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掲載日:2024年2月13日

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第三百九十一回宮城県議会知事説明要旨

令和6年2月13日

第三百九十一回宮城県議会知事説明要旨

 本日ここに第三百九十一回宮城県議会が開会され、令和六年度一般会計当初予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、令和六年度の県政運営の考え方と議案の概要を御説明申し上げます。

 説明に先立ちまして、先月、石川県能登地方で発生した令和六年能登半島地震では、多くの尊い命が失われ、住家や公共施設、道路などの交通インフラに甚大な被害が発生しました。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りしますとともに、被災された方々に改めてお見舞い申し上げます。我が県におきましては、地震発生直後に広域応援本部を設置するとともに、被災地に保健師等を派遣して健康支援業務に当たっているほか、県内市町村とも連携し対口支援先である能登町に対して、リエゾンをはじめ、支援物資拠点や避難所運営、住家被害認定調査を支援する応急対策職員を派遣しております。また、緊急物資については、県内市町村及び災害時における防災協定に基づく民間団体の協力を得て、段ボールベッドを被災地に届けるなど、ニーズに合わせた支援活動を行っているところであります。今後とも、東日本大震災の経験を十分に活かし、被災地の一日も早い復旧・復興に向けた支援に取り組んでまいります。

 それでは、御説明いたします。
 我が国を取り巻く経済情勢につきましては、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化やパレスチナ自治区・ガザ地区の紛争に揺れる中東地域など、国際情勢が一段と不安定化していることもあり、日本も含めた世界各国で、エネルギーや食料、半導体などにおけるサプライチェーンの強化が進められております。また、今年は、アメリカ合衆国大統領選挙をはじめ重要な選挙が予定され、その結果次第では、国際政治や世界貿易に影響を及ぼすことも懸念されます。先月発表された我が国の経済見通しでは、総合経済対策の進捗に伴い、個人消費や設備投資等の内需が牽引する形で、GDPは実質で一・三パーセント程度のプラス成長を見込んでおりますが、先行きについては、海外景気の下振れや物価動向、金融資本市場の変動等の影響に留意する必要があるとされており、我が県としてもあらゆる施策を動員し、持続的成長を支える県経済の基盤づくりに意を用いていかなければならないと考えております。
 私は、県政の運営に当たり、まずはしっかりとした経済基盤を構築し、創出された富の循環により、福祉や教育、環境、社会資本整備などの取組を着実に進めるため、富県宮城の実現を掲げ施策を推進してまいりました。こうした施策は、自動車産業をはじめとした産業集積へと実を結び、雇用の創出や地域経済の活性化につながっております。そして、昨年、台湾の大手半導体受託製造企業が国内法人を設立し県内進出を決定したことは、本県製造業の裾野を広げ、更なる飛躍が期待できるほか、我が国のサプライチェーンの強靱化にも寄与するものであり、宮城から世界に向けた新たな躍動を感じているところであります。今後は、半導体製造工場の立地に併せ、後工程をはじめとする関連産業の集積が急速に進んでいくものと考えております。県としましても、国や大学、関係自治体、産業界等と連携し工場の立地支援や企業誘致、半導体人材の育成・確保に取り組むほか、台湾から来日される方々の受入体制の整備にも力を注ぎ、半導体産業の集積と振興を通じて、ものづくり産業の更なる発展と若者の県内定着の促進を図るなど、県経済の持続的な成長につなげてまいります。

