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平成26年6月13日
本日ここに第三百四十八回宮城県議会が開会され、平成二十六年度一般会計補正予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、最近の県政の動きと議案の概要を御説明申し上げます。
説明に先立ち、今月八日、桂宮宜仁親王殿下におかれましては、にわかに御容体が悪化され、御快癒の祈りもむなしく薨去されました。ここに謹んで哀悼の誠を捧げるものであります。
桂宮宜仁親王殿下には、農林業や芸術、スポーツの振興をはじめ、国際親善など様々な分野にわたり幅広く貢献してこられました。宮城県には平成十三年の国体秋季大会に際しお成りになり、温かい励ましを賜りました。殿下の在りし日のお姿をしのび、県民の皆様とともに衷心より御冥福をお祈り申し上げます。
初めに、医学部の新設についてであります。
東日本大震災からの復興の一環として、東北地方に一校に限って医学部の新設が認められることとなりましたが、県といたしましては、県内の学校法人等に構想提出の動きがありましたことから、卒業生の東北定着に向けた新たな医学生修学資金貸付制度の創設や、県内に設置が決まった場合における財政支援策を打ち出してきたところであります。しかしながら、これまで構想を進めてきた関係者の方々から、実現のためにはどうしても県が設置主体となってほしいとの要請をいただきましたことから、非常に限られた時間ではありましたが、虚心坦懐に今一度原点に立ち返って熟慮した結果、県立での栗原市への医学部設置を決断し、先月国に構想を提出したところであります。
この判断に至った理由でありますが、一つ目には、医学部新設は、深刻化する東北・宮城の医師不足解消に向け、私自身が安倍総理大臣にその必要性を強く訴えて動き出したものであり、この国策にふさわしい医学部とするためには、行政がより主体的に課題解決を牽引する必要があるということであります。二つ目には、県内の医療資源の状況を踏まえながら、被災地や過疎地域の実情などを総合的に勘案いたしますと、東北各地の地域医療を担う人材の育成拠点は、仙台医療圏以外において適地を見出すことが望ましいこと、三つ目には、県立による場合の懸念でありました財政負担についても、既存施設の活用や規模の見直しなどで圧縮できる見通しが立ったということであります。これらを踏まえ、議会での議論や県民の皆様の声も真摯に受けとめて、最も望ましい方向を選択したものと考えているところであります。
現在、国に提出された三件の構想について審査が進められており、夏頃までには一件の採択が決まるものと見込まれておりますが、並行して具体化のための細部の検討を急ぎ、議会や県民の皆様にも説明してまいりますとともに、震災後の医療ニーズや医師不足等の課題解決に向け、県としての役割を積極的に果たしてまいりますので、議員各位の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
次に、指定廃棄物の最終処分場についてであります。
一定の濃度を超える放射性物質に汚染された指定廃棄物の最終処分場については、本年一月に国から県内三か所の候補地が示され、先月から国と三市町との協議が行われているところであります。国と地元との間で意見の隔たりはありますが、復興に向けて解決しなければならない重要な課題でありますことから、県といたしましては、引き続き国と市町の間に立って調整を進め、指定廃棄物の処理が前進するよう努めてまいります。
次に、このほかの東日本大震災からの復興の状況についてであります。
県内の災害廃棄物については、去る三月末をもって通常の十四年分に相当する約一千百万トンの処理を完了いたしました。広域処理に御協力を賜りました内陸部市町村や県外自治体をはじめ、処理作業に携わった皆様、そして国の支援に対しまして、改めて厚く御礼を申し上げる次第であります。処理に当たっては、可能な限り再資源化に努め、コンクリートくずや津波堆積物など約八百万トンを再生資材として復旧・復興工事に有効活用しております。今後は、これまで活用されてきた多くの機材を他の事業へ効果的にスライドさせて復興の加速化につなげるとともに、作業に従事していた方々の雇用の場の確保にも引き続き努めてまいります。
道路の復旧の面では、一般県道牡鹿半島公園線、通称コバルトラインが四月末に開通いたしました。震災による県管理道路の通行止めは百三十七か所にも上っておりましたが、これによりすべてが解消され、安心して通行できるようになりました。
災害公営住宅の整備は、現時点で約一千四百戸が完成し、被害の大きかった沿岸市町でも入居が始まっております。一万五千戸の整備計画に対して、事業に着手したのは一万戸を超えておりますが、さらなる加速化に向け、庁内に設置した支援チームが市町と連携して具体的な課題の解決に努め、この夏までに整備戸数を確定して事業の進捗を図ってまいります。
