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本件は、角田市鳩原(はとばら)に所在する福應寺毘沙門堂に、江戸時代半ば以降から昭和にかけて養蚕豊穣を祈願して奉納された小絵馬のまとまりで、全体で23,477点を数える。
これらの絵馬は放り込まれたような状態で奉納され、うず高く積まれていたものである。絵馬には毘沙門天の使いとされるムカデの姿や「百足(むかで)」などの文字が描かれている。毘沙門堂に詣って絵馬を1枚借りて行き、家に飾って養蚕の安全を祈願し、無事養蚕が終了すると新たに1枚加え2枚にして奉納するという倍返しの習俗であった。
毘沙門天信仰と結びついた養蚕信仰絵馬奉納の習俗を示すものとして全国的に類例をほとんどみないものであり、当該地域における養蚕のあり方や全国的な養蚕に関する信仰の習俗との比較の上でも、特色ある重要なものである。
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