 我が国が抱える少子化問題については、令和四年の年間出生数が初めて八十万人を割り込み、今後も急速な減少が予想されております。国では、こうした状況に歯止めをかけなければ、国内の経済・社会システムを維持することは難しくなるとして、少子化を我が国が直面する最大の危機と位置付け、「こども未来戦略」の下、これまでにない規模で切れ目のない子育て支援の充実を図るとしております。我が県におきましても、更なる少子化の進行は、県経済や県民生活に多大な影響をもたらすことが懸念されるなど、決して看過することができない課題であり、国の対策を踏まえた対応とともに、次世代育成・応援基金をはじめとする独自財源も活用し、若い世代が将来に希望を持ち、安心して子どもを産み育てることのできる環境整備を進めてまいります。さらに、少子化の加速による人口減少に対応するためには、少子化対策に加え、様々な施策に横断的に取り組んでいくことが肝要であり、質の高い雇用の創出や若者の県内就職の促進、外国人材の確保などの施策を一体的に進め、持続可能な地域社会の実現を目指してまいります。
 また、こうした危機を乗り越えるためには、あらゆる分野でデジタル化を推進していくことが不可欠であります。我が県においては「DXによる変革みやぎ」を掲げ、県民一人ひとりがデジタル化の恩恵を受けられる社会づくりを目指しており、来年度も各分野におけるDXの推進やデジタル人材の育成・確保のほか、県民向けのDX施策として、キャッシュレス決済の導入や運転免許センターにおける申請手続き等のデジタル化を図るなど、県民サービスの向上や地域課題の解決に向けた取組を迅速に進めてまいります。
 災害時の避難などの防災面に有効なデジタル身分証アプリの普及に関しては、今年度実施しているUPZ内の七市町を対象とした地域ポイント導入検討事業において、地域全体の人口に占める登録割合が当初の想定を上回る四十パーセント以上に達しており、地域別では東松島市で五十パーセントを超えるなど、その効果に確かな手応えを感じております。今後に向けては、既に実装しているミニアプリに加え、県民アンケート機能の追加や市町村における自然災害避難支援アプリの導入を推進するほか、観光振興や食品ロス、健康増進などの幅広い分野での活用を図り、利便性の高い県民アプリとして更に普及していくよう、より一層力を注いで取り組んでまいります。

 人口減少が進む中で、我が県経済の持続的な成長と魅力ある地域づくりを実現するためには、交流人口とインバウンドの拡大が重要であり、そのためには、多様化する観光ニーズへの対応、受入環境の整備などを進める財源が必要であります。コロナ禍により導入を見送っていた宿泊税については、県内経済の回復状況を踏まえ、先月「みやぎ観光振興会議」を開催し、導入に向けた議論を開始したところであります。今後は、観光関連事業者や仙台市と調整を図り、次期定例会以降に条例案を提案する準備を進めてまいりますので、議員各位におかれましては、御理解・御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 近年、我が県は気候変動に伴う大雨や台風など、甚大な自然災害に相次いで見舞われており、県民生活における安全・安心の確保に向け、より災害に強い県土の構築を進めていくことが重要であります。来年度においても、今年度補正予算で計上した防災・減災、国土強靱化の取組とあわせて、公共インフラの強靱化対策を推進してまいります。また、記録的な猛暑が続いていることを踏まえ、県立高校の特別教室や自然の家、県職員寮などにエアコンを整備するとともに、遠距離通勤や災害対応などで課題を抱える東京職員宿舎の都内への移転を進めてまいります。

 仙台医療圏における病院再編に関しては、昨年十二月、仙台赤十字病院と県立がんセンターを統合して名取市に新病院を整備する計画について、日本赤十字社及び県立病院機構と基本合意を締結しました。また、先月国において地域医療構想の実現に向けた「重点支援区域」に選定され、国による財政的支援として地域医療介護総合確保基金への交付金が優先的に配分されることとなりました。このことは、仙台医療圏南部における救急医療や周産期医療等の体制強化とがんの総合的な診療機能を有する拠点整備に向けた大きな前進であると考えております。引き続き関係者の皆様の御意見を丁寧に伺いながら、具体的な診療科や人員体制などについて協議を進め、県民の皆様に適切な医療を持続的に提供できる体制構築に努めてまいります。

(当初予算の編成方針)
 次に、当初予算編成に当たっての基本的な考え方を御説明申し上げます。
 国の令和六年度予算案は、総合経済対策を踏まえた令和五年度補正予算と一体となり、我が国経済の三十年ぶりの明るい兆しを好循環につなげる歴史的な転換点の中、時代の変化に応じた先送りできない課題に挑戦し、変化の流れを掴み取る予算として編成され、一般会計の総額は二年連続で百十兆円を超える規模となりました。また、東日本大震災復興特別会計は、被災地の復興のステージに応じた切れ目のない支援などに関する予算が計上されております。
 地方財政対策では、社会保障関係経費や人件費の増加が見込まれる中、住民のニーズに的確に応えつつ、こども・子育て政策の強化など様々な行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう、地方一般財源の総額は前年度を上回る額が確保されました。また、臨時財政対策債の発行額が過去最少に抑制されたことは、令和五年度補正予算での特例的な償還財源措置も含め、地方財政の健全化の観点から評価できるものであります。

