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里浜貝塚は、日本三景として名高い松島湾の北部、東松島市の宮戸島に所在する縄文時代晩期の貝塚で、島の北部、標高5~30mの範囲に9箇所の地点あるいは斜面貝塚が群在し、宮戸島貝塚とも通称される。本貝塚は、明治30年頃より高島多米治による遺物採集がなされ、その採集品はN・Gマンロー著『プレヒストリック・ジャパン』(明治41年)に紹介、明治末年には既に人々に知られていた。大正年間には、東北大学理学部古生物学教室によって数次の発掘調査がなされ、昭和26年から10年間にわたり宮戸島遺跡調査会による発掘調査も実施されている。
昭和54年~59年、このうち西畑地区と称される貝塚群北部の貝層(東西約37.5m、南北約20m)を対象に、東北歴史資料館が6次にわたって学術調査を実施し、厚さ約3mにも及ぶ貝層の堆積と、埋葬遺構2基が検出された。本件は、この調査で出土した遺物である。
遺物は、骨角牙製品293点と貝製品91点を中心に、石器・石製品168点、土器・土製品38点で構成される。とりわけ、本件を特徴づけるのは、豊富な骨角牙製品の存在である。骨角牙製品は釣針・銛頭・鏃・やす等の・漁撈・狩猟具と、髪飾・管玉・平玉・垂飾等の装身具に見るべきものが多い。特に釣針は、長さ8cmを越える鹿角製単式のものが殆どで、対象とする魚が大形魚であることを物語る。銛頭・鏃・やすは鹿角やエイの尾棘等を素材とし、燕尾形・単式・組み合せ式等豊富な種類で構成され、多くの箇体にアスファルト痕が観察される。また装身具には、鹿角を用い、複雑で美しい入組み文を彫刻した髪飾や腰飾、猪牙・オオカミの臼歯・鹿切歯骨製の垂飾、さらに鵜や兎等の長管骨を利用した管玉、サメの椎骨製の平玉等がある。貝製品は貝輪、垂飾があり、貝輪には未製品も含まれる。石器・石製品は石鏃・石槍・石錐・石匙等の漁撈・狩猟具と、岩版・石棒・石刀等の儀礼用具に加えて装身具としての玉がある。土器・土製品は、深鉢・鉢形土器10点、浅鉢形土器11点、壺形土器6点、香炉形土器1点、製塩土器3点と、土偶残欠6点、玉1点で構成されるが、中でも全形を窺える製塩土器は、松島湾沿岸における縄文時代の製塩技術を知る上で貴重な資料である。
(指定年月日)平成12年6月27日
骨角牙製品 | 小計 | 293 | 石器(JPG:17KB)・石製品 | 小計 | 168 |
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釣針(JPG:25KB) | 12 | 石鏃 | 50 | ||
銛頭(JPG:25KB) | 26 | 石槍 | 20 | ||
鏃(JPG:24KB) | 37 | 石錐 | 30 | ||
根挟(JPG:24KB) | 2 | 石匙 | 3 | ||
やす(JPG:24KB) | 41 | 箆状石器 | 3 | ||
箆(JPG:18KB) | 32 | 楔形石器 | 18 | ||
箆状製品 | 5 | 石斧 | 6 | ||
刺突具(JPG:12KB) | 30 | 磨石・敲石・凹石 | 12 | ||
棒状製品 | 2 | 石皿 | 3 | ||
弭(JPG:24KB) | 19 | 砥石 | 1 | ||
鉤先(JPG:14KB) | 19 | 岩版(JPG:29KB) | 2 | ||
髪飾 | 8 | 石棒 | 2 | ||
管玉 | 25 | 石刀 | 3 | ||
平玉 | 4 | 異形石製品 | 3 | ||
環状品 | 3 | 玉(JPG:29KB) | 12 | ||
垂飾(JPG:26KB) | 27 | 土器(JPG:12KB)・土製品 | 小計 | 38 | |
敲打器 | 1 | 深鉢・鉢形土器 | 10 | ||
貝製品 | 小計 | 91 | 浅鉢形土器 | 11 | |
貝輪(JPG:26KB) | 20 | 壺形土器 | 6 | ||
垂飾 | 6 | 香炉形土器 | 1 | ||
調整具(JPG:16KB) | 65 | 製塩土器(JPG:22KB) | 3 | ||
* | * | 土偶(JPG:29KB) | 6 | ||
* | * | 玉(JPG:29KB) | 1 |
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