汚泥肥料等中に含まれる放射性セシウムの取扱について
汚泥肥料等とは、汚泥を乾燥や粉砕、発酵させることにより肥料としてリサイクルするものです。汚泥肥料等は植物に有益な窒素、リン酸などの栄養分を豊富に含んでおり、近年、肥料原料価格の高騰により、汚泥の肥料原料としての利用が増えています。令和5年10月1日、汚泥資源を利用した肥料成分を保証可能な新たな公定規格「菌体りん酸肥料」が追加されました。
東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故により、首都圏等の下水処理場等の汚泥から高濃度の放射性セシウムが検出されたことから、農林水産省は、平成23年6月24日、非汚染農地への放射性セシウムの拡散を防ぐとともに、放射性セシウムの自然低減を遅らせることのないよう、肥料原料となる汚泥に基準を設定しました。
汚泥肥料等の生産業者及び原料汚泥等の排出事業者は、以下の取扱を準拠する必要があります。
1.定義
- 汚泥肥料等とは、肥料の品質の確保等に関する法律に基づく普通肥料の公定規格を定める等の件(昭和61年2月22日農林水産省告示第284号。以下「公定規格」という。)に定める菌体りん酸肥料及び汚泥肥料をいう。
- 原料汚泥等とは、汚泥肥料等の原料となる公定規格の原料規格第2中16の項に掲げる排水処理活性沈殿物並びに原料規格第3中1の項から4の項までに掲げる下水汚泥、し尿汚泥、工業汚泥及び焼成汚泥をいう。
2.原料汚泥等に含まれる放射性物質の基準
- 脱水した原料汚泥等中の放射性セシウム(セシウム134及びセシウム137の合計量をいう。以下同じ。)濃度が200Bq/kg以下であること。
- ただし、原料汚泥等のうち、原料規格第2中16の項ロに掲げる排水処理活性沈殿物及び原料規格第3中4の項に掲げる焼成汚泥については、焼成した原料汚泥等中の放射性セシウム濃度が200Bq/kg以下であるものとする。
3.対象となる原料汚泥等の排出事業者の地域
岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県及び静岡県
4.帳簿の管理
(1)原料汚泥等の管理
- 原料汚泥等の排出事業者及び汚泥肥料等の生産業者は、原料汚泥等の引渡し及び引受けをしたときは、それぞれ原料汚泥等について次に掲げる事項を記載した帳簿を作成し、2年間保存すること。
- 汚泥肥料等の生産業者においては、当該帳簿の作成に代えて、原料帳簿(肥料の品質の確保等に関する法律施行規則(昭和25年農林省令第64号)第25条の2第1項第1号ハからリまでに掲げる事項を記載した帳簿をいう。)に、次のロ、ハ及びヘに掲げる事項を併せて記載する方法により作成することができる。
- 原料汚泥等の排出事業者にあっては、原料汚泥等の引渡しに際して産業廃棄物管理票(マニフェスト)等に放射性セシウム濃度を記載すること。
イ.原料汚泥等の種類(公定規格の原料規格第2中16の項又は原料規格第3中1の項から4の項までに掲げる原料の種類を記載すること。)
ロ.引渡し又は引受けされた原料汚泥等の用途
ハ.引渡し又は引受けの年月日
ニ.引渡し又は引受けの相手方事業者の名称、住所及び電話番号
ホ.引渡し又は引受けの数量
ヘ.引渡し又は引受けのあった原料汚泥等の放射性セシウム濃度
(2)汚泥肥料等の管理
- 汚泥肥料等の生産業者が汚泥肥料等を引渡ししたときは、当該生産業者は、以下に掲げる事項について記載した帳簿を作成し、2年間保存すること。
イ.汚泥肥料等の名称及び登録番号
ロ.引渡しの年月日
ハ.引渡しの相手方の氏名(法人の場合にあっては事業者の名称)、住所及び電話番号
ニ.引渡しの数量
ホ.引き渡した汚泥肥料等に利用されている原料汚泥等の放射性セシウム濃度
5.地方農政局への報告
- 原料汚泥等の排出事業者にあっては、4の(1)により作成した帳簿の写しを月別にとりまとめ、翌月の10日までに、その所在地を管轄する地方農政局(宮城県を所在地とする場合は、東北農政局)宛て提出すること。
【関連情報】
汚泥肥料等中に含まれる放射性セシウムの取扱について(農林水産省)(外部サイトへリンク)