 「新・宮城の将来ビジョン」四年目となる令和六年度当初予算案は、昨年十月に策定した「令和六年度政策財政運営の基本方針」に基づき、東日本大震災で被災された方々の心のケアをはじめとするきめ細かなソフト対策や、人口減少局面における地域経済の持続性確保、大規模化・多様化する自然災害への備えなどを目的として、五つの「政策推進の基本方向」に基づき、編成したものであります。
 以下、主な施策について、「政策推進の基本方向」に沿って御説明申し上げます。

(被災地の復興完了に向けたきめ細かなサポート)
 初めに、東日本大震災からの復興完了に向けたきめ細かなサポートについてであります。
 沿岸被災地では、復興まちづくり等のハード事業はほぼ完了するとともに、震災の記憶や教訓を後世へ伝え継ぐ活動が根付いてきております。一方で、被災された方々の心のケアや地域コミュニティの再生などのソフト面の取組は、時間の経過とともに変化するニーズや地域の課題にも配慮したきめ細かな支援を続けていくことが必要であり、来年度におきましても、被災者に寄り添いながら地域の実情に応じた支援を行ってまいります。
 生活再建の状況に応じた切れ目のない支援に関しては、被災された方々が地域と密接に関わりながら日常生活を送れるよう、NPO等による様々な活動や住民が主体となる地域コミュニティの再生に向けた取組を支援するとともに、被災地域でのコミュニティ活動への学生の参画を促します。被災された方々の心のケアについては、みやぎ心のケアセンターによる支援のほか、学校生活に困難を抱える児童生徒に対し、スクールカウンセラーの配置・派遣やみやぎ子どもの心のケアハウスにおける支援を継続します。
 回復途上にある産業・なりわいの下支えとしては、グループ補助金による被災事業者の生産施設等の復旧に対する支援や専門家の派遣を通じた事業継続、雇用維持・拡大に向けたサポートに引き続き取り組みます。また、水産業の復興に関しては、リース方式による若手漁業者の漁船・漁具の導入や海洋環境の変化に対応した新たな操業体制への転換を支援します。
 東京電力福島第一原子力発電所事故被害への対応については、農林水産物を対象とした放射性物質検査を継続し安全性を広く発信するほか、八千ベクレル以下の農林業系廃棄物について各圏域が地域の実情に応じて進めている処理を支援いたします。また、多核種除去設備等処理水の海洋放出への対応については、一部の国や地域で輸入禁止措置が続いていることを踏まえ、漁業者等への経営サポート資金の貸付けに対する利子補給や水産物の国内消費の拡大、新たな海外販路の開拓に向けた取組を進めます。なお、国や東京電力に対しては、水産業をはじめとする関係団体の皆様からの声をしっかり伝え、引き続き責任ある対応を強く求めてまいります。
 震災の記憶・教訓の伝承と復興事業のフォローアップについては、みやぎ東日本大震災津波伝承館を活用した国内外への情報発信や震災伝承みやぎコンソーシアムの連携強化により更なる伝承活動を推進します。加えて、東日本大震災からの復旧・復興状況を踏まえた第五次地震被害想定調査の結果を活用し、地震や津波に関する防災意識の醸成と対策の強化を図ってまいります。

