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国の文化審議会は,平成29年7月21日に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経て,東北大学片平キャンパスの近代建築5棟(仙台市)と南三陸町民俗資料館1棟(南三陸町)を登録有形文化財(建造物)として登録するよう文部科学大臣に答申しました。この結果,この答申を受けて行われる官報告示を経て,県内では137件の建造物が文化財に登録されることとなります。
東北大学片平キャンパスは,東北帝国大学(明治40年設立)発祥の地であり,かつ,東北帝国大学設立以前から第二高等中学校(のちの第二高等学校),仙台医学専門学校,仙台高等工業学校等の敷地として使用された地区です。全域が東北大学の管轄となった現在も,さまざまなルーツを持つ建造物が残っています。
仙台医学専門学校(東北大学医学部の前身)時代の遺例の一つ。建設当時は博物・理化学教室として,東北帝国大学統合後は教室や学生診療所として使用され,現在は公開施設並びに事務室となっている。
外壁は下見板張(したみいたばり)。内部は,北側に片廊下を通し,南側に諸室を配する。明治37年の建築で,キャンパス草創期の景観を今に伝える貴重な建造物である。
【写真提供:東北大学】
当初は博物・理化学教室の東側に接して建築された教室棟である。明治37年の建築後,2度の移築を経て向きを変え,現在は旧博物・理化学教室の南に建つ。内部は一室の階段教室とし,東側に講壇(こうだん)を設ける。明治期に遡る木造の高等教育施設の好例である。なお,仙台医学専門学校は魯迅が学んだことでも知られ,現在この教室は「魯迅の階段教室」として公開されている。
【写真提供:東北大学】
第二高等学校の書庫として明治43年に建てられた3階建の煉瓦造(れんがぞう)収蔵庫。東北大学移管後は考古学関係の収蔵庫として利用されている。外観は,褐色の煉瓦を水平に廻し,軒には歯飾りをつけるなど装飾を施す。当時の高等学校における書庫の重要度を示す,強固な建造物である。
【写真提供:東北大学】
鉄筋コンクリート造で,北面中央に玄関を開き,1階に事務室等を配し,2階は大空間の閲覧室とする。外壁は1階を化粧煉瓦張(けしょうれんがばり),2階を漆喰塗(しっくいぬり)とし,アーチ窓を連ねたロマネスク風の意匠でまとめる。当時東北帝国大学に在職していた小倉強(おぐらつよし)(のちの東北大学名誉教授)による設計。大正15年の建築で,昭和61年より史料館として活用されている。
【写真提供:東北大学】
鉄筋コンクリート造3階建。外壁は正面をスクラッチタイル張とし,柱型(はしらがた)を強調するなど垂直性の高いデザインが特徴で,特に中央玄関廻りは柱型を石張(いしばり)として荘重(そうちょうちょう)な外観をみせる。昭和7年の建築であり,昭和初期の大学校舎の好例。平成16年より大学本部棟として使用されている。
【写真提供:東北大学】
もとは伊里前(いさとまえ)小学校として建てられた校舎を,昭和26年に現在地に移築して志津川高等学校定時制歌津分校校舎として使用,さらに昭和57年からは町の民俗資料館として活用している建造物です。
平屋部分は正面側に廊下を通し,背面側に教室を配する。南寄り2階部は昭和32年の増築で,1階は調理室,2階はトコを備え船底天井(ふなぞこてんじょう)の張った作法室とする。近代の学校建築の特色を良く示す。
【写真提供:南三陸町教育委員会】
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