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令和2年5月14日
第三百七十二回宮城県議会知事説明要旨
本日ここに第三百七十二回宮城県議会が開会され、令和二年度一般会計補正予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、新型コロナウイルスの感染拡大への対応状況と議案の概要を御説明申し上げます。
初めに、新型コロナウイルスの感染拡大防止についてであります。
新型コロナウイルスは、世界中で猛威を振るい、我が国でも多くの方々が罹患され、尊い命が奪われる事態となりました。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、罹患された皆様に心からお見舞い申し上げます。
また、医療現場の最前線で御尽力されている医療従事者の皆様、そして、我々の日常生活を支えてくださる事業者の皆様に、敬意を表しますとともに、ここに改めて深く感謝申し上げます。
本県では、三月下旬以降、仙台市内を中心に断続的に感染者が確認されたことから、先月三日に仙台市長などとともに緊急メッセージを発信して、不要不急の外出自粛を要請したほか、健康電話相談窓口の大幅な増強や感染症病床確保などの対策を講じてまいりました。その後、感染状況の推移に鑑みて、県内において「感染初期」の状況から症状に応じて入院の必要性を判断する「移行期」に深刻化したものと判断し、新型コロナウイルス感染症対策宮城県調整本部の設置をはじめ、軽症者等の療養場所の確保や病床の追加確保など、医療提供体制の整備を図るとともに、県立学校における臨時休業の延長などの対応を行いました。
先月十六日に政府が新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言の対象を全都道府県に拡大したことを受けて、本県では、翌十七日に、緊急事態措置として外出自粛要請等を行いました。また、二十一日には、四月二十五日から五月六日までの間、遊興施設や運動・遊技施設等に対しては休業を、食事提供施設に対しては営業時間の短縮をそれぞれ要請するとともに、二十四日には、商店街やスーパーマーケット等における感染拡大防止を要請いたしました。
県民の皆様には、大型連休中の行楽の機会はもとより、日常生活のあらゆる面におきまして大変な御不便をおかけいたしましたが、県民一丸となって御協力をいただいたことにより、感染抑止に一定の効果をあげることができたものと心より感謝申し上げます。
全国的には、新規感染者数は減少傾向にありますが、状況は依然として予断を許すものではありません。
県といたしましては、より一層の感染拡大防止、そして感染収束に向け、引き続き私が先頭に立って、気を緩めず対策に取り組み、県民の安全・安心の確保のために万全を期してまいりますので、県民の皆様におかれましては、密閉、密集、密接の三つの「密」の場面を避けるとともに、人と人との距離を確保するなど「新しい生活様式」の実践に取り組んでいただきますようお願い申し上げます。
次に、本県を取り巻く経済情勢についてであります。
新型コロナウイルス感染症は、国内外の経済に甚大な影響をもたらしており、先月には、今年の世界全体の経済成長率がマイナスに落ち込むとの予測が出されました。政府の月例経済報告によれば、国内の景気は二月までの緩やかな回復傾向から一転、個人消費や企業収益、雇用情勢などへの影響から急速に悪化し、この先の見通しも極めて厳しい状況が続く、まさに国難とも言うべき状況であります。
県内においても、外出自粛や休業要請等に伴う消費の低迷、観光客の減少、大型イベントの相次ぐ中止決定などにより、飲食業や宿泊業をはじめとして地域経済に幅広く影響が現れており、これらの影響の長期化による景気の低迷が危ぶまれるところであります。
こうした状況を踏まえ、県といたしましては、先の定例会で御説明したとおり、県制度融資等により、中小企業者の資金繰り支援などに努めているところではありますが、今回の補正予算案により支援を更に強化してまいります。
今回御審議をお願いいたします補正予算案は、国の新型コロナウイルス感染症緊急経済対策に関する補正予算に対応し、早急に取り組むべき感染拡大防止策や医療提供体制の整備のほか、雇用の維持や事業継続支援のための施策に軸足を置いて編成したものであります。併せて、令和元年東日本台風からの復旧経費についても計上しております。
国補正予算に対応する施策の主な内容ですが、国の緊急経済対策の柱立てに沿って御説明申し上げます。
「緊急支援フェーズ」では、まず、「感染拡大防止策と医療提供体制の整備」として、感染症指定医療機関のほか介護施設、保育施設などにおけるマスクや消毒液等の衛生資材を確保するとともに、PCR検査体制の強化を図るため、ドライブスルー形式による検体採取の経費などを計上いたします。
また、医療提供体制の強化を図るため、帰国者・接触者外来医療機関における備品や感染症患者の急増等への措置として医療機関に併設する緊急用診療場所の確保に向けた資機材の整備を支援するとともに、人工呼吸器等の整備や病床の確保に向けた支援等を行ってまいります。
さらに、感染者の増加に備え、軽症者や無症状者の療養場所として民間宿泊施設を借り上げるとともに、医師や看護師等の医療従事者を常駐させる体制を整備し、医療崩壊を回避する体制を構築いたします。
人と人との接触を減らす取組として、県の休業要請等に全面的に御協力いただいた中小の事業者の方々に対し、市町村と連携して協力金を支給することとしており、その財源として、国が新設する臨時交付金と財政調整基金からの繰入金を充当いたします。
このほか、学校の臨時休業時等における学習機会を確保するため、テレビ放送を活用した学習支援を行います。
次に、「雇用の維持と事業の継続」においては、県内中小企業者等の雇用維持を図るため、国の雇用調整助成金と合わせて県独自の交付金制度を創設いたします。また、県の制度融資枠を大幅に拡充し、利子補給により実質無利子化するとともに、相談体制を整備して、中小企業者等の厳しい資金繰りを支援してまいります。さらに、外出自粛等により集客が大幅に落ち込んでいる商店街や中小企業者等の売上げ回復を後押しするとともに、県産の牛肉や水産物を学校給食へ提供し、消費拡大を図ります。
生活者支援としては、緊急小口資金等を追加計上するとともに、新たに中小企業の勤労者向けの緊急融資制度を創設し、県民の生計維持に更に力を入れてまいります。
「V字回復フェーズ」では、観光宿泊事業者等の資金調達を支援することにより、感染収束後の反転攻勢に向けた機運醸成を図ります。また、感染拡大に伴い我が国のサプライチェーンの脆弱性が顕在化したことから、生産拠点を海外から県内に移転等を行う企業に対して国の支援に上乗せした補助制度を創設するとともに、農産物においても国内供給力の強化に向けて、処理加工施設の整備を支援いたします。
このほか、県立学校におけるICTを活用した遠隔教育のための学習環境や体制整備を総合的に推進いたします。
なお、今後の感染状況の推移や社会情勢の変化などによりましては、必要に応じて適宜追加の予算措置を講じてまいりたいと考えております。また、国に対しては、引き続き全国知事会などと連携し、追加の支援を強く求めてまいりますので、議員各位におかれましても御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正規模は、一般会計、総計とも七百九十七億六千三百余万円となります。財源としては、諸収入四百六十八億七千八百余万円、国庫支出金二百八十七億五千百余万円、繰入金三十五億八千七百余万円などを追加しております。
この結果、今年度の予算規模は、一般会計で一兆二千百三十三億二千七百余万円、総計で一兆六千六百九十一億七千四百余万円となります。
次に、予算外議案については、条例外議案二件を提案しておりますが、議第百五号議案は、地方税法の改正に伴う県税条例等の一部改正について、議第百六号議案は、令和元年度宮城県一般会計予算の補正について、それぞれ専決処分を行いましたので、その承認をお願いしようとするものであります。
以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。
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