水理地質調査(平成16年度)
調査目的
処分場の周囲で当処分場の廃棄物に起因する地下水汚染が発生する可能性の検討に資するため,当該処分場とその周囲の地下水及び表流水の状況を把握するもの。
調査の方法
- 平成15年12月から平成16年12月にかけて以下の調査を実施した。
- 処分場周囲の地形・地質の現地調査を実施するとともに,当処分場内及びその周囲の4地点でボーリング計6本を行い,揚水試験,流向・流速測定(2地点4本),及び地下水位の連続観測を実施した。
- これに,2004年9月実施の覆土層の透水試験(5地点)及び「有害物質分布等調査」のボーリング孔跡の観測孔での結果を加え,地下水の状態を把握した。
また,処分場を含む谷底への表流水の流入状況を把握するため,第6工区上流の支谷底にある水路で流量観測を行った。
- これらに基づき,廃棄物層を含む処分場の谷底に存在する堆積物中の水収支の推定を試みた。
調査結果
処分場及びその周辺において,現時点では,急激な土地改変や揚水が行われない限り,以下のような状況にあるものと判断された。
- 処分場内の地下水は,やや被圧傾向にあり,浅層から鉛直下方への水の流動は考えにくい。
- 地下水の流動速度は,水平方向では極めてゆっくりと北北東に移動しており,その速さは概ね10-5cm/秒(処分場の上流端から下流端までの移動に十数年から100年を要する)あるいはそれ以下である。
- 荒川から数十mほどの範囲の地下水位は,河川水位より常に低く,河川にはきわめて流入しにくい状況にある。
- 処分場内外を問わず,基岩中及び廃棄物を伴わない浅層堆積物中の地下水がとくに汚染されている事実は認められない。また,処分場下流端及び場外(荒川左岸の浅層地下水)からも,とくに問題にすべき成分が環境基準を上回る値では検出されておらず,廃棄物層起源の汚染が処分場下流端や場外に拡散している兆候は,現段階では現われていない。
- 浅層の地下水は,とくに荒川沿いでは,河川水からの供給を受けていることが水質からも推定される。
- 処分場を中心とする谷底浅層堆積物中の水収支は,ほぼつりあう。
- 流入:約142,000立方メートル/年
- 谷底面への降水 約121,000立方メートル/年
- 周囲の斜面からの表流水 約16,000立方メートル/年
- 生活排水 約5,000立方メートル/年
- 排出:約142,000立方メートル/年
- 地表排水 約85,000立方メートル/年
- 蒸発散 約57,000立方メートル/年
水理地質調査報告書はこちら(PDF:1,434KB)