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掲載日:2024年3月26日

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一般社団法人宮城県林業公社の改革について

1県民の皆様へ

県林業公社は、昭和41年の設立以来、荒廃した国土の緑化と木材の確保を目指す国の造林政策に基づき、土地所有者に代わって植栽と保育管理を行う分収方式により造林を推進し、地域における森林整備と雇用創出のほか県土と自然環境の保全、水資源かん養など、多面的かつ重要な役割を果たしてきました。

しかしながら、外国産木材の輸入増加に伴う国産木材の価格低迷等により経営が悪化し、平成25年7月1日に債務整理と経営再建を目的とした特定調停を仙台簡易裁判所に申し立てました。県ではこれまでも、有利子債務の低利借換えや繰上償還をはじめ、組織体制の見直しなど公社経営の改善に努めてきましたが、このたび、調停の当事者として慎重に検討、協議を重ねた結果、本格的な伐期到来まで相当の期間を残している現時点において、社会経済情勢の変化に起因した経営悪化から公社が自力で立ち直ることは難しいと判断し、裁判所の調停案を受諾いたしました。

これまで、県議会の県出資団体等調査特別委員会から公社については廃止の方向で検討すべきとの御提言を頂いたことも踏まえ、公社が管理する分収林の公益性とその適正な保全管理の必要性、更には将来的な経費の負担を最小化する観点から、様々な方策について比較検討してきましたが、特例的な地方債である第三セクター等改革推進債を活用して利息負担の軽減を図るとともに、事業実施に当たって国庫補助制度等を最大限に活用することが可能な公社存続による方法が最適であるとの結論に至りました。

こうした事態に至った経緯と県に多額の財政負担が生じた事実に対する責任、また、森林機能の維持という中長期的な視点で取り組まなければならない責務を重く受け止め、今後とも更に厳しく公社の経営指導に当たるとともに、森林・林業施策の展開にも尽力してまいりますので、県民の皆様には、御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。

2一般社団法人宮城県林業公社の概要

(1)設立の経緯

県林業公社は、戦後、国の拡大造林政策の一環として分収方式(注1)による造林を推進するため、宮城県、市町村、林業団体等の出資により昭和41年6月に社団法人宮城県林業公社として設立されました。

これまで、分収林特別措置法に基づき、平成16年度までに延べ9,425haの森林を造成し(平成17年度から新規契約凍結)、県土の保全、水資源のかん養や自然環境の保全等森林の公益的機能の発揮、地域の森林整備水準の確保や雇用の創出などの役割を果たしてきました。

注1土地所有者が造林できない山林について、土地所有者に代わって公社が植栽、保育管理を行い、造林木の伐採・販売によって得た利益を公社と土地所有者で分配する方式。

(2)社員及び出資金

宮城県のほか、市町村、森林組合をはじめとする林業団体など47社員から、合計1億1,510万円の出資を受けています。

社員及び出資金の内訳

(平成25年4月1日現在)

社員及び出資金の内訳の表
区分 社員数 出資金額

1

100,000,000円

市町村

23

9,900,000円

林業団体

21

5,000,000円

財産区

2

200,000円

合計

47

115,100,000円

(3)主な事業

  • イ分収林事業
    経営面積9,276ha(平均林齢29年、樹種の約7割がスギ)
  • ロ県有林業務受託
    県有林(約12,793ha)の管理業務
  • ハ林業公社森づくり支援事業
    地球温暖化対策と森林の公益的機能の促進を目的として、体験フィールドの提供やネーミングライツ売却など、企業や団体の森林整備への参画を支援しています。
  • ニ調査、試験研究
    東日本大震災により壊滅的な被害を受けた海岸防災林再生に向けて、林業関係団体や企業の協賛を得て、平成24年3月に海岸防災林再生試験施行を実施しました。

