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掲載日:2020年6月15日

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第三百七十三回宮城県議会知事説明要旨

令和2年6月15日

第三百七十三回宮城県議会知事説明要旨

本日ここに第三百七十三回宮城県議会が開会され、令和二年度一般会計補正予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、最近の県政の動きと議案の概要を御説明申し上げます。

その前に、去る五月十九日に急逝されました故坂下やすこ議員の御霊に対しまして、謹んで哀悼の意を表し、生前の御功績を称えますとともに、御遺族の皆様方に衷心よりお悔やみを申し上げます。

それでは、御説明いたします。

初めに、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。先月二十五日に新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言が全都道府県で解除されたことに伴い、本県では、翌二十六日から七月末までを地域の感染状況や感染拡大リスクなどを確認するための移行期間とし、外出自粛等の制限を段階的に緩和しているところです。

このような措置を講じることができましたのは、これまで県民が一丸となり、感染拡大防止に取り組んだ成果であり、また、医療現場の最前線において全力そして最善を尽くされた医療従事者をはじめとする関係者の皆様の御尽力の賜物であります。改めて心より感謝申し上げます。

しかしながら、新型コロナウイルスとの闘いは、治療薬やワクチンが開発されるまで長丁場であり、更にウイルスとの共存も視野に入れなければなりません。海外では、感染が再拡大する兆しも見られ、本県においても予断を許さない状況にあることに変わりはありません。

県政をお預かりする私といたしましては、県民の皆様の安全・安心を確保するため、感染防止の徹底を図ると同時に、大きく落ち込んだ県内経済の再生を目指すという難しい舵取りを行わなければなりません。

県においては、感染の再拡大に備え、衛生資材等の備蓄はもとより、医療提供体制の維持・強化に万全を期してまいりますが、県民の皆様におかれましても、一人ひとりが日常生活の在り方を見直し、三つの密を徹底的に避けるとともに、「人と人との距離の確保」、「マスクの着用」、「手洗い」をはじめとした基本的な感染対策の継続など、感染拡大を予防する「新しい生活様式」の実践・定着について御協力をよろしくお願い申し上げます。

また、先日、県議会議長から新型コロナウイルス感染症対策経費を確保するため、議員報酬等を減額する旨の申し入れがありました。議員各位の御協力に対しまして心から敬意を表します。執行部といたしましても、私をはじめ特別職の給料について削減措置を行うほか、令和二年度当初予算の見直し作業を行っているところであり、これらに対応した予算措置について、次期定例会までに整理したいと考えております。

新型コロナウイルス感染症の影響は、県政のあらゆる分野に及んできています。

東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会については、三月にオリンピックの聖火が「復興の火」として県内で展示され、開幕に向けた機運醸成が図られたところでありましたが、新型コロナウイルスの影響により、来年夏への延期が決定されました。世界的な感染拡大の中では、やむを得ない判断であったと考えておりますが、開催が延期されましても、震災からの復興の姿を発信し、これまでいただいた御支援への感謝を伝える「復興五輪」の趣旨に変わりはないものと認識しており、大会の開催に向けて改めて機運醸成を図るほか、聖火ランナーや都市ボランティア等との調整や競技会場の環境維持などの取組に万全を期してまいります。

九月に石巻市で開催を予定しております「第四十回全国豊かな海づくり大会~食材王国みやぎ大会~」については、これまで各種イベントを通した機運の醸成や実施計画の策定など、鋭意準備を進めているところであり、復興が進んだ宮城の海を全国に向けて発信するほか、本県水産業の持続的な発展と明るい未来を体感していただける大会にしたいと考えております。今後の新型コロナウイルスの影響を慎重に見極める必要はありますが、引き続き準備を進めてまいります。

