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ナラ枯れ被害は正式名称「ブナ科樹木萎凋病」といい、夏から秋にかけてコナラやミズナラが急に赤く枯れ枯死する被害です。
宮城県では平成21年に大崎市鳴子温泉で初めて被害が確認され、平成25年度に丸森町において大きな被害が発生し、県全体の被害量は前年度比約7倍となりました。その後、平成29年度は、県南部や仙台市近郊の被害が増加したことなどにより、前年度比3.5倍と過去最大の被害量となりました。本県のナラ枯れ被害は、減少傾向にあり、令和5年度は前年度比90%の1,153立方メートルに減少しました。
ナラ枯れ被害は、「カシノナガキクイムシ」により持ち込まれる「ナラ菌」がナラの樹体内に入ることで通水機能が損なわれ枯れる仕組みになっています。
カシノナガキクイムシが羽化脱出し、健全なナラにオスが穿入しますが、そこで多数の成虫を集める集合フェロモンを発散し、集中的に穿入し(マスアタック)、産卵を行います。その際にカシノナガキクイムシによりナラ菌が持ち込まれ、繁殖します。カシノナガキクイムシが孵化・成長し、翌年の6月頃に羽化脱出し被害が拡大するサイクルになっています。
枯れている木には幹、特に根元付近に大量の穴と木くず(フラス)が堆積していることが特徴です。また、一般的に大径木の被害が多くなります。
左からカシノナガキクイムシの穿入孔、フラスの堆積、ナラ枯れ被害の遠景の写真です。
ナラ枯れ被害の対策には、「予防」と「駆除」があります。
「予防」はナラが枯れないよう、幹に薬剤を直接注入することでナラ菌やカシノナガキクイムシの繁殖を防止する方法やナラの幹に粘着剤やビニールを被覆し穿入を防止するといった対策があります。また、健全なナラを伐採し、萌芽更新を促すことで被害を受けやすい大径木を除くことも有効な予防対策になります。
「駆除」は被害を受けて枯れたナラを伐倒し、薬剤処理等をすることにより、被害木内のカシノナガキクイムシを殺虫し、羽化脱出を防ぐことから、翌年の被害拡散を防止するすることができます。
宮城県では、薬剤注入や幹の被覆による予防対策は実施しておらず、主に駆除による被害量の減少に力を入れて取り組んでいます。また、令和3年度から被害を受けやすい高齢級化したナラ林の更新伐の支援を実施しています。
予防対策について詳しくは林野庁のHPを参考にしてください。
県内の駆除対策としては、伐倒駆除及び立木くん蒸の取組を行っています。
伐倒駆除は伐ったナラをビニールで被覆し、薬剤でくん蒸処理する方法、搬出しチップ処理する方法、炭化処理する方法が主となっています。松くい虫被害対策と同じですが、薬剤使用量は約2倍、伐根や受け口の処理、松くい虫被害材より細かく裁断する等、処理に当たっては注意が必要です。
立木くん蒸は枯損木を伐倒せず、そのままの状態で孔を開け、薬剤でくん蒸処理する方法です。
被害量を減少させるためには、当年度に枯れたナラを当年度中、遅くともカシノナガキクイムシの羽化脱出する6月上旬までに駆除することが必要となります。漏れの無い駆除を実施するために県・市町村・森林組合や森林所有者等で被害木調査を実施しており、被害減少に努めています。
左から立木くん蒸、伐倒くん蒸、チップ化処理の写真です。
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