉特有の核的爆発事故の可能性が否定できないとして許認可の結論が出ず、完成した原型炉に一度も燃料装荷しないまま1991年停止され、開発から撤退しました。フランスは、1991年に成立した「放射性廃棄物管理法」によって、プルトニウムを増殖する高速増殖炉開発から撤退し、それまで動いていた高速増殖炉を、プルトニウムを焼却して減らしたり長期にわたって残る放射性物質を焼却するための研究用高速炉に変更しました。その炉も、今年停止されることが決定しています。ロシアで稼働している炉は濃縮ウランを燃料とするものですから高速増殖炉ではありません。この炉も停止が言われ始めました。中国で建設中の炉はロシア製で同様ですし、インドの高速増殖炉は米印原子力合意(2006年)で軍事用に分類されましたから論外です。
65年にわたる高速増殖炉の開発史からわかるように、中長期的に必要か不要かという問題以前に高速増殖炉には致命的問題がありますので、実現性自体が不透明な状態です。
高速増殖炉が実用化しなければ、プルトニウムを利用すべきではない。というのは、研究者としてのこだわりではないか。燃えるプルトニウムを使用することは、国際公約に沿っているし、廃棄物を減らせるのであれば、ベストでなくてもベターな選択ではないか。安全性でも十分すぎる裕度があるのであれば、何も問題ないのではないか。(出光先生の説明を聞くと、小林先生の説明は小さなリスクをいかにも危ないと大げさにとりあげて主張しているように思う。)[牡鹿]
[小林講師]
私は、「高速増殖炉が実用化しなければ、プルトニウムを利用すべきでない」という言い方をした覚えはありません。プルトニウムを資源として利用するなら高速増殖炉でないと意味がないという科学技術的事実を述べたまでです。高速増殖炉に対しては、軽水炉に比べても格段に危険なこと、超核兵器級のプルトニウムが極めて容易に得られ近隣諸国に警戒心を抱かせるために、私は、安全上及び国際道義上、建設したり動かしたりすべきでないと考えています。「研究者としてのこだわり」なぞは毛頭ありません。また、国際公約に沿わせるというなら、プルサーマルをやることではなくまず六ヶ所再処理工場の稼働を中止するのが本筋ですし、再処理をすれば放射性廃棄物は増えこそすれ減ることは決してありません。

お問い合わせ先

原子力安全対策課事故被害対策班

宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号13階北側

電話番号:022-211-2340

ファックス番号:022-211-2695

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