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掲載日:2018年11月26日

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第三百六十六回宮城県議会知事説明要旨

平成30年11月26日

本日ここに第三百六十六回宮城県議会が開会され、平成三十年度一般会計補正予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、最近の県政の動きとその概要を御説明申し上げます。

先ほど議長より御披露と伝達がありました八名の議員の方々には、長年にわたり地方自治の発展に尽力された御功績により、全国都道府県議会議長会から表彰をお受けになり、また、中沢幸男議員におかれましては、在職三十年議員顕彰をお受けになりました。ここに、県民の皆様とともに心からお祝い申し上げ、多年の御功労に対しまして深く敬意を表するものであります。なお一層御自愛の上、県勢発展のため今後とも御活躍いただきますよう御期待申し上げます。

それでは、御説明いたします。
初めに、九月に発生した平成三十年北海道胆振東部地震では、大規模な地滑り等により四十名を超える方々の尊い命が失われ、広範囲にわたる停電や断水が発生するなど、地域での生活に甚大な被害が生じました。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りしますとともに、被災された方々に改めてお見舞い申し上げます。
本県におきましては、地震発生直後にリエゾンや緊急消防援助隊、災害派遣医療チーム等が出動し業務に当たったほか、国等の要請に基づき厚真町に公衆衛生活動チームを派遣するとともに、対口支援として、むかわ町において市町村職員と合同で罹災証明業務の支援活動を行ったところであります。
今年度は全国各地で地震や台風による災害が多発しており、本県としましては、東日本大震災において、北海道をはじめとする全国各地から温かい御支援をいただいておりますことから、蓄積された経験を十分に活かしながら、引き続き被災地のニーズに合わせた支援を可能な限り行ってまいりたいと考えております。

次に、震災復興計画の推進と宮城の将来ビジョンの実現に向けた取組状況についてであります。
復旧・復興の進捗状況につきましては、災害公営住宅の整備や防災集団移転等の進展により、ピーク時には約十二万人に上った仮設住宅にお住まいの方々は、現時点で、千人あまりにまで大きく減少してきております。しかしながら、これらの方々は、震災から七年半以上が経過した現在においても、不自由な暮らしを余儀なくされているところであり、県としましては、一日でも早く被災された方々の安心な暮らしを取り戻すことができるよう、引き続き全力で事業を進めてまいります。
夏場の高温や少雨等の影響が懸念されておりました県産米の作柄は、東北農政局が発表した作柄概況によれば、平年並みが見込まれ、品質面においても昨年を上回るものとなっております。また、昨年記録的な不漁となったサンマ漁につきましては、堅調な水揚げが続いており、先月末までの水揚げ量が前年同期を上回るなど、県内の農林水産物は実りの秋を迎えております。
先月、首都圏で大規模なデビューイベントを開催し、ついに本格販売を開始しました米の新品種「だて正夢」につきましては、市場での評価も高く販売店での売れ行きも好調であり、上々の滑り出しを見せております。今月初めから、東京都内に期間限定のおにぎり専門店を設置し大々的に情報発信を行いましたが、さらに、JRや航空会社と連携し、電車や機内において「だて正夢」の提供や販売促進を行い、食味や食感など、他のブランド米との差別化を図るプロモーションを進めているところであります。米どころ宮城を牽引するトップブランドとして首都圏を中心に効果的にPRすることにより、県産米の魅力を広く発信し、消費拡大に努めてまいります。
また、農林水産部はこれまで農林水産業全般を所管し、農業・林業・水産業の振興を一体的に進めてまいりましたが、東日本大震災以降、復旧・復興の進捗に伴い各分野における様々な課題の高度化・細分化が進んでおります。これらの課題に迅速かつ丁寧な対応を行うことのできる組織体制を整備するため、今議会に農林水産部を分割し再編する条例案を提出しており、今回の組織再編により、本県農林水産業が地域を支える基幹産業として、更に発展できるよう取組を強化してまいりたいと考えております。

交流人口の拡大につきましては、観光庁が発表した宿泊旅行統計調査によりますと、今年一月から六月までの本県の外国人延べ宿泊者数は、前年を五十二パーセント上回る十六万八千人を記録し、通年観光キャンペーンやインバウンド対策等の各種施策が効果を上げているものと認識しております。先月、気仙沼市、東松島市におきまして、関係者の御出席の下、「宮城オルレ」のオープニングセレモニーが行われ、国内では二例目となるオルレコースが開設されました。これにより、宮城の美しい自然や歴史、食などの魅力を存分に体験できることとなり、外国人をはじめとする旅行者の増大が大いに期待できるものと考えております。引き続き、魅力的な観光コンテンツを生み出すとともに、現在、好評をいただいております国民的人気アイドルグループの御支援による冬の観光キャンペーンも活用しながら、積極的に国内外の交流人口拡大を進めてまいります。
民営化から二年が経過した仙台空港につきましては、新たな搭乗施設であるピア棟の完成により搭乗口が四か所増設され、今後、新規路線誘致に弾みがつくものと大いに期待しております。現在、二十四時間化を視野に運用時間の延長を検討しているところであり、仙台空港四者協議会を立ち上げ、地元との合意形成に向け、住民の方々をはじめ、名取市、岩沼市及び仙台国際空港株式会社と十分に協議を行ってまいりたいと考えております。二十四時間化が実現した場合、国際貨物専用便の就航や格安航空会社の乗り入れ便数の増加も見込まれるなど、利用者の一層の増加が期待され、引き続き創造的な復興に向けて仙台空港の利便性の向上に努めてまいります。

