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「鳳風図」の金地とは対照的に銀箔を散らした本図は、題材の扇散らしが大和絵に属する点からも分かるように優美な画面構成を特色としている。桃山時代の感覚に結びつく大振りな桜に似た花を描き、その問に多くの扇面を散らしているが、扇面の中の絵は、「橋と水車」「武蔵野」「浜松」「富士」「藤に流水」「桐に鳳風」などからなり、繊細な筆使いで情緒に富んだ世界を描写している。
「鳳風図」が武将の精神を表出したものとすれば、本図の方は、大和絵につながる王朝文化の導入と見なすことができ、本丸の美術が持った多様性を知る上でも重要である。また、城の壁面に扇散らしの図を用いた例は、全国的にも少なく貴重な遺品といえる。
六曲一双紙本銀切箔散地著色縦158.5×横330cm
二曲一双紙本銀切箔散地著色縦158.5×横154cm
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