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掲載日:2023年9月5日

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第三百八十九回宮城県議会知事説明要旨

令和5年9月5日

第三百八十九回宮城県議会知事説明要旨

 本日ここに第三百八十九回宮城県議会が開会され、令和五年度一般会計補正予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、最近の県政の動きと議案の概要を御説明申し上げます。

 初めに、七月の梅雨前線による記録的な大雨では、九州北部や秋田県など各地で河川の氾濫や土砂災害が発生し、地域生活や産業基盤に甚大な被害が生じました。亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。本県の対応としましては、秋田市に罹災証明業務を支援する職員を派遣したところであり、引き続き東日本大震災での経験を活かしながら、被災地のニーズに合わせた支援を行ってまいります。

 近年、全国各地で台風や大雨などによる災害が頻発化・激甚化しており、我が県においても、平成二十七年九月関東・東北豪雨や令和元年東日本台風、昨年七月の大雨などによる被害が相次いでいることから、円滑な避難に向けた河川情報の充実・強化に加え、流域内のあらゆる関係者が協働して水害対策を行う流域治水の取組を推進していくことが極めて重要であると考えております。こうした認識の下、これまで度重なる浸水被害が発生している吉田川及び高城川流域について、東北地方で初となる「特定都市河川」及び「特定都市河川流域」の指定により、河川整備を加速するとともに、水害リスクを踏まえたまちづくり・住まいづくり等の浸水被害対策を流域一体で計画的に進めていくこととし、今議会に関連議案を提案しているところであります。今後とも、県民の皆様が安心して暮らせるよう、国や市町村と連携を図りながら浸水被害の軽減に向けた対策に一層力を入れて取り組んでまいります。

 次に、経済情勢と県内産業の持続的な成長促進に向けた取組についてであります。

 国が先月発表した月例経済報告では、国内の景気は緩やかに回復しており、先行きについても、この傾向が続くとの見方を示しております。一方で、需要の急増に人手が追いつかず、景気回復の足かせとなっているとの指摘もあり、人口動態の今後の推移を踏まえると、この状況は長期化することが見込まれます。

 我が県においても、県経済は個人消費を中心に緩やかに持ち直してきているものの、多くの分野で人手不足が顕著になっております。その原因は、雇用のミスマッチや若者の県外流出などもありますが、特に少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少が、地域経済に大きな影響を及ぼしているものと考えられます。

 私は、このような局面においては、人口減少や高齢化を前提としつつ、県民一人ひとりが幸福を実感し、地域の活力を維持しながら、持続的な発展を目指していくことが必要であり、各分野において省力化やDXの推進などにより生産性の向上を図るとともに、県内産業や地域生活の担い手として多様な人材が活躍するために必要な施策を積極的に推し進めていくことが重要と考えております。このため、女性や高齢者をはじめ誰もが多様で柔軟な働き方ができる環境の整備や、外国人が安心して活躍できる支援体制の構築に取り組んでいるところであります。とりわけ外国人材については、国において在留資格「特定技能二号」の対象分野や介護に従事できる業務範囲の拡大などの制度見直しが進められております。こうした動きも踏まえ、この七月、私はインドネシアを訪問し、外国政府としてはベトナムに次いで二例目となる、人材確保に関する覚書を締結してまいりました。これを契機に、県内の様々な分野における事業者とのマッチングや公設日本語学校の開設支援など、外国人と共生する社会の実現に向けて全力で取り組んでまいります。

 また、自立的な地域経済を確立し、地方創生を確かなものにしていくためには、地域に新たな質の高い雇用を生み出し、「ひと」と「しごと」の好循環を創出していくことが不可欠であります。県では、県内企業の成長戦略として、高度な知識や技能を持つプロフェッショナル人材と企業とのマッチングに取り組んでおり、企業の経営安定や生産性の向上、新市場開拓などに成果を挙げております。この取組を更に前進させるため、七月に県内金融機関と連携強化に向けた協定を締結したところであり、今後とも中小企業において「攻めの経営」や経営改善等が図られるよう支援を充実してまいります。

 私は、文化芸術は、人々に感動や生きる喜びをもたらし人生を豊かにするものであると同時に、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業など様々な分野との連携により、多くの社会課題の解決や地域力の向上をもたらし、ひいては地域コミュニティの再生や持続的な経済活動の循環など、地方創生推進の大きな力になるものと考えております。その一翼を担う施設が、現在移転整備を進めている県民会館及び民間非営利活動プラザの複合施設であります。その進捗につきましては、施設の基本設計が完了し、先月二十七日には県民説明会を開催して皆様から幅広い御意見を伺っているところであります。令和十年度中の開館を目指し、今後とも着実に整備を進めてまいります。

 東京電力福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水に関して、国は、処理水の処分が完了するまで全責任を持って安全性確保、風評対策、生業継続支援に取り組むことを表明し、先月二十四日に海洋放出を開始したところであります。県内においては、海洋放出前から既に風評被害が発生している状況にあることから、県としましても、国及び東京電力に対し、これまでと同様に海洋放出以外の処分方法の検討を求めていくとともに、風評被害に関しては、その現状と水産業をはじめとする関係団体の皆様からの声をしっかりと伝え、責任ある対応を強く求めてまいります。

 先の定例会でお認めいただいた再生可能エネルギー地域共生促進税については、来年四月までの施行を目指し、現在国と協議を行っているほか、非課税となる地球温暖化対策推進法に基づく地域脱炭素化促進事業等の認定の手続きが円滑に進むようガイドラインの策定を進めております。今後、可能な限り早期にガイドラインを公表するとともに、認定手続き等が滞りなく進められるよう市町村を支援してまいります。

