ここから本文です。
月浜のえんずのわりは、宮城県東松島市宮戸の月浜地区に伝承される小正月の鳥追い行事である。子供たちが1月11日から最年長の一番大将の指揮のもとに岩屋に籠もって共同生活を行い、14日夜になると集団で家々を回る。子供たちの一行は、家の縁側や玄関先などで、松の棒を用いて地面を突きながら害鳥を追い払う唱え言をいい、一年の豊作や無病息災を祈願する。16日には、地区にある五十鈴(いすず)神社の境内で、幣束(へいそく)をつけた竹をもって害鳥を追う所作を行う。
年頭に害鳥の駆除を願って行われるこの種の行事は、東北地方や北陸地方など東日本に多く見られ、子供たちを中心に伝承されてきたが、少子化等により行事の変容が進んでいる。そうした中で、本件は一番大将をはじめとする子供の組織が維持されており、唱え言もきちんと伝えているなど、鳥追い行事の典型的な事例と考えられ、我が国の年中行事や民間信仰の変遷を考える上で重要である。
お問い合わせ先
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください
重要なお知らせ
こちらのページも読まれています
同じカテゴリから探す