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令和3年11月24日
第三百八十一回宮城県議会知事説明要旨
本日ここに第三百八十一回宮城県議会が開会され、令和三年度一般会計補正予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、最近の県政の動きと議案の概要を御説明申し上げます。
説明に先立ちまして、天皇皇后両陛下におかれましては、十月三日に我が県にオンラインで行幸啓になられ、第四十回全国豊かな海づくり大会に御臨席を賜りますとともに、大会終了後は東日本大震災で被災された方々や復興に尽力する方々と懇談され、お見舞いと激励のお言葉を頂戴いたしました。ここに、県民を代表して謹んで御礼を申し上げます。
一年の延期を経ての開催となった今回の大会は、新型コロナウイルス感染症の影響により規模の縮小を余儀なくされましたが、復興が進む我が県水産業の姿や全国から寄せられた支援への感謝の気持ちを発信することができました。関係者の皆様に改めて感謝を申し上げます。
また、先ほど御披露と伝達がありました藤倉知格議員、佐々木喜藏議員、太田稔郎議員、境恒春議員、三浦一敏議員、天下みゆき議員におかれましては、長年にわたり地方自治の発展に尽力された御功績により、全国都道府県議会議長会から表彰をお受けになりました。県民の皆様とともに心からお祝い申し上げ、多年の御功労に対しまして深く敬意を表するものであります。なお一層御自愛の上、県勢発展のため今後とも御活躍いただきますよう御期待申し上げます。
それでは御説明いたします。
私は、この度の知事選挙におきまして、県民の皆様からの御支持を賜り、引き続き県政の舵取り役を務めさせていただくことになりました。感染防止対策を徹底した上での選挙活動はこれまでと大きく様相が異なり、自らの思いをどのように伝えるか試行錯誤を重ねながらの毎日が続きましたが、県内各地に足を運び、東日本大震災からの復興に歩み続けてきた我が県の今の姿をこの目に焼き付けながら、県民の皆様の幅広い声に耳を傾け、今後の目指すべき方向性について認識を新たにした期間でもありました。
これからの四年間は、「新・宮城の将来ビジョン」の計画期間の前半に当たります。私はこの選挙期間中、目下最大の課題である新型コロナウイルス感染症への対応に加え、新ビジョンをベースに県民の皆様と多岐にわたるお約束をいたしました。特に、新たな柱に位置づけた「社会全体で支える宮城の子ども・子育て」については、関連施策を持続的に展開することを可能とするための基金の造成や、子どもを希望する夫婦を対象とした不妊治療に対する県の独自支援などを新たな取組として掲げております。家族の形態や地域におけるつながりなど、家庭を取り巻く状況は以前と比べ大きく変化しており、社会全体で子育て世代を支える環境づくりは急務の課題となっております。我が県の合計特殊出生率は全国を大きく下回る厳しい状況が続いておりますが、安定的な財源の確保と並行して多様な支援策を整え、子どもを生み育てやすい社会の実現に全力を尽くしてまいります。
次に、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。先月末までとしていた「リバウンド防止徹底期間」は、感染状況や病床の使用状況が大きく改善したことなどを踏まえ、予定どおり終了いたしました。様々な場面で感染防止対策に御理解をいただいた県民の皆様、大規模接種会場をはじめとする県内各地におけるワクチン接種体制の構築に多大な御協力をいただいた医療従事者の皆様に対し、改めて御礼を申し上げます。今月に入ってからも、これまでのところ新規患者の発生が低く抑えられている状況に大きな変化は見られませんが、県としても今後の推移には最大限の注意を払い、仮に再拡大につながる予兆が現れた際には速やかな対策を講じることができるよう十分な備えを継続してまいりますので、県民の皆様におかれましては、日常生活における感染防止対策について引き続き御理解と御協力をお願いいたします。
また、経済活動の回復に向けた取組として、飲食店への営業時間短縮要請等の影響を受けた関連事業者に対する支援金の受付を継続しているほか、先月十五日からは、認証を受けた県内飲食店で利用できる食事券の販売を開始するとともに、大きく落ち込んだ観光・宿泊需要の喚起策として、県民を対象とした地域限定クーポン付き宿泊割引を開始いたしました。長期間にわたる外出や移動の制限により経済活動に大きな打撃を受けた皆様に、今回の事業による効果が十分に行き届くよう、しっかりと取り組んでまいります。