(富県宮城を支える県内産業の持続的な成長促進)
 次に、富県宮城を支える県内産業の持続的な成長促進についてであります。
 ものづくり産業等の発展と新技術・新産業の創出については、半導体関連産業の集積と振興に向けて、業界動向等を踏まえた企業誘致活動や東北大学との産学連携体制の構築を進めるほか、人材育成を目的に大学生等を対象とした半導体実習やセミナーを実施するとともに、半導体製造工場の立地に伴い、台湾から来日される従業員やその家族への支援として、相談窓口の設置や台湾を拠点としたサポート体制の構築、日本語講座の開設などに力を入れてまいります。また、中小企業におけるDXの推進に関しては、デジタル化に資する人材の育成・確保を進めるほか、システム構築や機器整備等への支援を継続します。あわせてDX関連のスタートアップ支援となるピッチコンテストを開催するとともに、関係者間のネットワークづくりを進めます。県経済を牽引する新たな企業価値の創造に向けては、昨年設立した「テクスタ宮城」におけるテック系スタートアップへの成長支援やイノベーション創出に向けたものづくり企業との連携を促進します。さらに、四月に本格稼働する次世代放射光施設「ナノテラス」を核として、リサーチコンプレックスの形成に向け、研究開発拠点及び関連企業の立地を促進するほか、中小企業等による施設の利用拡大を図ってまいります。
 観光産業と商業・サービス業の振興に関しては、国内外からの観光誘客の促進を継続してまいりますが、中でもインバウンド需要の拡大を目指し、デジタルプロモーションに一層力を入れて取り組みます。また、デジタル身分証アプリを活用して地域ポイント事業等を行う市町村への支援や県内観光地の周遊を促進するデジタル版スタンプラリーを実施し、交流人口の拡大と地域経済の活性化を図ります。
 地域を支える農林水産業の国内外への展開では、デジタル化の進展に伴い消費者の意識や消費行動が変化する中、新たな事業展開が求められております。このため、首都圏アンテナショップ「宮城ふるさとプラザ」を年内に閉店し、デジタルマーケティングによる県産品の販売促進において、ECサイトのリニューアルを図り集客力を強化するほか、商品の展示や試食等を行う物産展からオンライン販売に誘導する手法を取り入れるなど、時代に即した取組を積極的に進めてまいります。
 農業分野に関しては、RTK基地局を活用したスマート農業の普及を図るため、コンソーシアムを軸とした関係機関との連携を促進するとともに、引き続きコンシェルジュによる生産者へのサポートや実践的な研修を行います。また、生産者等と食品製造事業者との連携による商品開発や販路開拓などの取組に助成を行うほか、収益性の高い園芸品目への転換や先進的な園芸DX技術の導入を促進し、園芸産出額の増加を目指します。
 水産業においては、AIによる自動魚種選別機の実証試験やノリ養殖業におけるリモートセンシング技術の確立に向けた検討など、スマート水産業を実現する取組を進めます。あわせて、安定供給を可能とするギンザケ等の陸上養殖技術の導入を引き続き支援します。
 林業については、広葉樹の利活用に向けたビジネスモデルの構築を図るため、需要等調査や商品開発などに取り組みます。また、担い手の育成に向け、みやぎ森林・林業未来創造カレッジの取組を継続するほか、林業技能者の効率的な技術習得に向け、高性能林業機械のシミュレーターを導入します。
 若者をはじめとした多様な産業人材の育成・確保に関しては、首都圏や県内の大学生等を対象としたインターンに加え、新たに複数の企業で実習ができるパッケージ型インターンシップを実施し、県内就職を促進します。さらに、従業員への奨学金返還を支援するものづくり企業に対して助成を行うなど、中小企業等の採用力向上に取り組みます。外国人材の確保及び地域定着に向けては、市町村における日本語学校等の受入体制の構築を支援するとともに、海外へのサポートセンターの設置や現地ジョブフェアの開催、県内企業等とのマッチング支援を行います。
 宮城・東北の価値を高める産業基盤の整備・活用に関しては、周辺の工業団地と東北自動車道やみやぎ県北高速幹線道路とのアクセス向上を図るため、引き続き(仮称)栗原インターチェンジや主要地方道仙台三本木線の整備を進めます。また、仙台塩釜港においては、モーダルシフトの進展を見据えポートセールスに一層力を入れるほか、仙台空港関連では、新規就航や増便、航空機の大型化等を行う航空会社を引き続き支援するとともに、若者を対象とした利用促進キャンペーンやパスポート取得費用への助成など、アウトバウンドの需要拡大に向けた取組を強化します。