(参考)分収林事業の仕組み

分収林事業の仕組み

3改革の視点とその手法

(1)改革の視点

林業公社の改革については、平成21年12月の「宮城県公社等外郭団体経営評価委員会」からの御意見や、平成23年3月の県議会「県出資団体等調査特別委員会」からの御報告を踏まえて、検討を重ねてまいりました。

いずれの提言においても、公社が整備してきた森林資源と、これらが発揮する県土保全、水資源のかん養、自然環境の保全等の公益的機能については高く評価されており、また、地球温暖化対策等、森林の有する公益的機能の更なる充実が必要とする点についても、その方向性を同じくしています。

一方、林業公社自体の存廃については、宮城県公社等外郭団体経営評価委員会からは債務の圧縮による経営改革が、また、県出資団体等調査特別委員会からは収支の均衡を図っていくことが困難であることを理由に、廃止の方向での検討が求められました。

公社改革の検討にあたっては、これらの提言を重く受け止めながら、以下の2つの視点を基本に、公社の廃止も含めて様々な角度から比較検討を重ねてまいりました。

  • 現在育成途上にある分収林の公益的機能を維持すること
  • 最も県民負担の少ない手法を選択すること。

(2)改革の手法

今後の県民負担を大きく圧縮する手法としては、次の2つが考えられます。

  • イ第三セクター等改革推進債の活用による利子の圧縮
  • ロ分収林事業への国庫補助金等の最大限の活用

イは、地方債に関する省令に定める法的手続き等に基づき、公社が解散又は公社の事業を再生する場合に可能な手法です。

また、ロは、公社が事業を継続した場合にのみ可能な手法であり、公社を廃止し、県が直営で分収林事業を実施した場合には見込めないものです。

さらに、公社が解散した場合には、県直営による9,276haの森林管理費用が発生します。

これらの点を踏まえ検討した結果、以下のスキームによって分収林の公益的機能の維持と県民負担の最小化を図ることといたしました。

改革の全体スキーム

4宮城県林業公社の特定調停について

県林業公社が、仙台簡易裁判所に申し立てた特定調停に関する経過及び調停条項については、次のとおりです。

(1)経過

  • 平成25年7月1日(月曜日)特定調停申立
  • 平成25年(特ノ)第20号事件
    • イ申立人一般社団法人宮城県林業公社
    • ロ相手方株式会社日本政策金融公庫
    • ハ利害関係人宮城県
  • 平成25年(特ノ)第21号事件
    • イ申立人一般社団法人宮城県林業公社
    • ロ相手方宮城県
  • 7月3日(水曜日)第1回調停
    公社の事業概要,申立の趣旨,理由等の説明
  • 7月16日(火曜日)第2回調停
    公社の債務額の確認,債務の支払方法の協議
  • 7月31日(水曜日)第3回調停
    仙台簡易裁判所から調停案の提示
  • 10月9日(水曜日)第4回調停
    調停成立

(2)調停条項

調停条項については、資料を添付しましたので、御参照ください。(PDF:72KB)

5今後の林業公社運営の考え方について

(1)県産材の利用推進

東日本大震災からの復興にあたり、災害公営住宅や民間復興住宅において県産材の需要が増加しており、需要の最盛期(平成25年~32年)には、素材(丸太)として過去5年平均(平成19年~23年505千立方メートル)の約1.2~1.3倍の約600~660千立方メートルの生産が必要であると見込まれ,素材の供給体制の増強が必要となっています。
公社分収林は、一団のまとまりを有し、路網等の生産基盤の整備が進んでおり、素材の計画的かつ効率的な供給が可能であることから、林業公社においては、上記の95千~155千立方メートルの需要増加に積極的に対応することとし、増加分の約2割に当たる20~30千立方メートルの生産を計画しています。
なお、県産材需要の高まりに対応するため、平成25年度も補助事業の活用により木材乾燥機の導入を支援し、県内の人工乾燥材の生産量を2割増産させるほか、県産木材を県外加工して供給する仕組みを構築するなど、県産材の安定供給に努めていきます。

