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令和5年2月14日
第三百八十七回宮城県議会知事説明要旨
本日ここに第三百八十七回宮城県議会が開会され、令和五年度一般会計当初予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、令和五年度の県政運営の考え方と議案の概要を御説明申し上げます。
来月には、東日本大震災の発生から十二回目となる三月十一日を迎えます。この間、私は、震災で被災され、あるいは命を落とされた多くの皆様の姿を思い、同じような苦しみが繰り返されることの無いよう、次の世代に何を繋ぐことができるか常に自問しながら復旧・復興に邁進してまいりました。それは時に大きな議論を呼ぶこともありましたが、我が県の明るい未来を一心に思い描き、批判を恐れず積極果敢に取り組んできたところであります。その結果、ハード面の復旧・復興はほぼ完了したほか、「創造的な復興」に向けた多くの取組も着実に実を結んでおります。沿岸被災地では、各地の震災遺構などを拠点に震災の記憶や教訓を後世に語り継ぐ活動が根付き、多様な主体による全県的な連携も進んでおります。
一方、心のケアや地域コミュニティの再生といったソフト面の取組は、十二年の時を経てもなお継続的な支援が必要であり、震災からの復興は依然として県政の最重要課題であります。被災された皆様に寄り添いながら復興完遂への道を力強く歩み続けること、それが私に課せられた責務であることをしっかりと心に刻み、今後の県政運営に臨んでまいります。
新型コロナウイルス感染症については、先月開催された国の対策本部において、特段の事情が生じない限り、五月八日以降は感染症法上の五類感染症に位置付けることが決定されました。一方、今回の決定では、医療費の自己負担分に係る取扱いや医療提供体制の移行の在り方などについては来月上旬を目途に具体的な方針を示すとされたほか、感染症法上の位置付けの変更前に最終確認を行うことなども明記されました。最近の感染状況を踏まえ、昨年からの「みやぎ医療ひっ迫危機宣言」は昨日をもって終了したところではありますが、感染拡大防止への対応に引き続き万全を期すとともに、国の議論の動向を注視してまいります。
世界に目を転じますと、ロシアによるウクライナ侵略は国際社会に大きな衝撃を与え、様々な方面に深い傷跡を残しております。そして今回の事態は、グローバル化の進んだ世界経済において、エネルギーや食料、半導体などにおける各国のサプライチェーンの結びつきの強さだけでなく、その脆さや危うさをも浮き彫りにいたしました。
さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大で顕在化した労働力不足や供給制約などが要因となった世界的な物価高は、ウクライナ危機も重なることで深刻さを増し、各国の中央銀行は金融引締めを進めておりますが、その余波として大幅な景気の減速や後退も懸念されております。先月発表された我が国の経済見通しでは、総合経済対策の効果も想定し、実質で一・五パーセント程度のプラス成長を見込んでおりますが、世界経済の下振れによる景気の下押しリスクや金融資本市場の変動等に留意する必要があるとされており、我が県としても様々な施策を動員し、足腰の強い経済基盤の構築に意を用いてまいります。
国の人口動態統計の速報から、我が国における昨年の年間出生数は八十万人を割り込む可能性が高いと見込まれております。従来から続く少子化傾向にコロナ禍による婚姻数の減少が拍車をかけているとの指摘もありますが、想定を超えるスピードで進む少子化は地域経済のみならず公共インフラや地域コミュニティの在り方にも大きな影響を与え、決して看過できるものではありません。国は四月にこども家庭庁を設置するとともに、将来的な安定財源の確保に向けた方向性を骨太の方針で示すこととしておりますが、人口減少や少子化への対応は我が県においても喫緊の課題であり、国の方針を踏まえた対応とともに、次世代育成・応援基金をはじめとする独自財源も活用し、若い世代が将来に希望を持てる地域づくりに努めてまいります。
