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令和2年10月6日(火曜日)に加美町立鳴瀬小学校において,学習活動「生ゴミからエネルギーを作ろう」を行いました。
6年生児童が,東北大学大学院農学研究科 准教授 多田千佳氏の講義を受け,生ゴミからメタンガスを発生させて活用する実験を通し,再生可能エネルギーの特長について学びました。
実験は,NPO法人スパっと鳴子温泉自然エネルギーの皆さんの支援を受けて行われました。
多田氏は,バイオマスエネルギー生産や資源循環に関する研究とともに,バイオメタンの普及に伴う環境教育にも熱心に取り組んでおり,管内ではNPO法人スパっと鳴子温泉自然エネルギーと連動して例年数回活動しています。
NPO法人スパっと鳴子温泉自然エネルギーは,鳴子温泉の熱源エネルギーと,これを利用して創出する再生可能エネルギーを,地域で活用するよう振興することなどを目的に活動しています。東北大学大学院の研究事業と連動して,「生ゴミからバイオメタンガスを発生させて活用する」ことの優位性を普及しようと,管内の小・中学校の環境教育分野で連携・協働した学習プログラムを展開しています。
鳴瀬小学校は総合的な学習の時間で,横断的・総合的な課題の一つとして「環境・エネルギー」を扱っています。題材「ふるさとの環境を守ろう」で,“生活を支える資源・エネルギー活用の多様さと重要さ”,“省資源・省エネルギーに向けた取組”などについて,他教科と関連付けながら探求的に学習するよう実践しています。
協働教育全体計画の重点目標には,「地域と学校が目標を共有しながら連携・協働し,地域全体で未来を担う子供たちの成長を支える取り組みをする」と掲げています。地域について体験的に学習することなどを通して,児童が自分と地域とのかかわりを考え,主体的に地域に関わることができるように,能力の育成を目指しています。
東北大学大学院農学研究科 准教授 多田 千佳 氏
《補助》NPO法人スパっと鳴子温泉自然エネルギー
多田氏は児童に生活の中でガスを燃やしていることを振り返らせ,ガスの大切さを改めて気付かせました。また,都市ガスのほかに,自然界で微生物が発生させる「メタンガス」があるということを知らせました。
牛の胃の中でもメタンガスが作り出されることを伝え,その様子を想像させる場面では,児童が興味を持って考えられるように言葉を選び,表現を面白くして教えました。
実験では,それぞれのグループに法人のメンバーや大学院生などが入って,児童の活動を補助しました。生ゴミに触ることや慣れない作業を行う場面で,大人が細かに言葉掛けしたり支援したりすることが効果を発揮し,児童は安心しながら活動して学びました。
実験に使用する種菌,マルチミネラル等溶解液や重曹などの材料だけでなく,電動ミキサー,計量カップ,ゴム手袋などの道具も,多田氏が持ち込んで行いました。
発生させたメタンガスで湯を沸かす実験では,児童はガスバッグを上手にコントロールしようと真剣に取り組みました。大人の支援を受けながら着火し,青い炎を確認すると「ついたよ,ついたよ!」と声に出して互いに知らせました。グループ内で協力するだけでなく,みんながうまく沸かせるように,ガスバックを使い合う行動も見られました。
皆で沸かした湯で茶を飲みながら,講師は改めて,「毎日,日本人1人が生ゴミ200gを発酵してバイオガスを利用すると,杉の木1.3本分の資源と同じ効果がある」と伝えました。一連の体験を経た児童は,この内容を現実的なものとして理解を深めた様子で,真剣に聞き入りました。
電気自動車やガス灯への利用を身近なものとして捉えたほか,宮城県パラリンピック聖火にメタンガスを燃料として各地で採火した火を集火するという計画も知らされ,バイオガスの展望の広がりに興味を示しました。
バイオマスエネルギーや資源循環について専門的な知見を持つ多田氏が講師を務めたことによって,児童は,通常の授業では取り組みにくい実験を行えることや,学習を深められることを期待して臨んだ様子でした。
ガスバック等の特殊な物だけでなく,各グループで使うのに必要な数のミキサーも持参するなど,学習環境を整えて実施したことは,円滑に学習を進めることにとても効果的でした。
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