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松島五大堂の造り付けの厨子内に祀られてきた五大明王像である。天長5年(828)慈覚大師(円仁)が延福寺(現在の瑞巌寺)開基のとき、不動を中央に、東方に降三世・西方に大威徳・南方に軍茶利・北方に金剛夜叉の五大明王を安置したと伝えられている。
本五大明王は、東北地方に作例の多い欅を用いた一木造りで、不動明王像ではほぼ全体を一材で彫出している。その材質とやや粗い表面仕上げ、簡略な色彩などの表現から、この地方で製作されたと思われ、年代は10世紀末から11世紀初め頃と考えられる。
本像は長く33年に1度の開帳とされてきた秘仏であったため、従来ほとんど知られていなかったが、調査の結果、東北古代彫刻を考える上で重要な資料であり、完存する五大明王像の古例としても価値が高いものであることが判明した。
(ケヤキ材木造、不動明王像(頂蓮迄):像高64.lcm、降三世明王像:像高92.lcm、軍茶利明王像:像高89.7cm、金剛夜叉明王像:像高91.9cm、大威徳明王像:坐高67.7cm、平安時代)
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