また、国内外の情勢変化のスピードが増し社会構造の変革期に差し掛かる中、迅速で効率的な行政サービスの提供や持続可能な地域社会の実現に当たりデジタル化の推進は極めて重要であります。我が県においては「DXによる変革みやぎ」を掲げ、県民一人ひとりがデジタル化の恩恵を受けられる社会づくりを目指しており、来年度も各市町村のDX推進に対する支援や高齢者のデジタルデバイド対策などに加え、オープンデータの利活用促進や県民生活の利便性向上に繋がるサービスの在り方調査などの取組を進めてまいります。
地球温暖化への対応については、環境基本計画で掲げた二〇五〇年における二酸化炭素排出実質ゼロの目標実現に向け、再生可能エネルギー・省エネルギー計画をはじめ関連する計画を見直した上で、「みやぎゼロカーボンチャレンジ二〇五〇戦略」として取りまとめを行いました。その具体化に向けては再生可能エネルギーの最大限の導入が柱となることから、来年度は関連施策を大幅に拡充いたします。一方、再エネ発電施設の設置に当たっては地元の理解や環境面の影響、森林の多面的機能なども考慮する必要があり、現在、新たな税制の検討を進めております。昨年秋に施行された太陽光発電施設の設置等に関する条例の適正な運用とあわせ、地域と共生する再エネ発電事業の推進に努めてまいります。
我が県は岩手・宮城内陸地震や東日本大震災、平成二十七年九月関東・東北豪雨や令和元年東日本台風などの大きな災害に相次いで見舞われており、昨年も三月の地震や七月の大雨などにより、県土に深刻な被害が発生いたしました。県民生活における安全・安心の確保は県の果たすべき大きな役割の一つであり、不断の努力が求められるものであります。来年度においても、あわせて提案する今年度補正予算を並行して執行し、公共インフラの強靱化対策を推進いたします。
(当初予算の編成方針)
次に、当初予算編成に当たっての基本的な考え方を御説明申し上げます。
国の令和五年度予算案は、歴史の転換期を前に、我が国が直面する内外の重要課題に道筋をつけ、未来を切り拓くための予算として編成され、一般会計の総額は百十兆円を超える規模となりました。また、東日本大震災復興特別会計は、心のケアなどのきめ細かな取組や創造的な復興を成し遂げるための取組を推進するための予算が計上されております。
地方財政対策では、社会保障関係経費の増加が見込まれる中、住民ニーズに的確に応えつつ、デジタル化や脱炭素化の推進といった様々な行政課題に対応する観点から、地方一般財源の総額は地方交付税交付団体ベースで前年度を上回る額が確保されました。また、臨時財政対策債の発行額は一兆円を下回り過去最少を見込むほか、後年度負担の軽減も図られるなど財政健全化の観点からも評価できる内容となっております。
「新・宮城の将来ビジョン」三年目となる令和五年度当初予算案は、昨年十月に策定した「令和五年度政策財政運営の基本方針」に基づき、東日本大震災で被災された方々の心のケアをはじめとするきめ細かなソフト対策や、人口減少局面における地域経済の持続性確保、新型コロナウイルス感染症への対応などを目的として、六つの「政策推進の基本方向」に基づき編成いたしました。併せて、国の第二次補正予算の内容を踏まえた令和四年度補正予算案を一体的に編成することにより、県内経済の底上げに努めてまいります。
以下、主な施策について「政策推進の基本方向」に沿って御説明申し上げます。
(新型コロナウイルス感染拡大防止対策と社会経済活動の両立)
初めに、新型コロナウイルス感染症対策に関しては、国の詳細な方針が今後示されることも考慮し、予算編成はこれまでの取組を前提として行いつつ、柔軟な対応に努めてまいります。
検査体制については、発熱外来等への支援や抗原定性検査キットの配布などを行います。また、感染した方への医療提供体制に関しては、医療機関への設備導入支援や入院病床の確保などを図るほか、宿泊療養施設の確保・運営を行ってまいります。
なお、感染症や物価高騰等の影響を受けた県民や事業者への支援としては、中小企業を対象とした融資や利子補給、保証料の引下げなどの支援に加え、後ほど御説明いたします今年度補正予算案において、省エネ化の実現に向けた設備導入や価格高騰に対する助成などの施策を講じることとしております。
