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県林業公社は、昭和41年の設立以来、荒廃した国土の緑化と木材の確保を目指す国の造林政策に基づき、土地所有者に代わって植栽と保育管理を行う分収方式により造林を推進し、地域における森林整備と雇用創出のほか県土と自然環境の保全、水資源かん養など、多面的かつ重要な役割を果たしてきました。
しかしながら、外国産木材の輸入増加に伴う国産木材の価格低迷等により経営が悪化し、平成25年7月1日に債務整理と経営再建を目的とした特定調停を仙台簡易裁判所に申し立てました。県ではこれまでも、有利子債務の低利借換えや繰上償還をはじめ、組織体制の見直しなど公社経営の改善に努めてきましたが、このたび、調停の当事者として慎重に検討、協議を重ねた結果、本格的な伐期到来まで相当の期間を残している現時点において、社会経済情勢の変化に起因した経営悪化から公社が自力で立ち直ることは難しいと判断し、裁判所の調停案を受諾いたしました。
これまで、県議会の県出資団体等調査特別委員会から公社については廃止の方向で検討すべきとの御提言を頂いたことも踏まえ、公社が管理する分収林の公益性とその適正な保全管理の必要性、更には将来的な経費の負担を最小化する観点から、様々な方策について比較検討してきましたが、特例的な地方債である第三セクター等改革推進債を活用して利息負担の軽減を図るとともに、事業実施に当たって国庫補助制度等を最大限に活用することが可能な公社存続による方法が最適であるとの結論に至りました。
こうした事態に至った経緯と県に多額の財政負担が生じた事実に対する責任、また、森林機能の維持という中長期的な視点で取り組まなければならない責務を重く受け止め、今後とも更に厳しく公社の経営指導に当たるとともに、森林・林業施策の展開にも尽力してまいりますので、県民の皆様には、御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
県林業公社は、戦後、国の拡大造林政策の一環として分収方式(注1)による造林を推進するため、宮城県、市町村、林業団体等の出資により昭和41年6月に社団法人宮城県林業公社として設立されました。
これまで、分収林特別措置法に基づき、平成16年度までに延べ9,425haの森林を造成し(平成17年度から新規契約凍結)、県土の保全、水資源のかん養や自然環境の保全等森林の公益的機能の発揮、地域の森林整備水準の確保や雇用の創出などの役割を果たしてきました。
注1土地所有者が造林できない山林について、土地所有者に代わって公社が植栽、保育管理を行い、造林木の伐採・販売によって得た利益を公社と土地所有者で分配する方式。
宮城県のほか、市町村、森林組合をはじめとする林業団体など47社員から、合計1億1,510万円の出資を受けています。
社員及び出資金の内訳
(平成25年4月1日現在)
区分 | 社員数 | 出資金額 |
---|---|---|
県 |
1 |
100,000,000円 |
市町村 |
23 |
9,900,000円 |
林業団体 |
21 |
5,000,000円 |
財産区 |
2 |
200,000円 |
合計 |
47 |
115,100,000円 |
(参考)分収林事業の仕組み
林業公社の改革については、平成21年12月の「宮城県公社等外郭団体経営評価委員会」からの御意見や、平成23年3月の県議会「県出資団体等調査特別委員会」からの御報告を踏まえて、検討を重ねてまいりました。
いずれの提言においても、公社が整備してきた森林資源と、これらが発揮する県土保全、水資源のかん養、自然環境の保全等の公益的機能については高く評価されており、また、地球温暖化対策等、森林の有する公益的機能の更なる充実が必要とする点についても、その方向性を同じくしています。
一方、林業公社自体の存廃については、宮城県公社等外郭団体経営評価委員会からは債務の圧縮による経営改革が、また、県出資団体等調査特別委員会からは収支の均衡を図っていくことが困難であることを理由に、廃止の方向での検討が求められました。
公社改革の検討にあたっては、これらの提言を重く受け止めながら、以下の2つの視点を基本に、公社の廃止も含めて様々な角度から比較検討を重ねてまいりました。
今後の県民負担を大きく圧縮する手法としては、次の2つが考えられます。
イは、地方債に関する省令に定める法的手続き等に基づき、公社が解散又は公社の事業を再生する場合に可能な手法です。
また、ロは、公社が事業を継続した場合にのみ可能な手法であり、公社を廃止し、県が直営で分収林事業を実施した場合には見込めないものです。
さらに、公社が解散した場合には、県直営による9,276haの森林管理費用が発生します。
これらの点を踏まえ検討した結果、以下のスキームによって分収林の公益的機能の維持と県民負担の最小化を図ることといたしました。
県林業公社が、仙台簡易裁判所に申し立てた特定調停に関する経過及び調停条項については、次のとおりです。
調停条項については、資料を添付しましたので、御参照ください。(PDF:72KB)
東日本大震災からの復興にあたり、災害公営住宅や民間復興住宅において県産材の需要が増加しており、需要の最盛期(平成25年~32年)には、素材(丸太)として過去5年平均(平成19年~23年505千立方メートル)の約1.2~1.3倍の約600~660千立方メートルの生産が必要であると見込まれ,素材の供給体制の増強が必要となっています。
公社分収林は、一団のまとまりを有し、路網等の生産基盤の整備が進んでおり、素材の計画的かつ効率的な供給が可能であることから、林業公社においては、上記の95千~155千立方メートルの需要増加に積極的に対応することとし、増加分の約2割に当たる20~30千立方メートルの生産を計画しています。
なお、県産材需要の高まりに対応するため、平成25年度も補助事業の活用により木材乾燥機の導入を支援し、県内の人工乾燥材の生産量を2割増産させるほか、県産木材を県外加工して供給する仕組みを構築するなど、県産材の安定供給に努めていきます。
林業公社では、昭和62年から経営改善に着手しており、これまでに分収林契約期間の延長や分収割合の見直し、組織体制の見直し、人件費の削減、公庫資金の繰上償還等を実施しているが、今後とも以下の改善に取り組み、最終的な県民負担がさらに圧縮されるとともに、本県林業の振興、森林の公益的機能の発揮に一層貢献できるよう指導・助言を行っていきます。
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