最近の経済情勢につきましては、日本銀行が先月発表した全国企業短期経済観測調査、いわゆる短観によると、大企業の製造業における業況判断指数は五期連続で改善したほか、都道府県別の業況判断において、我が県は前回調査から三ポイントの改善となりました。一方、今後の見通しについては、ワクチン接種の進展による需要回復への期待もある反面、製造業などにおける半導体不足や部品供給の制約などを懸念する声もあり、慎重な判断が必要な状況が続いております。国においては、新たな内閣の下で、新型コロナウイルス感染症の拡大防止、社会経済活動の再開と危機管理の徹底、「新しい資本主義」の起動などを柱とする「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を閣議決定したところであり、県としましても補正予算に関する今後の議論を注視するとともに、機動的な対応に努めてまいります。
また、この秋に農家に支払われる本年産米の概算金は、人口減少や食生活の変化といった要因に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大による業務用米を中心とする需要の低迷が重なったこともあり、大幅な下落となりました。三年前の本格デビュー以降、着実に作付面積を拡大してきた「だて正夢」の概算金は四千円を超える減額となるなど、生産現場には大きな衝撃が走っております。県においては、相談窓口の設置や制度資金の周知など必要な支援に努めてきたところでありますが、東北農政局が公表した東北地方全体の作況指数は「やや良」となるなど余剰米の更なる増加要因もあり、営農継続に向けた生産現場への支援は焦眉の急となっております。
このような状況を踏まえ、今回の補正予算案においては、収益性の高い農業への転換を図り、安定した営農継続の実現に資する施策に幅広く予算を計上いたします。具体的には、中長期的な営農継続に向けた取組として、園芸作物や飼料作物などへの作付転換に要する生産資材費や機械施設の導入経費を支援するほか、「金のいぶき」など一般的な主食用米とは異なる需要を持つ品種の作付を推進いたします。また、本年産米に係る消費拡大に向けた取組として、インターネットを活用した販売支援や家庭向け商品の増量等による需要喚起策に加え、販路拡大に向けたキャンペーンの開催や子ども食堂等への県産米の提供を進めてまいります。
先の定例会でも多くの議員の皆様から緊急的な対応の必要性について御意見をいただいたところであり、ただいま申し上げた一連の対策を講じることにより、我が県の基幹産業である農業の持続的発展を支援してまいります。
県立がんセンターと県立精神医療センターにつきましては、我が県における政策医療の課題解決に向けた関係者による協議の中で今後の方向性を検討してきたところであり、先の定例会において、仙台赤十字病院と県立がんセンターを統合するとともに、東北労災病院と県立精神医療センターを合築する方向で協議を開始することをお示しいたしました。その上で、今回の知事選挙においては、県政の重要課題に対する私の考えを県民の皆様にしっかりとお伝えした上で評価をいただくことを念頭に、前者は名取市において、後者は富谷市においてそれぞれ開院を目指すことを政策集に掲げたところです。今後の議論に当たっては、県内における適切な医療資源の配置の観点のみならず、必要とされる施設の規模や交通環境など様々な条件を考慮する必要がありますが、少子高齢化や人口減少が急速に進展する中、地域医療の抱える多くの課題の解決に繋がるよう、各設置主体のほか東北大学も含めた関係者による協議を重ねながら、在るべき姿について、引き続き検討を進めてまいります。
先月公表された国の調査によると、昨年度における不登校の児童生徒の割合は全国的には増加しましたが、我が県においては中学校における割合が減少に転じました。全国との比較においては依然として高い状況であるものの、学び支援教室やみやぎ子どもの心のケアハウスなど、これまでの不登校支援の取組が徐々に成果となって現れてきているものと考えております。今後とも、児童生徒にとって行きたくなる学校づくりに取り組むとともに、一人ひとりに寄り添った支援を更に充実させ、民間施設等とも連携しながら多様な教育機会の確保に努めてまいります。
次に、今後の県政運営の基本的な考え方についてであります。先月策定した「令和四年度政策財政運営の基本方針」でお示しいたしましたとおり、我が県は、被災者の心のケアをはじめとするきめ細かなソフト対策のほか、人口の本格的な減少局面を迎える中での持続可能な地域経済と地域社会の構築、大規模化・多様化する自然災害への備え、さらには、県民生活にも大きな影響を与えている新型コロナウイルス感染症への対応など多くの課題に直面しております。このため、来年度は「新型コロナウイルス感染拡大防止対策と社会経済活動の両立」をはじめとする六つの政策推進の基本方向を掲げ、多様な主体と連携・協働しながら、新型コロナウイルス感染症対策や復興完了に向けた施策に力を入れるとともに、富県宮城の推進など「新・宮城の将来ビジョン」に基づく取組を進めてまいります。特に、デジタル技術を様々な分野で最大限に活用しながら、県民サービスの向上や県内産業の活性化、働き方改革の推進を図るとともに、若者の県内定着や子ども・子育てを社会全体で支える環境の整備、外国人材の受入促進に取り組んでまいります。