国の統計によりますと、昨年の本県の外国人宿泊者数は、過去最高の五十一万人泊となり、五十万人泊としていた目標を一年前倒しで達成することができました。新潟県を含めた東北七県合同でのトップセールスや各種情報発信、受入体制の整備など、これまでの取組の成果であると評価しているところです。また、まもなく民営化後五年目となる仙台空港では、四月に国際定期路線の初就航から三十年の節目を迎えました。民営化以降、韓国や台湾への定期路線の増便、バンコクや大連への新規就航などにより、国際線を中心に旅客数が増加し、令和元年度には過去最多となる三百七十一万人を記録するなど、順調に推移しておりました。そのような矢先、このたびの新型コロナウイルスの影響により、国際航空路線が全線運休になるなど、これまでの努力に水を差される事態となりましたことは、私にとりましても痛恨の極みであります。

今もなお県内の観光地は、観光客の激減などから苦しい状況が続いておりますが、観光産業は、地域の活性化や交流人口の拡大等につながることから、観光地の賑わいを取り戻すことが、県内経済の再生に向けて非常に重要であります。このため、今回の補正予算案において、誘客に向けた経費を計上したほか、今月五日に立ち上げた「みやぎ観光振興会議」において、観光関係の幅広い方々の御意見等を伺い、観光振興施策の検討等を行ってまいります。また、先日、来年春のNHK連続テレビ小説で本県が舞台となる旨の明るい話題が舞い込んできました。気仙沼市や登米市で撮影が行われるとのことで、震災から十年の節目の年に復興が進んだ姿を全国の方々に見ていただく絶好の機会であると考えております。県としましても、ロケ地と連携し、観光プロモーション等に重点的に取り組んでまいります。

このところの景気動向については、月例経済報告によると、急速な悪化が続いており、当面極めて厳しい状況が続くものと見込まれています。緊急事態宣言の解除等により社会経済活動が再開され、個人消費の持ち直しなどが期待されるところでありますが、今後の雇用情勢や感染の再拡大懸念など先行きは不透明であります。県としましては、先の臨時会でお認めいただきました予算などを活用し、中小企業等における雇用の維持や資金繰り支援など事業継続に向けて、しっかりと取り組んでまいります。また、新型コロナウイルス感染症対策関係経費が追加計上された国の第二次補正予算に対応した補正予算案について、まとまり次第、今議会に追加提案したいと考えております。

景気の先行きを考えますと、今後、県税収入等の歳入が大きく落ち込むことが懸念されます。現在、社会情勢の変化に合わせ、事務事業の見直しを行っているところでありますが、震災復興関連の取組など、これ以上先に延ばせない事業も少なくないことから、今後の財政運営に支障が生じないよう、国に対して適切な財政支援を要請してまいりますので、議員各位の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

次に、震災復興計画の推進と宮城の将来ビジョンの実現に向けた取組状況についてであります。

新型コロナウイルス感染拡大の影響はあるものの、復興は着実に歩みを進めております。JR常磐線は、福島県内で不通となっていた一部区間で運転が再開され、九年ぶりに全線開通し、東日本大震災で被災した鉄道の不通区間はすべて解消されました。四月には、次世代放射光施設の基本建屋の起工式が行われ、令和五年度の稼働に向けた建築工事が開始されたところです。また、四月末には仮設プレハブ住宅を解消することができました。

昨年末に実施した県民意識調査では、復興の進捗を実感している方々の割合が初めて六割を超えました。震災復興計画の最終年度を迎え、復興の完遂に全力を傾けて取り組む決意を新たにしたところであります。

復興・創生期間後における国の復興の基本方針が昨年末に閣議決定され、復興庁の設置期間延長等の関連法が現在開会中の通常国会で可決・成立しました。復興・創生期間の最終年度であることから、来年度以降の支援の在り方について、早期に具体化し、必要な財源がしっかり確保されるよう引き続き国と協議を進めてまいります。

今年度末で計画期間を終える「宮城の将来ビジョン」、「宮城県震災復興計画」及び「宮城県地方創生総合戦略」を統合する次期総合計画の策定については、昨年末に骨子案を提示し、その後、若者を対象としたアンケート調査や県内五か所でタウンミーティングを実施した上で検討を進めているところであります。県民の皆様からの御意見等を生かし、「富県躍進!」を県政運営の理念に掲げた今後十年間の宮城の針路を定めてまいります。

