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国の文化審議会は,平成29年3月10日に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経て,木造千手観音坐像1躯及び陸奥国仙台領元禄国絵図265点を,重要文化財(美術工芸品)として指定するよう文部科学大臣に答申しました。宮城県内の文化財が重要文化財(美術工芸品)に指定されるのは,平成24年9月に指定された「仙台藩天文学器機」(仙台市天文台所蔵)以来4年ぶりになります。
院政期における東北地方の仏像製作の様子を伝える
『日本往生極楽記』に名がみえる小松寺の本尊として伝来し,明治初年になり隣接する薬師堂に移された千手観音像で,近年学界にその存在が知られたものです。
中尊寺金色堂に安置される奥州藤原氏三代に関わる諸像,とりわけ二代基衡のために造られた一群と類似する作風がうかがえることから,12世紀後半に平泉の寺院の造仏に携わった仏師の手になるとみられます。二重まぶたの目や,背面で吉祥天や女神のように髪をたわませて結い上げる髪型が珍しく,注目されます。
院政期における東北地方の仏像製作の様子を知る上で重要な遺品です。
【写真提供:大崎市教育委員会】
元禄国絵図事業に関連する文書・記録類が豊富に伝来する稀有な事例
元禄10年(1697)に開始され同15年に終了した元禄国絵図事業において,幕府は各国絵図と郷帳等の提出を各藩に求め,国郡境の明確化,往還筋の距離表記の統一をはかり,各地域の実態把握を進めるとともに,最終的に日本図作成を企画しました。
本件は,仙台藩に一括して伝来した元禄国絵図事業に関連する国絵図・際絵図などの絵図類及び文書・記録類です。質量ともに豊富に伝来する稀有な事例として元禄国絵図ひいては国絵図研究上に重要であり,地図史,政治史等研究上の学術価値が高いものがあります。
【写真提供:宮城県図書館】
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