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令和2年10月9日(金曜日)に美里町立中埣小学校において,「こども環境教育出前講座」を開催しました。
4年生児童が,東北工業大学工学部環境応用化学科 教授 山田一裕氏から講義を受け,水の汚れについて考えを交わしたり実験を行ったりしながら,“水の汚れ”を科学的に知ることの意義を学びました。
環境教育では,理科や社会科など教科教育の総合的・横断的な理解を促すとともに,論理的な思考力・判断力等を育みます。
宮城県は,持続可能な社会を次世代に残していくために,小学生の時期に環境教育を受ける機会を十分に確保し,環境問題を主体的・協働的に考え,行動する人材の育成に取り組みます。
山田氏は所属する東北工業大学で水環境保全技術の開発や地域資源の利用等の研究に取り組んでいます。その傍ら,環境教育の教材やプログラムなどについても研究を進めており,これらを活用して,児童生徒や地域住民を対象にした環境意識啓発のための学習機会を提供しています。
中埣小学校は,総合的な学習の時間(さくらタイム)の目標を「体験から学び,中埣を考え,中埣の良さを発信しよう」と掲げ,探求的な学習に主体的・協働的に取り組む態度を養うことを目指しています。達成を図る手段の一つとして,学習の場を広く校外に求めるようにし,地域の自然,社会,人等と関わることを通して,地域のよさや問題点を発見したり,自分ができることを考えて行動したりする力を育むように実践しています。
地域学校協働活動推進目標を「家庭・地域・学校が連携・協働して子どもを育てる環境づくり」と示し,連携・協働を通して,コミュニケーション能力や,他者と意見や考えを調整する態度を養うことができるように,教育活動を工夫して展開しています。
山田氏は,児童が考えを整理しやすいように,設問の筋道を立てて作成した教材ワークシートを用いて講義しました。
“泥が出てきそうな所はどこ?”“水が濁るのはなぜ?”“川に浮いている油はどこから来るの?”“人が川に油を捨てている場面を見たことある?”などと,児童とテンポよく受け答えし,改めて水の汚れについて考えるということの面白さにひき付けました。使用後の汚れた水をきれいにするために下水処理の技術が生み出されたことを教え,「みんなが使った後の水はどうなっているか,また,それはその後どうなるのかということを知ろうとすることが大切」ということを話しました。
汚れの度合いを調べる実験では,児童が日頃飲んでいるような清涼飲料水を示して関心を引き寄せてから,“水の汚れの代表的なものが有機物”と知らせ,児童にとって新たな知識となる“有機物”について説明しました。演示実験(COD測定)では,水に清涼飲料水を1滴加えただけのものでも色の変化が明瞭に見られ,児童は「どんどん変わっていく!」などと言葉を発しながら驚いていました。
山田氏は「なぜ,こうした実験によって,水の汚れを科学的に調べることが必要なのか」と問い掛けて,児童が本時の学習の目的を「『水をきれいにするため』に学ぶ」と明確にできるように導きました。
その後,児童は,吸着や凝集の仕組みによって水をきれいにする実験に取り組みました。山田氏の説明を真剣に聞き,友人と手順を確かめ合いながら協力して行いました。
学習のまとめで,山田氏は「水は,みんなが使った後,また誰かが使う。みんなが安全に使えるように大切に使ってほしい」と話し,環境保全のために生活を見直すことの大切さを伝えました。
環境保全活動や環境教育に熱意を持つ宮城県環境教育リーダーが講師を務めたことにより,児童は期待を高め,疑問に思ったことを積極的に質問しようという姿勢を高めていました。
山田氏は,「私がこの仕事をしているのは,水俣病という水銀事故を知ったことがきっかけになった。」と,将来の職業や自己を生かす生き方について考えを深めることになったということも伝えました。
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