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令和6年11月21日
第394回宮城県議会知事説明要旨
本日ここに第394回宮城県議会が開会され、令和6年度一般会計補正予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、最近の県政の動きと議案の概要を御説明申し上げます。
先ほど御披露と伝達がありました坂下賢議員、外崎浩子議員におかれましては、長年にわたり地方自治の発展に尽力された御功績により、全国都道府県議会議長会から表彰をお受けになりました。県民の皆様とともに心からお祝い申し上げ、多年の御功労に対しまして深く敬意を表するものであります。なお一層御自愛の上、県勢発展のため今後とも御活躍いただきますよう御期待申し上げます。
それでは御説明いたします。
初めに、最近の経済情勢と県内産業の持続的な成長促進についてであります。
先月公表された日銀短観によると、国内製造業の業況判断指数は、電気機械などの業種で改善が見られるものの、台風による工場稼働停止の影響もあり、全体では前回から横ばいとなっております。一方、非製造業については、インバウンド消費の増加などを背景に好調に推移しておりますが、我が県の景況感は足踏みの状況が続いていることから、交流人口の拡大による地域経済の活性化に向けて、より一層力を入れて取り組んでいかなければならないものと考えております。先の定例会でお認めいただいた宿泊税については、現在、総務大臣の同意を得るため国と協議を進めているほか、周知広報等の詳細について仙台市と調整を図っております。また、宿泊事業者の皆様への個別訪問などを通じて、引き続き丁寧な説明を行うとともに、財源を活用した施策に関しては、みやぎ観光振興会議に宿泊事業者部会を設置し、事業者の皆様と連携協力して検討する準備を進めております。
こうした中、国際的ウォーキングイベント「アジア・トレイルズ・カンファレンス」が来年11月に本県で開催されることが決定いたしました。東日本大震災で減少した外国人観光客を呼び戻すため整備をしてきた「宮城オルレ」が、日本を代表するトレッキングコースとして選ばれたことは、宮城の魅力を広く世界へ発信する絶好の機会であり、大会の成功を足がかりとして、我が県観光産業の更なる発展に向けて、これからも地域と一体となって取り組んでまいりますので、議員各位におかれましては、御理解・御協力を賜りますようお願い申し上げます。
成長産業の誘致・集積に向けては、台湾大手半導体企業の工場建設が中止となりましたが、我が県には、富県宮城の実現を掲げ進めてきたものづくり産業の集積や企業活動を支える充実した道路、港湾、空港等のインフラ機能のほか、世界トップレベルの研究開発や人材育成を行う東北大学など、半導体をはじめとする成長産業の立地に適した環境が備わっており、引き続き、宮城そして東北の経済発展に向け、私が先頭に立って関連産業の誘致・集積に積極果敢に取り組んでまいります。
また、人口減少の進展に伴い国内市場の縮小が見込まれる中、県内の農林水産業及び食品産業が持続的に発展していくためには、更なる輸出拡大に向けた取組を進めていくことが重要であります。我が国の貿易を巡っては、日本産水産物の輸入停止措置を続けていた中国が輸入再開に向け動き出しておりますが、依然として全面再開までの具体的な道筋は不透明であります。県としましては、引き続き国内での販路拡大に注力しつつ、安定的な輸出を継続できるよう、新たな輸出先を開拓し産業基盤の強化を図ってまいります。
次に、自治体DXの推進と県民サービスの向上についてであります。
人口減少や少子高齢化に直面する我が県が様々な行政課題に対応し、県民の利便性や行政サービスの質の向上を実現していくためには、自治体DXを推進し業務プロセスの効率化や改革を進めていくことが不可欠であります。本県の取組状況としましては、各種手数料のキャッシュレス決済を県内の運転免許センターと県税事務所で開始し、今後は更に、パスポート申請手続や警察署での車庫証明などに対象を拡大してまいります。また、これまで書面で運用していた行政手続を令和7年度末までに原則オンライン化する方針の下、来年1月の試験運用に向け調整を進めているところであります。さらに、災害時に有用なデジタル身分証アプリが平時から活用されるよう、健康増進や県政情報を発信するミニアプリの試験運用を開始したほか、自然災害避難支援アプリ「みやぎ防災」の導入とあわせて、その普及拡大を図るため「みやぎポイント」アプリを公開し、全県を対象に抽選でポイントを付与するキャンペーンを今月18日に開始いたしました。
