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国の文化審議会は,平成29年6月16日に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経て,入の沢遺跡(栗原市)を史跡として指定するよう文部科学大臣に答申しました。この結果,この答申を受けて行われる官報告示を経て,県内では35件目の史跡として指定されることとなります。
本遺跡は宮城県北西部に広がる築館丘陵の東部に位置します。周辺の平野部から比高差23~26mの丘陵の先端部に立地すること,幅2~4m,深さ4m(大溝底面から丘陵頂部との高低差)の大溝とその内側に平行する材木塀による施設があり,極めて防御性の高い古墳時代前期後半(4世紀後半)の大規模集落遺跡です。集落の存続期間は短く,ヤマト政権との関係性が深い同時期の大型古墳が副葬品として有する,銅鏡・鉄製品・石製装身具や各種土師器類等が意図的に焼失されたと考えられる竪穴建物から多数出土するという特殊性も窺うことができます。また,遺跡の遺存状態も極めて良好であり,同時期の東日本を見渡しても類例がほとんどない遺跡としても重要です。
遺跡の位置する地域は,古墳時代前期の大型古墳分布の北限域,すなわち,ヤマト政権の勢力がおよぶ北限域に相当し,本地域周辺の丘陵部や北方には続縄文文化が存在します。ここに高い防御性を備え,ヤマト政権との関係性が高い品々を多数保有する大規模集落が短期間存在するという事実は,当該期におけるヤマト政権の東北政策の在り方や,続縄文文化との関係性の解明等,古墳文化の本質を考える上でも重要です。
入の沢遺跡の全景(北から望む)
出土した銅鏡(珠文鏡)
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