財政の見通しについては、国が公表した来年度の「地方財政収支の仮試算」において、地方税や地方交付税が増加し、臨時財政対策債は折半対象財源不足額の解消に伴い大幅に抑制される見込みであるなど、今年度と比較すれば明るい要素もあるものの、地方交付税は恒常的な財源不足が続いており、また、新型コロナウイルス感染症が今後の経済に与える影響には不透明な部分も多く、先行きは依然として楽観できるものではないと認識しております。
このような状況を踏まえ、来年度予算につきましては、「新・宮城の将来ビジョン」に掲げる施策に関し、国の特例的な支援に加え、シーリングの設定など県自らも財源確保の取組を進めるとともに、デジタル技術の活用など事業効果の改善が期待できる取組について、優先的に予算措置を講じてまいります。
今回御審議をお願いいたします補正予算案の主な内容ですが、新型コロナウイルス感染症対策関連では、先ほど御説明した外食需要の減少等による米価下落への対策として、営農活動の継続と消費拡大に向けた取組を包括的に実施するとともに、仙台牛や県産水産物についても販売促進キャンペーンを展開するなど、需要の落ち込みに対する下支えに努めてまいります。
また、緊急小口資金等の貸付原資を追加交付するとともに、公共土木工事の現場管理における接触機会の低減を図るための機材整備や、オンライン会議の拡大に向けた環境づくりに要する経費を計上しております。
このほか、地方財政法に基づき令和二年度一般会計決算剰余金を財政調整基金に積み立てるとともに、河川管理や道路の除融雪など今年度末から来年度初めにかけて行う必要のある公共事業費や指定管理者制度による公共施設管理運営業務委託費について債務負担行為を設定しております。
なお、今年の人事委員会勧告は、一般職の職員の給与に関し、月例給を据え置いた上で期末手当は引き下げることなどを内容とするものであり、その取扱いを慎重に検討した結果、期末手当の引下げについて勧告どおり実施することといたしました。あわせて、知事等の特別職に係る期末手当についても、今回の検討経過を踏まえ引き下げることといたします。これらの内容を反映した条例の改正案を今議会に提案しているところでありますが、これに伴う人件費の減額につきましては、今年度の最終補正予算において対応してまいります。
以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正規模は、一般会計、総会計ともに三百四十二億二千四百余万円となります。財源としては、繰越金二百七十六億七千九百余万円、繰入金四十三億一千三百余万円、国庫支出金二十一億二千余万円などを追加しております。
この結果、今年度の予算規模は、一般会計で一兆二千六百七十八億七千四百余万円、総計で一兆七千百七十八億五千三百余万円となります。
次に、予算外議案については、条例議案十三件、条例外議案三十二件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。
まず、条例議案でありますが、議第二百四号議案は、保健所の専門性の確保を図るとともに災害発生時の対応に十全を期すため、大崎保健所及び石巻保健所の所管区域を拡大するとともに、栗原圏域及び登米圏域に支所を設置しようとするもの、議第二百五号議案及び議第二百六号議案は、人事委員会の勧告を受け、一般職の職員に係る期末手当を引き下げるとともに、これに準じて特別職の期末手当の支給割合を引き下げようとするもの、議第二百九号議案は、知事の権限に属する事務の一部を新たに市町村が処理できるようにしようとするもの、議第二百十五号議案は、知事が認定する獣医師が行う豚熱発生予防のためのワクチン注射について、その管理に要する手数料を定めようとするものであります。
次に、条例外議案でありますが、議第二百十七号議案は、令和四年度における自治宝くじの発売限度額について、議第二百十九号議案、議第二百二十一号議案及び議第二百二十三号議案ないし議第二百三十八号議案は、指定管理者の指定について、議第二百三十九号議案は、訴えの提起について、議第二百四十一号議案ないし議第二百四十三号議案は、財産の取得について、議第二百四十四号議案ないし議第二百四十七号議案は、工事請負変更契約の締結について、議第二百四十八号議案は、権利の放棄について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。
以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。
(追加説明)
提出議案の概要を御説明申し上げます。
議第二百二十号議案及び議第二百二十二号議案は、指定管理者の指定について、議会の議決を受けようとするものであります。
何とぞ、慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。
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