また、行政のデジタル化を加速させるためには、官民の連携が重要であります。我が県では、9月に世界屈指のIT企業と連携協定を締結し、行政事務の効率化や高齢者のデジタルリテラシー向上のほか、地域課題解決のため生成AIを活用したプロジェクトの検討を進めております。この取組を通じて、地域社会に新たな変革を起こし、県民誰もがデジタル化の恩恵を受けられる社会の実現を目指してまいります。
さらに、近年、全国的に公務員志望者が減少する一方で、若手職員の離職が増加する傾向にあり、我が県においても喫緊の課題となっております。多様化・複雑化する行政ニーズに適切に対応し、県民サービスの維持・向上を図るためには、DXなどによる業務効率化に加え、職員の確保と育成に一層力を入れていく必要があります。このため県では、公務の魅力発信と働く環境や処遇の改善に一体的に取り組む「職員確保緊急プラン」を先月策定し、インターンシップを中心とした広報活動の強化や採用試験見直しのほか、多様な働き方の実現に向けて、選択的週休3日制をはじめとしたフレックスタイムやテレワークの拡充を図るとともに、若年層の給与改善や福利厚生の充実に取り組んでいくこととしております。このプランを着実に実行し職員を確保しつつ、あわせて研修の充実を図り、職員一人ひとりが県政の推進にやりがいを持ち、最大の能率を発揮して公務を遂行できる環境整備に努めてまいります。
仙台医療圏の病院再編につきましては、今月14日に仙台赤十字病院と県立がんセンターの統合による新病院の概要をまとめた基本構想が公表されたところであり、今後、救急医療や周産期医療、がん医療などの政策医療の課題解決に貢献する持続可能な病院を実現できるよう、引き続き関係者との協議を進めてまいります。一方、東北労災病院と県立精神医療センターの移転・合築については、精神医療センターの富谷市移転に対する患者や関係者からの様々な御意見を踏まえ、柔軟かつ多角的視点で対応案の検討を進めてまいりましたが、この度、独立行政法人労働者健康安全機構から「労災病院グループ全体の現在の経営状況を踏まえると、東北労災病院の富谷市移転に向けた検討には一定の期間が必要」との見解が示されたことから、協議に時間を要する見通しとなったところであります。このため、県としましては、施設老朽化の状況や早期の方針決定を望む患者等の意見を踏まえて、課題とされる身体合併症などへの対応について、精神医療センターにおける機能強化と精神科病床を有する一般病院との一層の連携による体制構築に向け、関係者との協議により解決が図られることを前提として、精神医療センターを名取市内で建て替える方向で検討を進めてまいります。
なお、労働者健康安全機構とは、引き続き、救急医療や災害医療などの政策医療の課題解決に向けて、東北労災病院の富谷市への移転に関する協議を継続するとともに、県北部の精神疾患患者への対応など、「にも包括」体制の構築に向けた連携についても併せて検討を行ってまいります。
東北電力女川原子力発電所2号機については、原子炉起動の過程で一部不具合が発生しましたが、今月15日に発電を再開し、今後、最終的な検査等を経て、営業運転を開始する見込みであります。県としましては、引き続き、自然災害と原子力災害の複合災害を想定した訓練の実施など、原子力防災対策に万全を期すとともに、東北電力に対して、安全性確保の確実な履行のほか、県民に対する積極的な情報公開を求めてまいります。
次に、今後の県政運営の基本的な考え方につきましては、来年度の予算編成に先立ち、県議会の御意見も踏まえ、先月下旬に「令和7年度政策財政運営の基本方針」として取りまとめました。我が県は、被災地の復興完了に向けたきめ細かなサポートのほか、人口減少や少子高齢化、大規模化・多様化する自然災害への備えに加え、依然として続く物価高への対応も求められております。こうした課題への対応を含め、来年度は「新・宮城の将来ビジョン」に掲げる5つの政策推進の基本方向の下、宮城の将来像の実現に向けた取組を着実に推進してまいります。
また、人口減少局面においても県民一人ひとりが幸福を実感し、それぞれの地域が活力を維持しながら持続的に発展できる地方創生の実現を目指していくために、特に重点的に取り組む項目として、「人口減少対策」、「DXによる変革みやぎの実現」、そして「半導体をはじめとする成長産業の誘致・育成」の3点を掲げております。いずれも県政の大きな課題であり、宮城の新時代を切り開くという気概を持ち、全身全霊を傾けて取り組んでまいります。