(2)林業公社の経営改善

林業公社では、昭和62年から経営改善に着手しており、これまでに分収林契約期間の延長や分収割合の見直し、組織体制の見直し、人件費の削減、公庫資金の繰上償還等を実施しているが、今後とも以下の改善に取り組み、最終的な県民負担がさらに圧縮されるとともに、本県林業の振興、森林の公益的機能の発揮に一層貢献できるよう指導・助言を行っていきます。

イ収益性の向上

  • (イ)更なる生産コスト削減等
    成熟した森林資源と充実した経営基盤を有している強みを活かして、列状間伐の導入等による生産コストの一層の低減や協定等による有利な販売方式の導入、木質バイオマス資源等への未利用材の積極的な活用など、収益性の一層の向上を図ります。
  • (ロ)J-クレジット制度の活用
    公社分収林において平成24年度から導入した森林整備による二酸化炭素吸収量をクレジットとして国が認証するJ-クレジット制度については、対象区域を拡大し新たな収入の確保に努めるとともに、導入したノウハウを活用し、他の森林所有者等に対する制度の導入を支援していきます。
  • (ハ)新たな受託業務の確保
    県内唯一の森林整備法人として、県有林の管理業務に加え、市町村等からの山林調査、森林整備事業の設計・施工、森林の管理業務等の新たな受託業務を確保するなど、公社が培ってきた高い技術力を生かして、効率的で有効な森林管理・整備の推進に積極的に貢献します。

ロ震災復興に向けた取組

  • (イ)被災市町村の支援
    公社がこれまで蓄積してきた林業技術やデータ等の活用により、津波により林業関係資料が流出した被災市町村の支援を行います。
  • (ロ)被災地域における雇用の確保・創出
    森林整備等の事業実施に当たっては、被災者を優先して雇用するなど、被災地域の雇用の確保・創出に努めます。

ハ先導的な森林経営の展開

  • (イ)地域における森林経営の核としての役割発揮
    平成24年4月から導入された「森林経営計画」制度は、施業の集約化を前提として面的なまとまりをもった森林を対象として支援する内容に改正されたことから、一団のまとまりを有している公社分収林は、実行力のある組織体として周辺の小規模な森林所有者を含めて施業を集約化するなど、地域における森林経営の核としての積極的にその役割を果たしてきます。
  • (ロ)モデル団地・研修フィールドとしての活用
    主伐期を迎える造林地のモデルとして、収益性の向上と環境面に配慮した収穫手法を実践し、発信していくとともに、研修フィールドとしての利用を促進します。

(3)分収林契約終了後の森林保全対策

  • イ再造林への支援
    所有者が再造林を希望する場合は、補助事業の活用を含め、再造林の実行方法について助言、支援します。
  • ロ広葉樹林化への誘導
    土地所有者が再造林を希望しない場合は、主林木の収穫後は、速やかに広葉樹林化するような方法を推進します。特に、林齢の高い段階で間伐をすると広葉樹の生育が促されますが、これらを極力残存させるような伐採作業を採用します。
    加えて、伐採後の状況をモニタリングし、必要があれば、広葉樹主体の森林整備を確保する事業の導入など、森林の公益的機能を維持・向上させる対応をしていきます。
  • ハ国への要請
    国においては、これまでも森林整備への補助を実施していますが、森林所有者の経済的負担を極力軽減し、森林の公益的機能を確保していくため、森林伐採後の再度の植林やその後の保育・間伐等、全般的な支援施策の拡充について要請していきます。

6参考資料

  1. 宮城県公社等外郭団体経営評価委員会の意見(平成21年12月)(PDF:170KB)
  2. 社団法人宮城県林業公社改革プラン(概要)(平成22年8月)(PDF:18KB)
  3. 県出資団体等調査特別委員会報告(抄)(平成23年3月)(PDF:85KB)

お問い合わせ先

森林整備課森林育成班

宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号

電話番号:022-211-2921

ファックス番号:022-211-2929

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