(被災地の復興完了に向けたきめ細かなサポート)
次に、被災地の復興完了に向けたきめ細かなサポートについて申し上げます。
生活再建の状況に応じた切れ目のない支援に関しては、新たなコミュニティ構築に向けた住民やNPOなどによる取組を支援するとともに、災害公営住宅を拠点としたコミュニティ活動への学生の参加を促します。被災された方の心のケアへの対応としては、みやぎ心のケアセンターの運営支援を継続するほか、みやぎ子どもの心のケアハウスについて、学校生活に困難を抱える児童生徒に対する中核的な支援拠点となっていることなどを踏まえ、事業期間を延長いたします。
回復途上にある産業・なりわいの下支えとしては、グループ補助金による施設・設備の復旧や被災求職者の雇入れに対する支援、専門家による事業継続や雇用拡大に向けたサポート等を行います。また、復興途上にある水産業に関して、若手漁業者を対象としたリース方式による漁船・漁具の導入や海洋環境の変化に対応した操業体制の転換を支援するとともに、新たな陸上養殖技術の研究も含めた種苗確保対策や海外販路の開拓に向けたホヤやカキのプロモーション活動を推進いたします。
東京電力福島第一原子力発電所事故被害への対応については、引き続き農林水産物などを対象とした放射性物質検査の情報を広く公表し、県産品に対する風評の払拭に努めます。放射性物質による汚染廃棄物については、八千ベクレル以下の農林業系廃棄物を対象に各圏域が進める処理を支援するとともに、多核種除去設備等処理水に関しては、水産業をはじめとする関係団体の意見を集約し、国や東京電力に海洋放出以外の処分方法の検討と実効性のある十分な対策など、継続的な対応を強く求めてまいります。
震災の記憶・教訓の伝承と復興事業のフォローアップとしては、各種媒体や「みやぎ東日本大震災津波伝承館」を活用した国内外への情報発信を推進いたします。また、交流人口の拡大による被災地の活性化を図るため、東北観光推進機構と連携したコンテンツの整備を進めるほか、震災伝承みやぎコンソーシアムの会員相互が連携した活動を支援いたします。
(富県宮城を支える県内産業の持続的な成長促進)
次に、富県宮城を支える県内産業の持続的な成長促進についてであります。
ものづくり産業等の発展と新技術・新産業の創出に向けては、中小企業のデジタル化に資する人材育成を進めるほか、システム構築や機器整備への支援を拡充します。また、我が県経済を牽引する新たな企業価値の創造に向け、東北大学等と連携したスタートアップに対する支援を行うとともに、デジタル人材の発掘などを目的に全国の大学生等によるハッカソンを開催いたします。令和六年度からの本格運用を予定する次世代放射光施設「ナノテラス」に関しては、セミナーの開催や補助メニューの拡充等により、地域企業の利活用やリサーチコンプレックスの形成に繋げてまいります。
観光産業と商業・サービス業の振興に関しては、アフターコロナにおけるインバウンド需要を見据えたプロモーションや国内外へのデジタルマーケティングの展開を図るとともに、県内観光地の周遊促進に向け、混雑状況の可視化やデジタルマップによる情報発信を行います。また、地域商業を取り巻く環境の変化を踏まえ、新たな販売手法に取り組む中小企業者等を支援し、買い物機能の強化や商業の持続的発展を図ります。
地域を支える農林水産業の国内外への展開としては、各分野における経営の効率化や生産拡大に向けた取組を継続するとともに、デジタルマーケティングの手法による県産品の販売促進を行います。
農業分野に関しては、RTK基地局を活用したスマート農業の普及を図るため、コンシェルジュによる生産者へのサポートや実践的な研修を行います。また、「だて正夢」や「金のいぶき」を中心としたみやぎ米の需要拡大に向けた取組を継続するほか、環境制御装置等の先進技術の導入を行う経営体への支援やサプライチェーンの構築により園芸産出額の増加を目指します。