防災集団移転促進事業については、これまでに六市町で宅地の引渡しが行われておりますが、中でも岩沼市玉浦西地区では引渡しが完了し、石巻市や東松島市でも新たに引渡しが始まるなど、目に見えて動きが出てきたところであります。既に県内百九十五地区すべてで事業計画の大臣同意が得られ、百八十二地区では工事に着手しておりますが、県といたしましては、土地区画整理事業、津波復興拠点整備事業と合わせて、市町の復興まちづくりを一層支援してまいりたいと考えております。
創造的な復興に向けた重点施策として進めております宮城野原広域防災拠点の整備ですが、三月末にJR貨物との間で基本合意書を取り交わし、県は、現在の仙台貨物ターミナル駅用地を取得して防災拠点を整備するとともに、新駅への移転に向けて協力していくことといたしました。これを受けて、庁内に横断的な推進体制を整備し、事業の具体化に向けた検討及び調整を進めているところであり、駅の移転先については年内にも関係者間で合意が得られるよう努力してまいります。
仙台空港の民営化については、四月に国の実施方針が決定され、我が国第一号に向けて大きく前進いたしました。また、昨年度は国内線乗降客数が歴代二位となり、全体としても五年ぶりに三百万人を超えるなど好調が続いております。先月、オーストラリアのゴールドコースト空港などを視察してまいりましたが、民営化後、格安航空会社の誘致を通じて乗降客数の大幅な増加に成功したほか、利用者の利便性と高い収益性を両立させている姿を自らの目で確認してまいりました。仙台空港においても、民営化を契機に、利用者はもちろん、国内外の航空会社にとっても魅力あふれる空港づくりが進み、近い将来には、乗降客数六百万人、貨物量五万トンという目標を達成できるとの思いを強くしたところであります。年内にも国の公募手続が始まりますが、県として事前に参加資格確認を行い、事業者の選定に関与するほか、地域の代表として意見を述べ、実現に向けて主体的に取り組んでいく所存であります。
復興への歩みは、十分な話合いの下で様々な課題を一つ一つ解決し、その成果を積み上げていくという、大変息の長い取組であります。平成三十二年度までとした宮城県震災復興計画においても、地域の再生と発展に向けた取組は、まさにこれから本格化していくところであり、国の長期的な支援が必要であります。
国の財政支援の継続については、これまでも繰り返し求めてきたところでありますが、来年度予算で複数年度に渡る大規模な事業予算を計上するためには、予算編成の時点で平成二十八年度以降の財源手当が明確でなければなりません。県では、主な社会資本の復旧・復興事業について概ね平成二十九年度までの完成を目指しておりますが、いずれも大規模な事業であり、今年中に国としての方針を示していただくことが不可欠であります。来月の政府要望では、こうした我が県の実情について説明してまいりますので、議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。
次に、震災復興以外の県政の状況と主な動きについてであります。
二月の記録的な大雪では、畜舎や農業用ハウスが倒壊するなど、農林業関係を中心に全国的に甚大な被害が発生いたしました。こうした事態を受けて、このほど国による新たな支援制度がまとまり、被災した農業用施設の撤去及び再建に対して、国、県、市町村が連携して助成することとなりましたので、速やかに交付手続を進めてまいります。
このところの経済情勢については、政府や日銀によると、消費税増税による駆け込み需要の反動減は短期で収束し、景気は緩やかに回復を続けているとされております。東証一部上場企業の三月期決算は、純利益の合計が二十四兆円を超えて過去最高となるなど、大企業の好調ぶりが目に付くところでもあります。県内では、四月の有効求人倍率が一・二四倍と二十五か月連続で一倍を超え、全国平均の一・〇八倍を大きく上回って推移しているほか、新規高卒者の就職率は四月末現在で九十九・四パーセントと二年連続で九十九パーセントを超える高い水準となりました。個人県民税や法人事業税などの県税収入が伸びていることからも、我が県経済は、堅調な復興需要にも支えられ、全体的には回復傾向にあるものと受け止めております。
しかしながら、県内の各方面を歩いて話を伺いますと、震災からの再建に向けて道半ばの方々はもちろんのこと、中小企業や農林漁業などでも、売上げの回復や原発事故の影響などで大変な御苦労をなさっている方々が多く、景気回復の広がりはまだまだ限定的なものにとどまっているのが実態であります。私といたしましては、県内でもようやく見え始めた景気回復の兆しをより確かなものにし、被災された方々の復興への歩みをさらに後押しするとともに、一人でも多くの県民の皆様が真に豊かさを実感することができるよう、産業各分野における富県宮城の実現に向けた取組を積極的に推進してまいりたいと考えております。