九月に東仙台交番が襲撃され警察官が命を落とすという大変痛ましい事件が発生したことを踏まえ、早急に交番及び駐在所の防犯の在り方を検討するとともに、効果的な再発防止策を講じる必要があるものと考えております。今議会に防犯カメラ等の設置経費を含む補正予算案を提案しておりますが、地域住民の安全安心の確保は極めて重要な課題であり、地域においてその役割を担う交番及び駐在所の機能向上、安全対策を今後更に進めてまいります。
働き方改革関連法が成立し、時間外労働の罰則付き上限規制や高度プロフェッショナル制度等が来年四月から順次施行されることとなり、国としても、生産年齢人口が急激に減少する中で、多様な働き方を選択できる社会の実現に向け動き出しております。本県でも、先月、全国フォーラム「WIT二○一八宮城」を二日間にわたり開催し、県内外の企業や有識者の方々が一堂に会して、魅力ある「働き方」と「女性活躍」について議論が交わされるとともに、WIT開催を契機に各分野における取組を加速させていくことを宣言しました。フォーラムには私も参加いたしましたが、持続可能な成熟した社会の構築のためには、働き方改革や女性の活躍が不可欠であり、その重要性をここ宮城から全国にアピールできたことは大きな意義があるものと考えております。
高齢者福祉につきましては、国において今月十一日を介護の日と定めており、県では今月を介護予防月間とし、介護従事者やサービス利用者、家族を支援し、地域社会における支え合いや交流を促進するとともに、介護についての理解を深めることとしております。団塊の世代が間もなく七十五歳を迎える超高齢化社会に対応するため、地域包括ケアシステムの推進は最重要課題であり、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、人材の確保や養成・定着をはじめとする介護サービスの充実や介護予防の取組に引き続き万全を期してまいります。
精神科救急につきましては、来年一月から、これまで空白となっていた深夜早朝の時間帯まで対応を拡充することにより、県立精神医療センターを中心とした県内二十六病院の輪番制による二十四時間・三百六十五日体制の運用を開始する予定であり、精神科救急情報センター及び精神医療相談窓口についても同じく拡充することとしております。本県においては、東日本大震災後、精神疾患患者数が大きく増加しており、今回の体制強化により、夜間を中心とした患者への対応がスムーズに行われ、精神疾患患者の安全安心の確保につながるものと期待しております。
運用開始から一年が経過した「おとな救急電話相談」につきましては、前年度に比べ利用件数が増加しており、今年度の月当たりの相談件数は千三百件程度で推移しているところであります。電話相談による急病時の初期対応相談体制の拡充や、救急車の適正利用、医療機関の適正受診の促進は、県民の健康・生命を守る上での重要な課題であり、引き続き効率的で質の高い医療提供体制の確立とともに、電話相談等の病院前救護にも積極的に取り組んでまいります。

地域経済の状況につきましては、日本銀行が先月発表した全国企業短期経済観測調査では、県内企業の景況感を示す業況判断指数は前回調査より六ポイント低下しており、十二月の予測においても低下傾向が示されていることから、県内産業の業績見通しについて、今後の動向を注視していく必要があるものと認識しております。
また、先月、安倍首相が来年十月から消費税率を十パーセントに引き上げる旨の表明をしたところであります。増大する社会保障経費の財源として消費税が重要であると考えておりますが、地域経済に十分配慮した実効性ある経済対策の実施が不可欠であり、東日本大震災からの復興途上である本県経済に影響を及ぼさないよう、今後の国の動きを注視するとともに、全国知事会等と連携しながら働きかけてまいります。