財政の見通しについては、国が公表した来年度の「地方財政収支の仮試算」において、地方税や地方交付税及び臨時財政対策債は増加しておりますが、足元の物価高や海外景気の下振れなど、今後の推移によっては県内経済に大きな影響を与える要因が多く、先行きは依然として予断を許さない状況にあると認識しております。
こうした状況を踏まえ、来年度予算については、今後国から示される地方財政対策や県税収入の動向などに留意するとともに、物価・賃金・金利の上昇も考慮し、「新・宮城の将来ビジョン」に掲げる施策に重点的かつ適切に予算配分いたします。あわせて、持続可能な財政運営の実現に向け、今後の指針となる新たな財政運営戦略を策定してまいります。
また、現在、国では経済対策の策定を行っているところであり、その動向を注視し概要が明らかになり次第、物価高騰対策をはじめとする各種施策の早期実施に向けて、可能な限り速やかに県の補正予算を提案できるよう調整を進めるとともに、国に対しては、新たな政策の実現に伴い財政負担が生じる場合には、地方の財政運営に支障を来すことのないよう、国の責任において、十分かつ確実な財政措置が講じられることを強く求めてまいりたいと考えております。
今回御審議をお願いいたします補正予算案の主な内容ですが、地方財政法に基づき令和5年度一般会計決算剰余金を財政調整基金に積み立てるとともに、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金のうち過交付分を国に返還いたします。また、この夏の大雨により被災した県立秋保かがやき支援学校の施設や大崎市の地獄谷遊歩道に係る災害復旧経費に加え、宿泊税導入に関する広報や事業者向け説明会に要する経費を計上いたします。さらに、大気汚染常時監視業務や次期電子入札等総合システムの開発及び運用保守の複数年度にわたる経費のほか、出水期に備えた河川管理や除雪に伴う道路補修など今年度末から来年度初めにかけて行う必要がある公共事業費や指定管理者制度による公共施設管理運営業務委託費について債務負担行為を設定しております。
なお、一般職の職員の給与に関しては、人事委員会から月例給、ボーナスともに引き上げることなどを骨子とする勧告があり、その取扱いを慎重に検討した結果、勧告どおり実施するとともに、その内容とあわせて、知事等の特別職についても期末手当を引き上げる方向といたしました。これら給与の改定に係る条例改正案につきましては、後日提案させていただきたいと考えておりますが、これに伴う人件費の増額分は、今年度の異動等に伴う減額分と併せて既決予算の範囲内で対応できる見込みであり、次期定例会における補正予算で対応してまいりたいと考えております。また、勧告のうち来年4月以降に適用される給与制度のアップデートに伴う改定については、条例改正案を次期定例会に提案することで調整を進めてまいります。
以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正規模は、一般会計、総会計ともに182億6,630余万円となります。財源としては、繰入金161億8,680余万円、繰越金17億3,370余万円を追加しております。
この結果、今年度の予算規模は、一般会計で1兆490億7,150余万円、総計で1兆5,449億7,510余万円となります。次に、予算外議案については、条例議案7件、条例外議案20件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。
まず、条例議案でありますが、議第144号議案及び議第150号議案は、各種手数料の新設や改定、減免期間の延長などを行おうとするもの、議第145号議案は、産業廃棄物税の適用期間を延長しようとするもの、議第146号議案は、地方活力向上地域における県税の課税免除等の対象に特定業務児童福祉施設を追加しようとするもの、議第147号議案は、知事の権限に属する事務の一部を新たに市町村が処理できるようにしようとするものであります。
次に、条例外議案でありますが、議第151号議案は、令和7年度における自治宝くじの発売限度額について、議第152号議案ないし議第161号議案は、指定管理者の指定について、議第162号議案は、宮城県道路公社による有料道路事業の実施の変更に関し同意することについて、議第163号議案ないし議第168号議案は、工事委託及び工事請負契約の締結について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。
以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。
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