このほか、県有施設再編等の在り方については、有識者からの御意見等をもとに、「県有施設等の再編に関する基本方針」を三月に策定・公表いたしました。美術館については、関係者との意見交換等を積み重ねながら、現地改修と移転新築の比較整理を行うなど、引き続き検討を進めてまいります。

官民連携による上水道、工業用水道、下水道を一体的に管理運営する「みやぎ型管理運営方式」については、今月中旬から三事業体を対象に競争的対話に着手しており、令和四年度の事業開始に向けて年度内に優先交渉権者を選定いたします。

東北電力女川原子力発電所二号機については、二月二十六日に原子力規制委員会において原子炉設置変更許可が決定されたことを受けて、三月二日に経済産業大臣から再稼働を進める旨の方針が示され、理解確保の要請を受けたところであります。私といたしましては、今後、地元住民の方々を対象とした説明会を開催するとともに、県議会及び県内市町村長の御意見などを十分踏まえ、しかるべき時期に国からの要請に対し、慎重に判断したいと考えております。

農業分野においては、県畜産試験場で大学との共同研究により、世界で初めて凍結乾燥させた牛の精子から子牛を誕生させることに成功しました。従来の液体窒素での保存では、自然災害等により液体窒素等の供給が絶たれた場合には貴重な遺伝資源を失う恐れがあり、今後、研究を重ね、フリーズドライ精子の常温保存が可能となれば、新たな保存方法として活用が期待されます。

次に、今回の補正予算案の考え方についてであります。

今回御審議をお願いいたします補正予算案は、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金等を活用し、県内経済の再生に向けた施策に軸足を置いて編成したものであります。

主な内容ですが、低迷している観光宿泊需要を喚起するため、旅行商品の造成・割引への助成や民泊を含む小規模宿泊事業者の誘客支援、観光事業者の集客回復に向けた環境整備支援などに要する経費を計上しております。また、先の臨時会でお認めいただきました宿泊・飲食事業者等の資金調達を支援する経費を大幅に追加しております。このほか、県産品の販売支援や需要喚起に要する経費、県産農林水産物の輸出力強化に向けた施設整備への支援、肉用牛の価格急落に直面する畜産農家が行う肥育用子牛導入への支援に要する経費についても計上しております。加えて、県立高校におけるICTを活用した学習環境整備の拡充に要する経費を追加しております。

以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正規模は、一般会計、総計ともに二十二億四千百余万円となります。財源としては、国庫支出金二十一億二千余万円、繰入金一億一千余万円などを追加しております。

この結果、今年度の予算規模は、一般会計で一兆二千百五十五億六千九百余万円、総計で一兆六千七百十四億一千六百余万円となります。

次に、予算外議案については、条例議案十四件、条例外議案八件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。

まず、条例議案でありますが、議第百八号議案は、来年三月まで知事等の給料を削減しようとするもの、議第百九号議案は、自転車の安全利用の促進について、基本理念を定め、県、県民、自転車利用者等の責務を明らかにし、自転車の安全利用に関する施策の基本的な事項を定めようとするものであります。また、議第百十一号議案は、新型コロナウイルス感染症に伴う作業に係る職員の特殊勤務手当について、国に準じて特例を設けようとするもの、議第百十三号議案は、地方税法の改正に伴い自動車税環境性能割の臨時的軽減の延長など県税条例の一部を改正しようとするもの、議第百十七号議案、議第百十八号議案及び議第百二十一号議案は、東日本大震災により被害を受けた者の職業能力開発校、農業大学校及び県立学校における入学者選抜手数料の免除の期間を延長しようとするものであります。

次に、条例外議案でありますが、議第百二十二号議案は、土地改良事業の実施に伴う市町の境界変更について、議第百二十三号議案は、訴えの提起について、議第百二十四号議案及び議第百二十五号議案は、財産の取得について、議第百二十六号議案及び議第百二十七号議案は、工事請負契約の締結について、議第百二十八号議案及び議第百二十九号議案は、工事請負変更契約の締結について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。

以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。

お問い合わせ先

広報課企画報道班

宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号

電話番号:022-211-2281

ファックス番号:022-263-3780

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