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本資料は、仙台市青葉区熊ヶ根に所在する野川遺跡の2基の土坑及びその周辺から出土した縄文時代草創期の土器29点と石器700点からなる。
その内訳は、第1土坑出土の、両面加工石器、へら状の石器、石鏃、尖頭器、石錐、スクレイパー、二次加工または微細剥離痕のみられる剥片、剥片の石器603点、土器1点の合計604点、第2土坑出土の、へら状の石器、尖頭器、スクレイパー、二次加工または微細剥離痕のみられる剥片、剥片の合計66点、土坑周辺出土の、へら状の石器、石鏃、尖頭器、スクレイパー、石核、剥片の石器31点、土器28点の合計59点である。
土器には絡状体圧痕文や撚糸の側面圧痕あるいは回転による縄文、爪形文が施されている。
石器には大型の両面加工石器やへら状の石器などがある。石材は、僅かな産地不明の珪質凝灰岩を除いて残りのすべてが東北地方日本海側で産出する良質な珪質頁岩である。
本資料は、縄文時代草創期の土器と石器が発掘調査によってまとまって出土した県内唯一のものであり、各種の縄文や爪形文の施された土器、大型の両面加工石器などは当該期の特徴を良くあらわしている。
また土坑から出土した石器は、将来の使用を想定して貯蔵されていたと考えられ、第1土坑では、あたかも袋状のものに入れられていたような出土状況を示している。石材が東北地方日本海側で産出するものであることは、縄文時代初めの人の動きや石材利用の計画性を知るうえでも貴重である。石器の保存状態の良さも特筆すべきものである。
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