次に、今後の県政運営の基本的な考え方につきましては、来年度の予算編成に先立ち、先月末に「平成三十一年度政策財政運営の基本方針」を策定いたしました。先の予算特別委員会でも御説明申し上げましたとおり、来年度は震災復興計画の期間が残り二年となり、復興の完遂に向けた重要な一年となります。現在、創造的な復興の実現に向け着実に歩みを進めておりますが、被災地においては、なお復旧・復興事業の進捗に差が生じており、人口流出も進むなど厳しい環境にあることから、復興計画期間の終期を見据え、復興の総仕上げに向けた取組の更なるスピードアップを図るとともに、復興の進展に伴って生じる新たな課題等に対し、よりきめ細かく対応する必要があります。平成三十一年度は、「力強くきめ細かな震災復興」をはじめとする四つの政策推進の基本方向の下、引き続き被災者の新たなコミュニティ形成の支援、心のケアや地域産業の再生など、震災復興に最優先で取り組むとともに、将来を担う子どもたちへの支援や人口減少対策といった地方創生の取組にも一層力を入れてまいります。
財政の見通しにつきましては、来年度の地方財政収支の仮試算において、歳入面では臨時財政対策債の発行額の増加が見込まれているほか、歳出面では社会保障経費をはじめとする一般行政経費の増加が見込まれております。また、消費税率引上げと併せて実施される幼児教育無償化等の施策に伴い発生する地方の財政負担やその財源については、今後の予算折衝により決定されることとなっており、現時点において、先行きは全く楽観できない状況と認識しております。
これらを踏まえ、来年度予算につきましては、年末の地方財政対策や県税収入の動向、消費税率引上げの影響などに留意するほか、「新・みやぎ財政運営戦略」に基づき中長期的な財政の健全性維持に最大限配慮し、宮城の将来ビジョンと震災復興計画に掲げた施策の確実な実施に努めることとしております。さらに、復興・創生期間の終了後を見据え、既存事業の見直しも行った上で、持続的な地域社会の構築に向けた施策に予算を重点的に配分しながら予算編成を進めてまいります。

(東日本大震災関連事業)
今回御審議をお願いいたします補正予算案の主な内容ですが、震災関連としましては、先月国に提出した東日本大震災復興交付金の第二十二回申請額を基金に積み立てるとともに、その一部を財源として女川町の主要地方道女川牡鹿線など復興関連道路の整備費等を追加しております。また、気仙沼市魚町地区における土地区画整理事業による土地の嵩上げに伴う負担金等を追加するとともに、東北観光復興対策交付金を活用した各種プロモーション強化事業によるインバウンド対策などに取り組むほか、平成二十九年度決算を踏まえ、不用額を関係基金に積み戻すこととしております。

(その他の主な事業)
震災関連以外では、地方財政法に基づいて平成二十九年度一般会計決算剰余金を財政調整基金に積み立てるとともに、平成三十年北海道胆振東部地震に係る職員派遣経費、交番及び駐在所に防犯カメラを設置する経費等を追加しております。また、河川管理や道路の除融雪及び区画線工事など今年度末から来年度初めにかけて行う必要のある公共事業費や指定管理者制度による公共施設管理運営業務委託費、さらに、上水道、工業用水道、下水道三事業一体での運営権設定に係る業務委託費について債務負担行為を設定しております。
なお、一般職の職員給与について、先月、人事委員会から月例給、ボーナスともに引き上げることなどを骨子とする勧告があったところであり、慎重に検討した結果、勧告どおり改定するとともに、知事等の特別職についても期末手当を引き上げる方向とし、給与の改定に関する条例改正案につきましては、今後、提案させていただきたいと考えております。また、これに伴う人件費の増額分は、今年度の異動等に伴う減額分と合わせて既決予算の範囲内で対応できる見込みであることから、最終の補正予算で整理してまいりたいと考えております。

以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正規模は、一般会計、総会計ともに二百六十億七千六百余万円となります。財源としては、繰越金百四十八億二千九百余万円、国庫支出金六十六億九千二百余万円、地方交付税三十三億四千五百余万円などを追加しております。
この結果、今年度の予算規模は、一般会計で一兆一千五百十八億七千四百余万円、総計で一兆六千四百二十九億五千四百余万円となります。

次に、予算外議案については、条例議案四件、条例外議案三十九件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。

まず、条例議案でありますが、議第二百三十八号議案は、本県の基幹産業である農林水産業の様々な課題に対し、一層迅速かつ丁寧な対応を行うため農林水産部を農政部と水産林政部に分割し再編しようとするもの、議第二百三十九号議案は、知事の権限に属する事務の一部を新たに市町村が処理できるようにしようとするもの、議第二百四十号議案は、県が個人番号を独自に利用できる事務を追加しようとするもの、議第二百四十一号議案は、警察署の新設に伴い名称、位置、管轄区域等を定めようとするものであります。
次に、条例外議案でありますが、議第二百四十二号議案は、平成三十一年度における自治宝くじの発売限度額について、議第二百四十三号議案ないし議第二百五十九号議案は、公の施設の指定管理者を指定することについて、議第二百六十一号議案は、地方独立行政法人宮城県立病院機構の中期目標を定めることについて、議第二百六十二号議案は、財産の処分について、議第二百六十三号議案ないし議第二百六十九号議案は、工事請負契約の締結について、議第二百七十号議案ないし議第二百八十号議案は、工事請負変更契約の締結について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。

以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。

お問い合わせ先

広報課企画報道班

宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号

電話番号:022-211-2281

ファックス番号:022-263-3780

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