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平成23年3月11日に発生した東日本大震災における林業関連被害額は551億1,701.6万円に及び,特に海岸防潮堤などの治山施設の損壊や海岸防災林流出といった被害を受けました。
被害種別 | 箇所数等 | 被害内容 | 被害額 |
---|---|---|---|
(1)林道施設被害 | 579箇所(186箇所) | 舗装路面の亀裂,法面の崩壊等(160路線) |
655,294千円 (387,149千円) |
(2)林地被害 | 107箇所(30箇所) | 新生崩壊,保安林流出等(820.2ha),林野火災(188.1ha) |
11,427,945千円 (8,870,763千円) |
(3)治山施設被害 | 79箇所(60箇所) | 海岸防潮堤の損壊(17,887m) |
42,248,161千円 (41,957,810千円) |
(4)林産物被害 (特用林産物等) |
82箇所(13箇所) | きのこ生産施設,林産物搬送施設,きのこ菌床の損壊等 |
726,729千円 (323,710千円) |
(5)林産被害 (林業種苗) |
2箇所(2箇所) | 苗畑,種苗(スギ,ヒノキ等0.9ha,約10万本) |
58,887千円 (58,887千円) |
計 (うち津波被害) |
55,117,016千円 (51,598,319千円) |
気仙沼管内では,地震に伴う津波により海岸防潮堤や海岸防災林に大きな被害が生じました。
市町名 | 海岸防潮堤 | 海岸林(基盤) | 海岸林(森林) | 備考 | ||||
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箇所数 |
被害延長 (m) |
被害額 (千円) |
被害面積 (ha) |
被害額 (千円) |
被害面積 (ha) |
被害額 (千円) |
旧市町名 | |
気仙沼市 |
10箇所 |
4,473m | 4,563,200千円 | 12.5ha | 706,250千円 | 12.5ha | 125,000千円 | 旧気仙沼市 |
9箇所 | 1,486m | 131,867千円 | 5.0ha | 282,500千円 | 5.0ha | 50,000千円 | 旧唐桑町 | |
2箇所 | 382m | 902,000千円 | 3.4ha | 192,100千円 | 3.4ha | 34,000千円 | 旧本吉町 | |
南三陸町 | 4箇所 | 494m | 115,081千円 | 0.6ha | 33,900千円 | 0.6ha | 6,000千円 | 旧志津川町 |
4箇所 | 635m | 300,210千円 | 2.9ha | 163,850千円 | 2.9ha | 29,000千円 | 旧歌津町 | |
管内合計 | 29箇所 | 7,470m | 6,012,358千円 | 24.4ha | 1,378,600千円 | 24.4ha | 244,000千円 |
気仙沼管内の被害状況写真
復旧する防潮堤の構造等については,「中央防災会議(内閣府)」等の国から出された各種提言や考え方に基づき,「宮城県沿岸地域現地連絡調整会議」において統一された考え方によることになり,特に被害規模が大きく復旧に際して高度な技術を必要とする4地区(尾崎・千岩田,岩井崎,御伊勢浜,沖ノ田)においては,林野庁直轄による特定民有林直轄治山施設災害復旧事業により復旧することになりました。
図粘り強い海岸堤防の構造イメージ図
また,復旧に当たっては地元関係機関や隣接施設管理者と合同で地元説明会を開催し,特に防潮堤の高さは背後の保全対象の有無や土地利用計画及び地元の意見を踏まえて決定しました。
海岸防災林再生に当たり,「東日本大震災に係る海岸防災林の再生に関する検討会」等の提言に基づく「宮城県海岸防災林再生整備指針」を策定し,その方針(造成幅,盛土高,植栽樹種及び本数等)により早期再生を目指しました。
図海岸防災林再生のイメージ図
海岸防災林の再生に際し,県ではNPOや民間団体等の参加・協働による森林づくり活動を推進するため,「みやぎ海岸林再生みんなの森林づくり活動実施要領」を制定するとともに,活動団体や地権者である市町と協定を締結の上,海岸防災林の再生に取り組んでいます。
気仙沼管内では南三陸町波伝谷地区において取り組みが行われています。
みやぎ海岸林再生みんなの森林づくり活動状況については森林整備課のホームページをご覧ください。
被害を受けた海岸防潮堤や海岸防災林の復旧・再生については,「復旧・復興ロードマップ」により進捗管理を行い,震災復興期間の令和3年3月31日までに田中浜(気仙沼市)を除く全ての箇所が完成しています。
田中浜については,令和3年度第1四半期中に完成見込みです。
「復旧・復興ロードマップ」については森林整備課のホームページをご覧ください。
市町名 | 箇所 | 被災状況 | 現状 | 備考 |
