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若宮八幡神社の湯花行事は,大崎市三本木新沼地区で毎年旧暦9月18日の夜に行われる湯立の行事である。同地区の安寧を願う大釜と家単位で奉納する羽釜が参道にならべて置かれ,白装束の神職がこれら一つ一つに対して湯笹を浸けて湯を振りまく。釜の奉納者はこの傍らで湯を浴びたのち,白装束の神職の腰を抱いて釜から引き離し,「ケンザ」と呼ばれる神職に正対させる。これを受けてケンザは白装束の神職に向かって祈願を唱える。これをすべての釜に対して行う。白装束の神職が振りまく湯は花に見立てられ,奉納者はこれを浴びることで無病息災になると考えられている。
湯花行事は我が国の祭礼の一つのあり方を伝えるもので,若宮八幡神社においては文献によりその歴史を近世まで遡ることが可能であり,時代的な変容はありながらも大枠において古式を遺していることが確認できる。現在でも旧暦で開催されており,加えて家単位で釜の奉納が続けられるなど地域的な特徴もよく示す。行事に用いられた湯笹や木杭が各家の厄除けのために飾られており,本行事が地域住民により今日まで伝承されている点も評価できる。
(指定年月日)令和2年(2020年)2月14日
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