水産業においては、養殖業へのドローンの活用や操業日誌のデジタル化による漁獲情報等の可視化など、スマート水産業の実現に向けた取組を進めます。また、大型漁船の受入れを促進するため、気仙沼漁港の大水深岸壁の整備に着手するほか、閉鎖循環式陸上養殖研究施設について来年度中の運用開始を目指すとともに、飼育システムの導入を希望する事業者への専門家派遣や設備整備に対する助成を行います。
林業については、意欲ある経営体を対象に経営の効率化に資する機械導入を支援するほか、非住宅分野への新たな木質建材の活用に向けた支援等を行います。また、子育て世帯や県外からの移住世帯を対象に県産材を使用した住宅建設への補助を拡充し、県産材の更なる利用と定住促進を図ります。
若者をはじめとした多様な産業人材の育成・確保に向けては、首都圏や県内の大学生等を対象としたインターンシップへの支援を継続するとともに、県内中小企業による副業・兼業人材の活用を促すための普及啓発やマッチングサイトの運営を行います。また、ものづくり人材の育成を目的とした高等技術専門校の再編整備を進めるほか、市町村における日本語学校の開設に向け専門人材の配置等による支援を行います。
宮城・東北の価値を高める産業基盤の整備・活用については、東北自動車道とみやぎ県北高速幹線道路を接続する(仮称)栗原インターチェンジの整備を進めるほか、仙台塩釜港においては、モーダルシフトの進展などに対応するためコンテナターミナル等の整備を推進します。仙台空港関連では、航空需要の回復・拡大に向け新規就航に加え既存路線の増便や航空機の大型化を行う航空会社を支援するとともに、若者を対象とした利用促進キャンペーンを国際線にも拡大し、継続した空港利用の定着を図ります。
(社会全体で支える宮城の子ども・子育て)
次に、社会全体で支える宮城の子ども・子育てについては、次世代育成・応援基金も活用しながら、引き続き幅広い施策展開に努めてまいります。
結婚・出産・子育てを応援する環境の整備に関しては、昨年運用を開始した結婚応援パスポートについて、子育て応援パスポートと連動したプロモーションを行うとともに、みやぎ結婚支援センター「みやマリ!」におけるAIを活用したマッチング支援を行います。また、不妊検査費用に対する助成や置き型授乳室の設置を進めるとともに、子育てサービスの利用者負担軽減などに取り組む市町村を支援いたします。このほか、安全・安心な子育て環境の実現に向け加瀬沼公園にプレイパークを整備し、遊びの可能性を広げるプレイリーダーを配置いたします。
家庭・地域・学校の連携・協働による子どもを支える体制の構築については、引き続き子どもの貧困対策や居場所づくりに市町村と連携して取り組みます。また、児童養護施設における職員確保や権利擁護の取組への支援を拡充するとともに、児童相談所に音声認識システムを導入し、虐待相談への迅速な対応を図ります。大きな社会問題となっているヤングケアラーについては、相談支援体制の構築や市町村の対応力向上に継続して取り組みます。
多様で変化する社会に適応し、活躍できる力の育成に関しては、生徒の探究力向上に向け地域の進学拠点となる県立高校における取組を強化するほか、専門職員による訪問指導等を通じた児童生徒の体力・運動能力の向上を目指します。さらに、県立学校や市町村立中学校への部活動指導員の配置を拡充するとともに、公立中学校における部活動の地域移行も見据えた市町村支援を行います。
安心して学び続けることができる教育体制の整備については、各学校単独では対応が難しい専門性の高い科目の履修環境の確保や、入院などの際にも児童生徒の継続的な学びを可能とする観点から、デジタル技術を活用した遠隔授業システムを導入し、ニーズに即した学習環境の実現を目指します。また、(仮称)秋保かがやき支援学校の開校に向けた準備を進めるほか、困難を抱える児童生徒への支援について、学び支援教室を通じた対応を継続するとともに、新たに別室登校をサポートする職員を派遣し個別の学習支援等の充実を図ります。
(誰もが安心していきいきと暮らせる地域社会づくり)
次に、誰もが安心していきいきと暮らせる地域社会づくりについてであります。
就労や地域活動を通じた多様な主体の社会参画の促進については、移住先としての我が県の知名度向上を図るほか、県内大学生と市町村のマッチングにより関係人口の創出を進めます。また、女子学生の県内就職を促す観点から、学生による県内企業訪問や職場環境の改善に向けた伴走型支援を行うほか、女性の就農を目的とした体験ツアーやワンストップ相談体制の整備を進めます。