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南三陸町 (旧志津川町) |
波伝谷 |
H29年度完成 R元.7.4撮影 |
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南三陸町 (旧歌津町) |
稲渕 |
H30年度完成 R3.3.4撮影 |
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南三陸町 (旧歌津町) |
長須賀 |
R元年度完成 R3.3.4撮影 |
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南三陸町 (旧歌津町) |
館浜 |
H25年度完成 R3.3.4撮影 |
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気仙沼市 (旧唐桑町) |
高石浜 |
H26年度完成 R元.7.4撮影 |
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気仙沼市 (旧気仙沼市) |
田中浜 |
R3年度完成 R3.9.3撮影 |
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気仙沼市 (旧気仙沼市) |
小田ノ浜 |
R2年度完成 R3.9.3撮影 |
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気仙沼市 (旧気仙沼市) |
ヘノ浜 |
H29年度完成 R2.5.15撮影 |
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気仙沼市 (旧気仙沼市) |
温浜 |
H29年度完成 R2.5.15撮影 |
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気仙沼市 (旧気仙沼市) |
尾崎・ 千岩田 |
防潮堤は特定民直事業(国) R2年度完成 R3.3.7撮影 |
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気仙沼市 (旧気仙沼市) |
崎野 |
H30年度完成 R元.7.4撮影 |
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気仙沼市 (旧気仙沼市) |
岩井崎 |
防潮堤は特定民直事業(国) R2年度完成 R3.3.7撮影 |
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気仙沼市 (旧気仙沼市) |
御伊勢浜 |
防潮堤は特定民直事業(国) R2年度完成 R3.3.7撮影 |
||
気仙沼市 (旧気仙沼市) |
沖ノ田 |
防潮堤は特定民直事業(国) R2年度完成 R3.3.7撮影 |
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気仙沼市 (旧気仙沼市) |
杉ノ下 |
H27年度完成 R2.11.18撮影 |
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気仙沼市 (旧本吉町) |
大谷海岸 |
H30年度完成 R元.7.4撮影 |
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気仙沼市 (旧本吉町) |
中島海岸 |
R元年度完成 現状写真は上が右岸(R元.7.9撮影),下が左岸(R2.12.11撮影) |
海岸防災林は,海からの「潮害」「飛砂」「風害」を防止するために江戸時代以降営々と造成されてきたものであり,また,造成された松林は散策やきのこ採取といった「レクリエーションの場」になるとともに,高度経済成長期前は松林から採取される落葉落枝が「燃料」として私達の生活を支えてきました。
現在は「燃料」としての利用こそないものの,潮害などから私達の生活を守るために欠くことのできない役割を担っています。
今回の震災復旧に伴い再生した海岸防災林が元のように大きく育ち,「潮害」「飛砂」「風害」を防止する役割を果たすためには,長期にわたって適切な保育作業(下刈り,除伐,間伐など)を行う必要があります。また,再生された海岸防災林に不法投棄等が行われることなく,県民の皆様に親しんでもらえる場所となるように維持管理を行う必要があります。
県では,今後も地元市町や県民の皆様と協力し私達の生活を守るとともに潤いを与えてくれる海岸防災林を大切に守り育てていきます。
再生された海岸防災林に戻ってきた生き物たち
植栽された松苗の根元ににつくられたイカルチドリの巣(R元.5.22撮影)
イカルチドリの成鳥
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