このうち、科学の発展や新たな技術開発に向けて各方面からの期待が集まる放射光施設の誘致については、東北の六県、経済団体、大学等の足並みが揃い、来月にも連携組織を立ち上げて東北一体で取り組んでいく運びとなりました。今後、企業や個人の賛同を募るほか、シンポジウムなどで広く浸透を図り、誘致活動の強化に向けて気運を高めてまいります。
次に、今回の補正予算案の考え方についてであります。
今回御審議をお願いいたします補正予算案は、東日本大震災復興交付金事業を追加するとともに、大雪被害による農業用施設の復旧支援など、早急に対応すべき施策を措置することとして編成したものであります。
(東日本大震災関連事業)
補正予算案の主な内容ですが、初めに、震災からの復旧・復興に関する事業についてであります。
まず、東日本大震災復興交付金については、先月国に提出した九回目となる申請の全額を東日本大震災復興交付金基金に積み立てるとともに、これを財源として主要地方道奥松島松島公園線等の道路改良、石巻漁港等の環境施設復旧、被災農業者に貸与する施設や機械の整備費等を追加しております。また、復興交付金効果促進事業の一括配分を活用して、避難所に指定された県立高校に避難者向けの防災備蓄倉庫を新たに整備いたします。
復興交付金以外では、名取、亘理・山元地区等において、農村地域復興再生整備の一環として、排水機場等に情報伝達機器と太陽光発電設備を導入し、遠隔監視システムによる管理作業の効率化と維持管理経費の農家負担軽減を図ってまいります。
また、仙台空港の民営化実現に向け、事業者の参加資格確認手続に要する経費を計上しております。
(その他の主な施策)
次に、震災関連以外の事業についてですが、まず、先ほども御説明いたしましたとおり、二月の大雪で被災した農業者の経営再建を支援いたしますとともに、四月に発生した豚流行性下痢の拡大防止に向けて、県内全ての養豚場に消毒剤を配布し消毒を徹底してまいります。
また、有床診療所等でのスプリンクラー等設置について国が補助制度を創設しましたので、対象となる施設への補助金を新たに計上したところであります。
以上、補正予算案の主な内容を御説明申し上げましたが、今回の補正規模は、一般会計、総会計ともに九十七億四千七百余万円であり、財源としては、国庫支出金五十三億三千四百余万円のほか、繰入金三十六億一千六百余万円、地方交付税七億九千六百余万円を追加しております。
この結果、今年度の予算規模は、一般会計で一兆四千六百七十七億八千九百余万円、総計で一兆八千四百九十三億二千八百余万円となります。
次に、予算外議案については、条例議案十五件、条例外議案十五件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。
まず、条例議案でありますが、議第百八十五号議案は、地方公務員法の改正に伴い、外国で勤務等をする配偶者に同行する職員の休業制度を創設しようとするものであります。また、議第百八十八号議案は、地方法人特別税の見直しに伴う法人事業税の税率引上げなど所要の改正を行おうとするもの、議第百九十号議案は、認定こども園の認定等に関する事務を仙台市に移譲しようとするもの、議第百九十一号議案及び議第百九十二号議案は、水質基準に関する省令の改正に伴い、環境衛生試験及び簡易給水施設の水質試験等について検査項目を追加しようとするもの、議第百九十四号議案、議第百九十五号議案及び議第百九十八号議案は、東日本大震災により被害を受けた者について職業能力開発校、農業大学校及び県立学校に係る入学金等の免除の期間を延長しようとするもの、議第百九十六号議案は、宮城球場のサブグラウンドに係る利用料金を新設しようとするもの、議第百九十九号議案は、教育費負担軽減のため、定時制及び通信制課程の高校生に対する支援を拡充しようとするものであります。
次に、条例外議案でありますが、議第二百号議案及び議第二百一号議案は、応急仮設住宅として供与した民間賃貸借上げ住宅の明渡し等を求める訴えの提起及び民事調停の申立てについて、議第二百四号議案は、県道の路線廃止について、議第二百五号議案ないし議第二百九号議案は、工事請負契約の締結について、議第二百十号議案ないし議第二百十二号議案及び議第二百十四号議案は、工事請負変更契約の締結について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。
以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。
(追加説明)
提出議案の概要を御説明申し上げます。
議第二百十三号議案は、工事請負変更契約の締結について、議会の議決を受けようとするものであります。
何とぞ、慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。
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