文化芸術・スポーツ活動と生涯学習の振興に関しては、県民会館とNPOプラザの複合施設に係る設計業務のほか、慶長使節船ミュージアムや美術館のリニューアルを進めるとともに、令和六年の多賀城創建千三百年記念事業に向けた企画・運営や環境整備を行います。
生涯を通じた健康づくりと持続可能な医療・介護サービスの提供については、修学資金制度による人材確保とともに、地域における薬剤師の安定確保に向けた体制を整備します。また、脳卒中や心臓病をはじめとする循環器病に関する相談窓口を設置するほか、地域医療構想の推進に向け仙南医療圏等における医療機関相互の機能分化に伴う施設整備を支援します。仙台医療圏における病院の再編に関しては、今年度の協議の成果を踏まえ、具体化に向けた検討を進めます。
障害の有無に関わらず安心して暮らせる社会の実現に向けては、医療的ケアを要する児童やその家族を支えるための相談支援センターの運営を継続するとともに、特別支援学校への通学に係る負担軽減に向け、介護タクシーによる通学支援をモデル的に実施します。さらに、障害特性を踏まえたIT関連業務の受注や在宅での就業機会の確保に向けた取組を新たに展開するほか、令和六年度の全面供用開始に向け、船形の郷の建替工事を進めます。
暮らし続けられる安全安心な地域の形成に向けては、商店街活性化の観点から地域ポイント等の導入可能性調査を行います。警察関係では、栗原警察署と岩沼警察署の建設を進めるとともに、増加傾向が続く特殊詐欺被害への対応として、特殊詐欺電話撃退装置等の設置に対する補助を拡充します。また、五月に開催される「G7仙台科学技術大臣会合」における警備に万全を期してまいります。
(強靱で自然と調和した県土づくり)
次に、強靱で自然と調和した県土づくりについてであります。
環境負荷の少ない地域経済システム・生活スタイルの確立に関しては、住宅や工場、事業所等における自家消費型太陽光発電の推進に向け、県内事業所における太陽光発電設備の導入や蓄電池・電気自動車等を活用したスマートエネルギー住宅の普及を図るとともに、既存の県有施設を対象にZEB化に向けた可能性調査を行います。また、アプリを活用した飲食店等と消費者のマッチングシステムを導入し食品ロスの削減を目指すほか、国の「みどりの食料システム戦略」を踏まえ、環境負荷を軽減した農業への転換を支援します。
豊かな自然と共生・調和する社会の構築に向けては、ニホンジカやイノシシなどの野生鳥獣の個体数調整や鳥獣害防止対策を進めます。また、震災後の環境変化も踏まえた磯焼け対策のほか、海水温の上昇に対応した新たな魚種の探索や活用技術の開発を行います。このほか、農山漁村地域の活力を高めるため、大学生や企業とのパートナーシップの構築や地域課題の解決に取り組むコミュニティづくりを推進するとともに、令和七年度の開催が決定した全国育樹祭の実行委員会を立ち上げ、開催に向けた準備を進めます。
大規模化・多様化する災害への対策の強化においては、防災道路ネットワークの整備や河道掘削・支障木除去など、今年度補正予算案と一体となった公共インフラの強靱化対策を推進します。さらに、災害発生時に重要な役割を担う建設産業の対応力強化のため、災害復旧に資するICTの活用や資機材の備蓄、事業継続計画の策定等の支援を行います。このほか、今年度の原子力防災訓練において有用性が認められた避難支援アプリの活用を進めることにより、迅速かつ円滑な避難体制の構築を目指すとともに、水災・地震保険の加入に対する助成額を拡充し、地域の災害対応力向上に繋げます。
生活を支える社会資本の整備、維持・管理体制の充実については、農業用ため池への安全施設の設置を進めるとともに、県民からのスマートフォンによる情報を道路・河川などの維持管理に活用する仕組みづくりを行います。また、今年度中に策定する「宮城県水道広域化推進プラン」の内容を踏まえ、市町村等による水道事業の経営基盤強化に向けた支援を行うほか、事業開始から二年目となる「みやぎ型管理運営方式」については、引き続き運営権者・県・経営審査委員会のモニタリングによる運営状況の確認を着実に行い、安全で安心な水の供給と安定した汚水の処理に取り組みます。