(社会全体で支える宮城の子ども・子育て)
 次に、社会全体で支える宮城の子ども・子育てについては、次世代育成・応援基金も活用しながら、引き続き幅広い施策を展開してまいります。
 結婚・出産・子育てを応援する環境の整備に関しては、みやぎ結婚支援センター「みやマリ!」の登録手続きのオンライン化を図り、結婚希望者のマッチングや出会いの機会の更なる創出につなげるとともに、市町村が行う結婚新生活支援事業の周知に努めます。また、子どもを希望する夫婦への支援として、不妊検査に加え、新たに不妊治療における先進医療の経済的負担を軽減する市町村に助成を行うほか、産後ケア体制の充実を図るなど、市町村と一体となった少子化対策に力を注いでまいります。
 家庭・地域・学校の連携・協働による子どもを支える体制の構築については、市町村や活動団体と連携し子どもの貧困対策に継続して取り組みます。また、児童虐待の早期対応に向けて、児童相談所の体制の強化とあわせて、相談記録業務を効率化するAI音声認識システムの試験運用及び導入効果の検証を進めます。実態が表面化しにくいヤングケアラーについては、SNSも活用し相談体制を強化するとともに、市町村の対応力向上を図り、課題を抱える家庭への適切な支援につなげます。
 多様で変化する社会に適応し、活躍できる力の育成に関しては、専門高校等において地域協働活動と学校の教育活動を一体化して支援するコンソーシアムを構築し、地域産業の振興の推進に寄与する人材を育成します。あわせて、県立学校や市町村立中学校に部活動指導員を配置するほか、公立中学校における部活動の地域移行に向けた実証事業を拡充します。
 安心して学び続けることができる教育体制の整備については、教員の負担軽減を図り、児童生徒への学習指導等により注力できるよう、小中学校においてスクールサポートスタッフの配置を拡充し、県立高校では採点業務や入学試験業務へのデジタル採点システムの導入を進めます。また、困難を抱える児童生徒への支援については、学び支援教室の設置や別室支援員の派遣による個別の学習支援等を継続します。

(誰もが安心していきいきと暮らせる地域社会づくり)
 次に、誰もが安心していきいきと暮らせる地域社会づくりについてであります。
 就労や地域活動を通じた多様な主体の社会参画の促進については、女子学生の県内就職を促す観点から、女性に配慮した職場環境づくりに取り組む企業への支援を継続します。安心して障害者が働き続けられる環境整備に向けては、地域の企業等で構成する障害者雇用推進に係るネットワークの構築を図り、障害への理解や雇用に関する知識の共有と企業間の交流を促進します。また、市町村等と連携を図り、みやぎ移住サポートセンターを拠点として首都圏等からの移住の推進などに取り組んでまいります。
 文化芸術・スポーツ活動と生涯学習の振興に関しては、県民会館及び民間非営利活動プラザ複合施設の整備や美術館のリニューアルを着実に進めるとともに、美術館の長期休館への対応として、所蔵品や高精細レプリカを活用した県内巡回展示を行います。スポーツの振興については、競技と仕事の両立を目指すアスリートと企業とのマッチングを支援し、地域の指導者としても活躍できる人材の確保を図ります。さらに、今年は多賀城創建千三百年に当たり、記念式典や多数のイベントが企画されております。県としましても、国内外から多くの観光客を誘客できるよう、多賀城市をはじめ関係市町村等としっかりと連携し取り組んでまいります。
 生涯を通じた健康づくりと持続可能な医療・介護サービスの提供については、介護人材の確保に向けて、覚書の締結国との連携を強化し、外国人材と介護施設等とのマッチングを支援します。また、仙台赤十字病院と県立がんセンターを統合して整備する新病院に関して、地域医療介護総合確保基金に相当額を積増しいたします。
 障害の有無に関わらず安心して暮らせる社会の実現に向けては、医療的ケアを要する児童やその家族を支えるための相談支援センターを継続するほか、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、地域移行を推進する医療機関の体制整備やピアサポートの活用支援に取り組むなど、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの取組を強化します。また、障害者の経済的自立と社会参加に向けては、県内企業等との応援体制を構築し、福祉的就労施設の受注機会の確保を推進します。さらに、ひきこもり等就労困難者への支援として、障害者就労施設において一般就労の足掛かりとなる中間的就労の場を提供してまいります。
 暮らし続けられる安全安心な地域の形成に向けては、持続可能な生活交通を確保する観点から、デマンド交通等への再編やローカル線の利用促進に取り組む市町村を支援します。警察関係では、栗原警察署と岩沼警察署の建設を着実に進めるほか、増加傾向が続く特殊詐欺被害を防止するため、特殊詐欺電話撃退装置等の設置への補助に加え、金融機関における振込型の被害防止対策を強化します。また、犯罪被害者とその御家族等への経済的支援として、見舞金制度を創設いたします。