 仙台医療圏における病院の再編については、精神医療センターの移転に関して頂いていた様々な御懸念への対応策として、先月三十一日に開催した精神保健福祉審議会において、精神科新病院の名取市内への開設をはじめとする新たな方策をお示ししたところであります。政策医療の課題解決に向けて、病院再編に係る協議も含め、着実に歩みを進めてまいります。

 令和七年度の開催が決定した全国育樹祭につきましては、先月、実行委員会を設立し、大会の企画及び運営の基本的な事項や今年度の事業計画などについて審議を行いました。本大会は、森林を継続的に守り育てることの大切さとともに、壊滅的な被害を受けた海岸防災林など、東日本大震災からの復興を果たした姿を広く全国に発信する絶好の機会であり、大会の成功に向け、地元自治体や関係団体と調整を図りながら計画的に準備を進めてまいります。

 国において六月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針二〇二三」、いわゆる骨太の方針では、「新しい資本主義」の加速に向けて、労働市場改革による構造的な賃上げや人への投資、GX・DXやスタートアップの推進に取り組むとともに、少子化対策・こども政策の抜本強化が打ち出されました。地方財政の分野においては、令和三年度に閣議決定された「骨太の方針二〇二一」の中で、令和六年度までの地方一般財源総額について、実質的に同水準を確保する方針が示されており、この方向で調整が進むものと見込んでおりますが、地方一般財源は、持続的な財政運営の根幹を支えるものであり、十分な規模でその確保が図られるよう、引き続き国に求めてまいります。

 なお、国の令和六年度予算概算要求の基本方針では、少子化対策・こども政策や物価高騰対策などの重要な政策については、予算編成過程で検討を行うとされており、また、東日本大震災からの復興対策に係る経費についても、被災地の復興のために真に必要な事業に重点化するとされていることから、実効性のある施策に財源がしっかり確保されるよう、今後の予算編成の動向を注視してまいりたいと考えております。

 我が県の今年度の歳入見通しは、普通交付税が当初予算計上額を上回る見込みとなったものの、財政調整基金の取崩しや特例的な県債の発行を取りやめるほどではなく、原材料やエネルギー価格の高騰のほか、国際情勢の影響に留意すべき状況が続いていることも踏まえれば、引き続き慎重な財政運営が必要と考えております。なお、物価高騰への対応については、先の定例会で予算化した支援策の迅速な執行に努めておりますが、今後も物価の上昇は続く見通しであることから、国に対し追加対策に係る財源措置を強く求めてまいります。

 私は、一昨日、全国知事会会長に就任いたしました。東日本大震災からの復旧復興を指揮し、新型コロナウイルス感染症対策に取り組んだ私のこれまでの経験を活かしながら、知事会運営に取り組んでまいる所存であります。急速に人口減少が進む中、これからの時代にふさわしい地方行政を目指して都道府県が連携し、観光や物産振興、人材確保などの分野で海外にアプローチすることや、都道府県と国のあり方の見直し検討も進めたいと考えております。自然災害、パンデミック、地球環境問題など地方を取り巻く環境は、ますます厳しさを増しておりますが、現場であらゆる課題に向き合う知事の集まりだからこそ、その力を合わせることで様々な危機や課題を克服できるものと考えております。私は「結果を残す知事会」の実現を目指し、重責を果たしていく決意でありますので、議員各位の御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 次に、今回の補正予算案の考え方についてであります。

 今回御審議をお願いいたします補正予算案は、物価高騰対策や水害への対応など特に緊急を要する施策について盛り込むとともに、当初予算編成後の状況を踏まえ必要となった施策について予算措置することとして編成したものであります。

 主な内容としましては、物価高騰への対応として、農業水利施設の省エネルギー化の支援を行うほか、流域下水道事業における利用料金の補償に伴う予算を追加計上いたします。

 水害への対応としましては、馬鞍川などの河川局部改良に要する経費を計上するとともに、昨年の大雨被害のあった名蓋川については、災害復旧事業による原形復旧と併せて河道拡幅や堤防嵩上げを実施する経費を追加いたします。農業用施設においては、用排水機場建屋の災害復旧に加えて、再度災害防止の観点から設備の浸水対策や避難設備の設置などに要する経費を計上いたします。

 また、津波や高潮等への対策として、気仙沼漁港海岸魚市場前地区の海岸防潮堤の整備を進めるほか、令和元年東日本台風災害を受けた吉田川などの復旧事業の実施に伴う国直轄事業負担金を増額しております。

 このほか、農業の生産性や収益性の向上を図るため、畑作物等の産地づくりの取組を支援する経費を追加いたします。

 以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正規模は、一般会計で四十四億六千九百余万円、総会計で四十七億六百余万円となります。財源としては、県債三十三億六百余万円、国庫支出金九億五千五百余万円などを追加しております。

 この結果、今年度の予算規模は、一般会計で一兆九百十九億九千七百余万円、総計で一兆五千八百十一億四千四百余万円となります。

 次に、予算外議案については、条例議案八件、条例外議案十二件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。

 まず、条例議案でありますが、議第百十三号議案は、特定都市河川等の指定に伴い、雨水貯留浸透施設等の標識の設置に関し必要な事項を定めようとするものであります。また、議第百十五号議案は、高度化する環境問題に対応するため、環境審議会に部会を置くことができるようにするもの、議第百十九号議案は、水道用水供給料金等の改定などを行おうとするもの、議第百二十号議案は、宮城県立秋保かがやき支援学校を設置しようとするものであります。

 次に、条例外議案でありますが、議第百二十一号議案は、土地区画整理事業の実施に伴う市町の境界変更について、議第百二十二号議案は、財産の取得について、議第百二十三号議案ないし議第百二十八号議案は、工事請負契約の締結について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。

 以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。

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