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国の文化審議会は,平成30年3月9日に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経て,男山本店客座敷1棟(気仙沼市)と海老喜8棟(登米市)を登録有形文化財(建造物)として登録するよう文部科学大臣に答申しました。この結果,この答申を受けて行われる官報告示を経て,県内では151件の建造物が文化財に登録されることとなります。
男山本店は,大正元年創業の酒造商家です。内湾に面して店舗(登録有形文化財)を置き,その北方約100メートル先の緩斜面に醸造施設等を構えています。客座敷は,醸造施設等敷地の南入口脇に配置される建造物です。
入母屋造の平入で,正面片側に突出部,中央に玄関を設け,周囲に庇を廻す。主体部は座敷二室を配して廊下を廻し,突出部はもと土間の控室とする。住宅風の接客施設で,酒蔵の表構えに彩りを添えている。昭和4年頃の建築。
【画像提供 気仙沼市教育委員会】
海老喜は,天保4年に味噌醤油醸造として創業し,一時は酒造も行っていた商家です。敷地は町への玄関である登米大橋を渡った角地にあり,南北に走る街道沿いに旧店舗と表蔵を東面して並べ,その西側に住宅と土蔵群を配します。
大正後期の建築で,一階に店と帳場,二階に客座敷を配する。二階外壁の海鼠壁(なまこかべ)には四半張(しはんば)りの目地を変形させた意匠を凝らし,昭和期改修の隅切部にもその意匠が踏襲される。屋根スレート葺で,町の出入口となる角地に建つランドマーク的存在。
【画像提供 登米市教育委員会】
商品保管と穀蔵に使用された土蔵。内部は上下階とも二室に区分,内外壁とも大壁で,小屋組は二重梁組とする。旧店舗とともに,街道の歴史的景観をかたちづくる。大正後期の建築。
【画像提供 登米市教育委員会】
旧店舗西側に東西棟で直交して建つ。高さのある外観や,施主の茶の湯趣味を反映した数寄屋風意匠が施されたオクザシキが,近代の造形感覚の一面を示している。明治後期の建築。
【画像提供 登米市教育委員会】
主屋北側に東西棟で建つ。柱を半間ごとに立て,小屋組は曲梁を用いた和小屋と登梁(のぼりばり)を交互にかけ,高い作業空間を確保している。敷地内で最も古い建物で,創業時の商いの様相をよくとどめる。江戸末期の建築。
【画像提供 登米市教育委員会】
味噌醤油仕込蔵と旧酒蔵との間に位置する。和小屋に切妻屋根をかけ,下屋(げや)を葺下ろして広い作業場とする。味噌醸造仕込蔵の附属施設であり,醸造工程を知る上で欠かせない建物である。明治前期の建築。
【画像提供 登米市教育委員会】
敷地西方の中央部に東面して建つ。外壁漆喰塗(しっくいぬり)で,腰の海鼠壁(なまこかべ)を一階は芋目地(いもめじ),二階は四半張目地(しはんばりめじ)とする。窓の腕木(うでき)は二段で透彫(すかしぼり)の板を嵌め,持送(もちおく)りに線形彫刻を施すなど凝った意匠をみせる。江戸末期の建築。
【画像提供 登米市教育委員会】
江戸末期の建築で,明治41年まで酒蔵に使用され,二階に酒神を祀る神棚を設ける。三重梁を一間ごとに配する小屋組を有し,伝統的な酒造の有様を伝える長大な蔵である。
【画像提供 登米市教育委員会】
南側通り沿いに建つ長大な土蔵。重要文化財旧登米(とよま)高等尋常小学校校舎建設の棟梁を務めた佐藤朝吉(あさきち)が手がけた建物であり,近代における当地域の木造建築技術の水準を伝えている。明治25年の建築。
【画像提供 登米市教育委員会】
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