(強靱で自然と調和した県土づくり)
 次に、強靱で自然と調和した県土づくりについてであります。
 環境負荷の少ない地域経済システム・生活スタイルの確立に関しては、県内事業所における太陽光発電設備の導入や蓄電池・電気自動車等を活用したスマートエネルギー住宅の普及促進に加え、太陽光発電を活用したEV利用モデルを構築する事業者等への支援を拡充します。あわせて未利用地等を活用した再エネ電力と県内の需要家とのマッチング支援体制を構築するなど、再エネの最大限の導入と徹底した省エネの推進を図ります。加えて県有施設については、自家消費型太陽光発電設備の導入可能性調査やZEB化等に向けた指針の策定を進めます。四月からの再生可能エネルギー地域共生促進税の導入に当たっては、引き続き広く制度周知に努めるとともに、地域の合意形成等に向けた協議会の運営を支援します。
 豊かな自然と共生・調和する社会の構築に向けては、ニホンジカやイノシシなどの野生鳥獣の個体数調整や鳥獣害防止に向けた取組を継続します。また、農山漁村地域の所得向上と活性化に向けて、農泊地域間の連携による広域周遊ビジネスモデルの展開に加え、地域資源を活用した六次産業化や農商工連携等によるなりわい創出の取組を支援します。令和七年秋季に開催される第四十八回全国育樹祭については、プレイベントや記念行事等の開催を通じて気運の醸成を図るとともに、会場の整備を進めてまいります。
 大規模化・多様化する災害への対策の強化においては、今年度補正予算に計上した防災・減災、国土強靱化の施策とあわせて、防災道路ネットワークの構築や流域治水の考え方に基づく河川、ダムの整備など、公共インフラの強靱化対策を推進します。さらに、津波等の大規模災害に備え、気仙沼漁港及び日門漁港の海岸防潮堤の整備を進めるほか、デジタル身分証アプリを基盤とした自然災害避難支援アプリを導入する市町村を支援します。
 生活を支える社会資本の整備、維持・管理体制の充実については、農業用ため池の安全確保対策を進めるとともに、「みやぎ型管理運営方式」に関し、引き続き運営権者・県・経営審査委員会によるモニタリングで運営状況の確認を行い、安全で安心な水の供給と安定した汚水の処理に努めてまいります。

 以上、施策の主な内容について御説明申し上げましたが、令和六年度の当初予算規模は、一般会計で一兆二百三十八億一千二百余万円、総計で一兆五千百九十七億一千六百余万円となります。財源の主なものとして、県税三千二百六億円、地方交付税一千五百七十八億円、国庫支出金一千五百一億三百余万円、繰入金二千四百七十五億八千余万円を計上し、また、臨時財政対策債及び借換債を含め県債一千四百六十五億三千六百余万円を発行することにしております。

 次に、予算外議案については、条例議案二十四件、条例外議案六件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。
 まず、条例議案でありますが、議第十六号議案は、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の施行に伴い、女性自立支援施設に関する規定の整備など、関係条例について所要の改正を行おうとするもの、議 第二十一号議案は、県民の利便性の向上を図るため、手数料の納入方法としてキャッシュレス決済を可能にしようとするもの、議第二十三号議案は、県庁舎等整備基金を充てる経費として、県が設立した地方独立行政法人が行う施設の整備等を追加しようとするもの、議第二十四号議案は、法定事務や県の独自利用事務で取得した特定個人情報の情報連携に関する規定を整備しようとするもの、議第二十七号議案は、地域における看護師の確保のための看護学生修学資金について、令和六年度以降の入学者にも貸付けが行えるように期間制限を廃止しようとするものであります。
 次に、条例外議案でありますが、議第四十号議案は、多文化共生社会推進計画の策定について、議第四十一号議案は、第二期宮城県教育振興基本計画の変更について、議第四十四号議案は、公立大学法人宮城大学が定めた業務に関して徴収する料金の上限の変更の認可について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。

 以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。

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