以上、施策の主な内容について御説明申し上げましたが、令和五年度の当初予算規模は、一般会計で一兆七百九十二億五百余万円、総計で一兆五千六百八十一億一千五百余万円となります。財源の主なものとして、県税三千七十四億円、地方交付税一千五百三十五億円、国庫支出金二千四百二十六億五千八百余万円、繰入金二千二百二十三億二千八百余万円を計上し、また、臨時財政対策債及び借換債を含め県債一千六百六十二億六千三百余万円を発行することにしております。
(令和四年度補正予算案)
次に、令和四年度補正予算案について御説明申し上げます。
今回の補正予算案は、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」の内容を受けた国の第二次補正予算に対応し、令和五年度当初予算とともに切れ目のない取組を行うため編成したものであります。
主な内容としましては、物価高騰への対応として、高齢者施設などの省エネルギー化やICT設備の導入のほか、中小企業等が行う販路開拓の取組や水産物の販売促進などに対する支援について、要望状況等を踏まえ事業を拡充するほか、保護者負担の軽減を図るため、学校給食における食材価格高騰分に対する助成を行います。
「新しい資本主義」の加速に関しては、出産・子育て応援交付金制度に基づき市町村が行う経済的支援や伴走型相談支援に要する経費を計上するほか、TPP対策として、大区画ほ場や木材加工流通施設などの整備を推進します。
防災・減災、国土強靱化の推進や安全・安心の確保に関連した取組としては、保育所や幼稚園などにおける送迎用バスへの安全装置の設置を進めるとともに、東北電力女川原子力発電所の周辺地域における要配慮者等の一時的な屋内退避施設の整備を支援します。併せて、防災重点農業用ため池の安全性確保や漁港施設の機能保全、橋梁の長寿命化や河道掘削など、国の五か年加速化対策と連動した公共事業を推進いたします。
今回の補正規模は、一般会計、総計ともに四百十七億八百余万円となり、財源としては、国庫支出金二百二億九千四百余万円、県債百六十二億七千七百余万円、諸収入二十九億八千七百余万円などを追加しております。
この結果、今年度の予算規模は、一般会計で一兆二千七百八十六億三千二百余万円、総計で一兆七千五百四十七億七千七百余万円となります。
次に、予算外議案については、条例議案十九件、条例外議案七件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。
まず、条例議案でありますが、議第十七号議案は、来年度からの段階的な定年引上げも踏まえ、退職手当の支給に要する財源を安定的に確保するための基金を設置しようとするものであります。また、議第十九号議案は、会計年度任用職員の給与改定に関する規定を整備するとともに期末手当を引き上げようとするもの、議第二十号議案、議第二十九号議案及び議第三十号議案並びに議第三十二号議案ないし議第三十四号議案は、各種使用料及び手数料を新設及び改定等しようとするもの、議第三十五号議案は、暴力団排除の実効性を高めるため、都市計画法に定める一定の区域などにおける暴力団事務所の開設や運営を禁止するなど、所要の改正を行おうとするものであります。
次に、条例外議案でありますが、議第三十七号議案ないし議第三十九号議案は、先ほど申し上げました再生可能エネルギー等の導入促進及び省エネルギーの促進に関する基本的な計画など各種計画の策定及び変更について、議第四十一号議案は、地方独立行政法人宮城県立病院機構が作成した業務運営に関する目標を達成するための計画の認可について、議第四十二号議案は、市町村受益負担金について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。
以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。
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